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かってきままに  作者: 友枝 哲
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第63回 自分のSF小説”タキオンの矢”が最終回を迎え、その結末である”人の争いの鎖を断ち切る”方法について、自分の考えをあとがきとして書いてみた。

まえがきは割愛させていただきます。

本編が短いので、本編のみでお楽しみください。


●’25/12/17(水)


 先週の土曜、私の書いたSF小説"タキオンの矢"が最終回を迎えた。


 ざっくりとした内容は以下の通りである。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 時は2299年。宇宙には約5000基のコロニーが浮かぶ時代。


 半永久的にエネルギーを産み出せるS2機関とAI技術、人間以上の運動能力を備えたアンドロイドのおかげで人は働かずとも食べていける時代に突入していた。


 さらには推定500年と言われる長寿命化薬テロメライザーも開発されていた。


 その結果、一部の苛烈極まりない経済競争を行う人々と大部分の超怠惰な人々が生まれ、当然ながら富裕層はより富を増し、貧困層はベーシックインカムで生きてはいけるものの最低限の暮らしを余儀なくされていた。


 そんな中、富裕層に住む女子高生"ルナ小林"がいた。


 彼女は、正体こそ隠しているものの、AIをも打ち負かすほどの天才ゲームプレイヤーだった。


 宇宙戦争をモチーフにした”OneYearWar”というゲームにおいて、無双しており、”Red Devil”と呼ばれ恐れられ、一部熱狂的ファンからは崇拝すらされていた。


 そして、もう1人。貧困層に住むしがないエンジニア"ソル柊"。


 彼は電子機器の修理を行いながらも、いつか世界をもっとより良いものに変えたいと願っていた。


 これはこの二人が出会い、人間の中にある争いの鎖を断ち切る物語である。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 ここからは少し小説の内容のネタバレにもなるので、上の文章を読んで興味を持っていただいた方は小説から読んでいただけるとありがたいです。




 この小説、何年も前に書いていたのだが、実は結末部分が現在アップした内容と異なっていた。


 最初に書いた時には過去にデータを送ることで戦争を止めることが出来る内容であった。それにより過去を変え、ハッピーエンドを迎える。


 だが、それはあまりにも良くある内容でボツにしていた。


 この小説を封印している間、このエッセイにも何度かある内容が出てきているが、それをずっと考えていた。


 それは"人間に戦争をやめさせる方法"である。


 そして、昨今の世界の分断を見ていて、あまりにお互いが自分の立場でしかモノを考えられなくなっていると感じている。


 私はかなりのガンダム好きなのだが、ガンダムUCでマリーダという女性パイロットが主人公にいった台詞。


「おまえは連邦の立場になって考えている。」


 主人公はマリーダという女性パイロットが属しているジオン公国と相対する地球連邦に属している。


 主人公がマリーダに対して戦うことを止めて、撤退しろと言うが、それは地球連邦にとって都合の良い行動で、それを聞いたマリーダが主人公に対してこの台詞を言うのである。


 まさにこれである。


 これでは分かり合えるはずがない。


 そして、その分かり合えない状況を生んでいるものは何か?


 それはきっと”愛”と呼ばれているものではないだろうか。


 例えば、家族愛、愛国心が挙げられる。宗教の信心も同じであろう。


 もちろん私もその一部をすでに持っている。


 外国で暮らしていると日本が誉められることに嬉しさを覚える。


 極稀に見られる人種差別が家族に及ぶと非常にストレスを感じる。


 では、相手の立場に立てば、相手の行動が理解できるか?


 否。


 結局、相手がナショナリズムを背負っていて、こちらは相反するナショナリズムを背負っている以上、理解できるわけがないのである。




 突然話は変わるが、私は海外に住んでいて、語学学習の名を借りた外国人の集まりに参加している。


 そこで”他国についての驚き”を感じることが少なからずある。


 例えば自分の国の良い点、悪い点などを話し合う時、全く主義の異なる国の人が自分の国のことを誉めたりする。


 時に理解できるが、全く理解できないこともある。


 それでも、何度もその真反対と感じている人と話していると、その人の子供の時の思い出や家族の話を聞き、お互い人間なんだと感じる。


 その時、ふと感じた。


 この人の記憶が私に入ったら、この人に私の記憶が入ったら、本当の意味で分かり合えるのかなと。


 これはたぶんガンダムのニュータイプ理論を知っているがゆえの発想なのだろうとも思う。




 話を戻すと、相反するナショナリズムを背負ったものが分かり合うことはできるか?


 私は最近の体験から、全員がお互いを信頼する形で記憶を共にできれば分かり合えるのかもしれないと感じている。


 そこから小説の最後に登場する脳の連結を思い付いたのである。


 脳の連結をする上で元々考えていた0時間通信のデバイスはとても相性が良かった。


 まさにこの発想はこの物語にピッタリだと感じ、ボツ案を復活させたのである。


 この技術を使うことで人間は初めて本当の意味で分かり合え、戦争を回避することができるようになるのではないかと考える。


 さらに脳の連結には他の効果もある。


 それは知能の飛躍的向上である。


 この知能向上により、単にお互いの想いを理解しても解決策が見出だせないという状況を打破できる知恵を得られると考えた。


 これは実際にそんなことが起こるような気がする。


 単なる私の楽観的発想かもしれないが。(笑)




 また、この作品には私の勝手な想いである”先生方の意思を受け継ぐ”という意味も込めている。


 前作の”ガロワのソラの下で”では谷川俊太郎先生の”二十億光年の孤独”のくしゃみに対するアンサーや手塚治虫先生の”火の鳥”未来編に対するアンサーとして描いたつもりで、今回の”タキオンの矢”はガンダムのニュータイプ理論のあるべき姿を描いたつもりである。(本当に勝手な想いですが。。。)


 まだいろいろな想いが実はあるが、それは本編を読んで感じていただけるとありがたく思う。


 また、本編のあとがきにも書いたが、前作”ガロワのソラの下で”と今作”タキオンの矢”の間にアンドロイドの物語があり、それによって”タキオンの矢”の中の謎の部分がいろいろと解決する。


 これも時期を見てアップしたいなと思っている。


 そして、最後に広報を1つ。


 来年のある時期からは現代の分断をテーマにしたSF小説”いつの日か、きっと(仮)”を挙げたいと考えている。


 もし良ければこれも読んでいただければ嬉しい限りである。


 オチがなくて申し訳ないが、今回はこれで終わりたいと思います。


あとがきは割愛させていただきます。

読んでいただき、誠にありがとうございました。


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― 新着の感想 ―
今回も興味深いエッセイをありがとうございます。 やっぱり、戦争をやめさせるには人間やめさせるしか無いんじゃないかなーと(ひどい)。 これもう本能だからしゃーない。 それでも、どうすれば可能になるか…
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