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侯爵夫人の嫁探し~不細工な平民でもお嫁に行けますか?  作者: ひよこ1号


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40/40

かけがえのない家族と

式は終わったが、今日はまだ終わりではない。

これから侯爵邸で一休みしたら、祝宴の夜会が始まる。

馬車にはまず、二人で乗り込んで座席に座った。


「もう一つ、お聞きしたい事があったんです。アデリーナ様の事、シャルロッテ嬢はよく覚えていたなって」

「いや、彼女は知らないはずだ。俺が帝国に行った時に会ったのは、皇城でだった…犬は連れていけない場所だからな」


だとしたら、私が似ているから愛されるなんて、誰が?

ディオンルークも考え込む。


帝国に縁があって、ファルネス侯爵家とも親しい人。


「アルヴィナ様」

「アルヴィナか」


私達の意見は一致した。

こんな事で一致したくはなかったのだが。

侯爵邸に戻ったら、皇太子と王太子と作戦会議になるだろう。

アーベライン家ほどの打撃を受けなかったからこそ。

公爵なのに、高位貴族の集まる場に呼ばれなかった事が、復讐心を煽ったのだろう。

ただし、アルヴィナの単独犯の可能性が高い。

それでも色々と、教育に関してはお粗末だという評価は受けるだろう。


「公爵の引退と、アルヴィナを貴族籍から抹消して修道院送り、が妥当なところだな」

「お任せ致します」


馬車に揺られながら、ディオンルークの肩に頭を乗せる。


「疲れたか?」

「いいえ、まだまだ。……でもお腹はすきましたね。朝は緊張してあまり食べられなかったので」


ふう、とディオンルークがため息を吐く音が聞こえ。


「俺も一つ聞きたい事があるのだが」

「はい」

「あの男は誰だ?」


マックス!!!!!

すっかり忘れていた。

その後の妖精さんが強烈過ぎて!


私はハッとして、身体を起こした。


「あれは、幼馴染というか、常連客に毛が生えた程度の人間です」

「そうか。恋仲、という事ではなかったのだな?」


心配そうに問いかけてくるが、私は力強く頷いた。


「身体に触れた事もありませんし、二人きりになった事もございません。それに、口を開けば不細工としか言われていないので、好意は無くとも殺意はあったかと」

「はは。そうか。それなら安心だな」


そこは、安心して良い所なのかどうなのか。

困った顔をした私に、ディオンルーク様が慌てて言い直した。


「いや!君を傷つける言葉を吐いたことについては許せない」

「あ、そちらではなく、殺意に安心されたのかと思って…」


思わず二人でくすくすと笑い合う。

でも、私もマックスなんて存在はすっかり記憶から消し去っていた。


「お互い忘れていた相手が亡霊みたいに蘇ったのですね……」

「ああ……自分勝手な亡霊達だったな……」


本当に、もう二度と現れないで欲しい。


「教会に現れるなんて、不届きな亡霊ですこと」

「聖水でもかけてやればよかったな」


軽口を言いながら、私達はまた笑い合う。

似ていたのが愛犬のアデリーナ様という事には驚いたけれど、大事にしてくれたのは本当で。

私の為に、傷ついたり怒ったり涙を流してくれるかけがえのない家族だ。


「わたくし、ディオ様に幸せだと思ってもらえるように頑張ります。あと、お義母さまとお義父様にも」

「君が居てくれるだけで、十分幸せだよ」


奇跡なんて起きない。

不細工は美女にはなれない。

そう思っていたけれど、奇跡以上の運命が待っていた。

美女になれなくても、私を心から愛してくれる家族が出来たのだ。

誰の身にでも起きる事ではないけれど、それでも。

自分を貫いて磨き続ければ、きっと良い場所に行けると、そう願いたい。


最後に付け加えておくと、布を被せられていたアデリーナ様の肖像画を見せてもらったが、本当に私とそっくりだった。

白い短毛に、身体には黒いぶち模様。

大きな黒い鼻に、小さな目、面長の顔。

うん。

可愛いけれど不細工。

可愛いけれど……。


ま、まあいいか!

結果的に私は幸せになれたのだから。

これからも幸せでい続ける為に、努力あるべし、よね!


***

侯爵家の夜宴にて次期国王と次期皇帝である王太子と皇太子に裁定が委ねられ、以下の処遇が決まった。

帝国

アーベライン伯爵家は取潰し、嫡男のみ子爵を継ぐ事を許可し、両親と妹シャルロッテは貴族籍を抹消。

シャルロッテは尼僧達が看護する救貧院に送られた。

王国

グラーヴェ公爵家は侯爵家に降爵し、領地の一部を王家が接収し、ファルネス侯爵家に相当分の土地を割譲。

他の家族は関わっていないとされ、アルヴィナのみ貴族籍を抹消され、修道院へ。

ファルネス侯爵家は、新たに公爵位をディオンルークが賜って、事実上の陞爵となった。

ジュスト侯爵家は、家族ぐるみでの陰謀加担という事で、国外追放を言い渡され、爵位と土地は王家に返上された。

結婚式での騒動と処分を聞いた貴族達の家門は慌て、夜会で騒ぎをおこした令嬢達も修道院送りにされたという。


アリーナは、愛する夫と家族に囲まれて幸せに暮らしている。


完結しました。最後までお読み頂き、有難うございました!

犬種は、ブル・テリアです(当たった方いたかな!?)ちなみにブルテリアとかミニチュアブルテリアの赤ちゃんが特に可愛いです。

母親が毒で姉妹格差があっても仲良し姉妹というのは珍しいかなと思います。多少実体験もプラスされていたり…と言っても家族仲は良好ですが。母親が変わらない限り今後も溝は埋まらないでしょう。次に母娘が会うのは誰かのお葬式、だと思います。

少しでも楽しんで貰えれば幸いです。皆さまが幸福な時間を過ごせますように!

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― 新着の感想 ―
名犬バウ…!!!
ワンこ可愛いですよね。 犬種はなんとなくパグかなぁと思ってましたが、ブルテリアの方でしたか。 ミニブルでもフレブルでも可愛いですよね。 たぶん彼女は、年をとればとるほど素敵な女性だと言われるタイプの人…
実母は結婚後も会う機会があるのか娘に毒を吐き続けるのか気になります
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