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《聖女パーティー》エルマ視点25:短い命だったわね、豚。

ついに100話目です!

ここまで読んでくださり本当にありがとうございますm(_ _)m


 ロリコン王の国……もとい軍事都市ベルクアから国境線を越え、南の大国――ラストールへと渡ったあたしたちは、今まさに暇を持て余していた。


 というのも、ベルクアと同じくここでも住民たちがいきなり健康になるという謎の現象が起こっていた上、何故か付近の魔物たちが一斉に消え去ってしまったからだ。


 おかげで聖女としての役割を果たせるような事案は何もなく、あたしたちは普通に観光を満喫していたのである。



「しかしどうしていきなりこのようなことが起きたのでしょうな? まあ皆さん幸せそうにしていらっしゃるので喜ばしい限りではあるのですが」



 ――もぐもぐ。



「そうですね。私もこうして穏やかな時間を過ごせることを嬉しく思います。聖女に頼る必要がないということは、それだけ世界が平和であるということなのですから」



「確かに。ですが些か寂しくもありますな……」



 ――もぐもぐ。



「……」



 いや、そう思ってんなら口を動かすのやめなさいよね!?


 何しんみりと惣菜パンを堪能してんのよ!?


 てか、あたしが必死に我慢してる横でばんばん買い食いすんのやめてくんない!?


 こっちは清純派の聖女なのよ!?


 そんなはしたない真似出来ないの知ってるでしょ!?


 むしろ「一緒にそこのベンチで食べませんか?」とか言いなさいよ、この豚!?


 そうあたしが内心ぎりぎりと歯噛みしていると、その思いが通じたのか、豚が前方を指差して言った。



「ところで聖女さま、よろしければそこのベンチに座りませんか?」



「ええ、構いませんよ」



 にこり、と慈愛の微笑みで頷く。


 え、もしかして顔に出てた!?


 いや、そんなことあるはずないわ!


 だってあたしの聖女ムーブは完璧だもの!


 こんな豚如きに見抜かれて堪るものですか!


 でもそうなると、ついにあたしの思いが豚に届いたってこと?


 ほら、あたしもう本当の女神になりつつあるし、特殊能力的なやつに目覚めたとか。


 ええ、きっとそうに違いないわ。


 ならとりあえず出店で冷たい飲み物と甘いお菓子でも買ってきてもらおうかしら。


 そう思いつつ、あたしは豚とともにベンチに座る。



「……ふう。やはり大きな町だとちょっと見て回るのも一苦労ですな」



「そうですね。なので無理せず回りましょうか」



「はい、分かりました」



「……」



「……」



 え、それで終わり!?


 冷たい飲み物と甘いお菓子をあたしに買ってきてくれるんじゃないの!?


 あたしの特殊能力は!? と内心ぎょっと目を見開くあたしだったが、



 ――ちらっ。



「?」



 そこでふと豚があたしをちらちら見ていることに気がつく。


 はっはーん。


 もしかしてあれね?


 本当はさっさと声をかけようとしていたんだけど、女神なあたしの美しすぎる横顔に見惚れてそれが憚られちゃったってわけね?


 やだもう、それならそうと早く言いなさいよ。


 本当に仕方のない豚ね。


 いいわ、なら今回は特別にあたしの方から促してあげる。



「ふふ、どうしました? 私の顔に何か?」



「い、いえ、その……」



 もじもじと豚が顔を紅潮させる。


 しばらくそうしていたかと思うと、ついに意を決したらしく、豚はこう言ってきた。



「な、なんだかこうしていると……まるで恋人みたいですな……」



「……」



 え、ごめん、ちょっとよく聞こえなかったからもう一回言って。


 あ、やっぱなんも言わないで。


 あたし今究極奥義的な技の〝溜め〟に入ってる最中だから。



「ふふ、そう見られていたら嬉しいですね」



「はい、光栄です!」



 そう満面の笑みを見せる豚に、あたしは全能力を解放する五秒前くらいなのであった。


モチベが上がりますので、もし少しでも「面白いかも~」とか「続きが読みたいな~」と思ってくださったのなら、是非広告下の☆☆☆☆☆評価で応援してもらえたら嬉しいですm(_ _)m

よろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[一言] これもしかしてこの豚さんが盾の聖者とかあったりする?
[良い点] 100話おめでとうございます 頑張れポルコ!
[良い点] 100話お目~
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