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私、曇りの聖女と呼ばれたけれど! ~転生悪女が授かったトンデモギフトの正体は何?~  作者: 川崎悠
第1章 悪役令嬢は暴れん坊

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26 救出

 私は今、透明の姿になって屋根の上にいる。

 その建物はフィナさんを誘拐した男たちのアジトらしき場所だ。


 透明になっている姿は普通の目には見えないが、火眼金睛ならば見えるらしい。

 いい加減、この二重視界状態は酔いそうだけれど我慢よ。


「──如意棒(にょいぼう)


 いわずと知れた孫悟空の代名詞を召喚する。

 もう一つ、おまけだ。


「──筋斗雲(きんとうん)


 今、アジトの建物の中は謎の霧が発生中で、大混乱している。

 中に霧があるなら、外に雲があっても誰も疑問に思うまい。

 筋斗雲の位置は、建物の三階、窓だけしかない位置に配置する。


「怖いけど……この身体能力ならきっと」


 私は屋根から筋斗雲の上に飛び降りる。

 ボフン! と着地。


「わぁ……。こんな感触なのねぇ、筋斗雲って」


 感触はポヨポヨしているが、まぎれもなく雲だ。

 アニメ風に一塊の綿っぽい感じじゃなくて、完全に雲。

 雲に力が入って、それを操っているような感覚。

 なお、筋斗雲には基本、孫悟空しか乗れない設定だ。

 それは細かいルールとか理由があるのだが、ここでは割愛する。


 さて、筋斗雲の位置は三階の窓の前。

 この窓を破って侵入したいが、それでは音ですぐに気づかれる。

 孫悟空は陽動のために大量の分身を放ったが……。

 私の分身は、私の目撃者を増やすだけなので却下。


 そこで代わりだ。

 今、中は大量の霧発生で大混乱中。

 大人しくするか、外へ逃げるか、悩んでいることだろう。


「伸びろ、如意棒!」


 如意棒の長さを、ちょうど三階から一階に届く程度の長さに伸ばす!


「まぁ……」


 ちょっと感動。本当に伸びたわよ、如意棒。

 これこそが孫悟空ね。


 この伸びた如意棒で、三階の高さから、姿を消した状態で。


「ウキーッ!!」


 屋敷の玄関をぶち壊す!

 ドガンッ!!


「うわぁ!?」

「なんだ、なんだ!?」


 孫悟空は、なんと透明になったまま攻撃可能だ。

 攻撃時に解除とかにはならない。逆に攻撃を食らった場合に解ける。

 今、どうなっているかというとだ。

 三階の高さにある筋斗雲に乗った私が、透明のまま、如意棒で玄関の扉をぶち壊している。

 ドカン! ドカン! ウッキィ!


「誰だ! 敵かぁ!?」


 彼らの意識は玄関へ。音も玄関からしている。その流れで。


「はい!」


 三階の窓も叩き壊す!

 ガシャアン!

 すかさず玄関を攻撃して、誤魔化す!

 ドガン!


「なんだってんだ!?」


 中に立ち込めた霧が、叩き壊されて開いた玄関から漏れていく。

 男たちの注意は間違いなく玄関へ向かっているだろう。


「くそっ、外だ! 外から誰か来やがったぞ!」


 ここがポイント。私の力で思いきり殴ったら、相手を死なせてしまいそう。

 だから適度に手加減して……。


「くっ! どこだ!」


 ウキーッ!


「ぎゃぶ!?」


 ドガッ! と。まさか上から伸ばした棒で攻撃されているとは思うまい。

 しかも、こちらは透明である。

 男はどこから襲撃されたのか理解できていない。


「なっ!?」


 よし、完全に意識は玄関に向いた。

 私はその隙に破壊した三階の窓からアジトの中に潜入する。

 霧が立ち込める中、透明のままの姿で。


 千里眼で、フィナさんのだいたいの位置は掴んでいる。

 あとは。


「──幌金縄(こうきんじょう)


 有名な妖怪、銀角(ぎんかく)が使う道具だ。

 物語の中で孫悟空が銀角から奪い、お返しに使ったもの。

 芭蕉扇(ばしょうせん)がいけたように、こっちも使えるらしい。

 効果は『投げつけると相手が逃げても追いかけて縛り上げる』。

 追尾型、拘束アイテム。


 可能な限り、まっすぐに霧の中を進みながら、敵を倒すのではなく躱すように進んでいく。

 そして、彼女を救出するのに最も邪魔な位置にいる男に幌金縄を投げつける。


「うわぁっ!? なんだ!?」


 道具が自動的に男を縛り上げていく。

 その男の胴体を如意棒でフルスウィング! ウキーッ!


「げばぁ!?」


 ドガン!


「うわぁあ!? 中に入られたぞ! どこだ! 誰だ!」


 さらに混乱する彼ら。今のうちに!


「──七十二変化、移花接木(いかせつぼく)


 家屋を叩き壊してできた木片を、フィナさんの姿に変身させる。

 本物のフィナさんの方は、隠身法で透明化。

 これぞ、孫悟空の三蔵法師救出コンボ。

 分身による陽動は、今回は見送りしたけど、黄金パターン!


 私は、肩にフィナさんを担いで、混乱する彼らをヒョイヒョイと躱しながら、さっさと屋敷を出ていこうとする。

 邪魔な人は透明のまま、如意棒で殴ってよける!


「ぎゃあ!」


 突然の霧、何者かからわからない攻撃。

 もう、彼らは大混乱だ。そのうちに私たちの脱出は完了した。


「筋斗雲!」


 雲を呼び寄せて、飛び乗り、すぐにこの場を飛び去る!

 ウキーッ!

 これぞ孫悟空ムーブ! 大暴れするだけが孫悟空じゃない!


 気を付けないといけないのは、フィナさんは筋斗雲に乗れないはずなので、乗せていこうとすると落ちてしまうことだ。

 慎重に彼女を運びながら、私はどうにか彼女の救出に成功したのだった。


↓こちらの作品、二章、連載再開します。


『傾国の悪女になんかなりません! ~蛮族令嬢クリスティナは予言された破滅フラグを【カンスト】パワーでへし折ります~』

https://book1.adouzi.eu.org/n1292jg/

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― 新着の感想 ―
ウッキー!ヽ(´・∀・)ノ┌┛)`ω゜).':;・、
いちいちウキーッとか入れるのやめてwww
孫悟空モチーフは沢山あるけど、 七十二変化とか火眼金睛とか大体の作品でオミットされる特徴があるのはちょっと楽しい でも觔斗雲(の術)はさすがに原典準拠ではなかったか (宙返り一回で10万8000里移動…
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