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爆弾魔な傭兵、同時召喚された最強チート共を片っ端から消し飛ばす  作者: 結城 からく
第5章 魔王再臨と送還魔術

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第185話 爆弾魔は宝物庫に辿り着く

 自動車サイズの芋虫を魔槍で刺し穿つ。

 飛び散る体液が鼻腔を刺激する。

 とんでもなく臭い。

 炎天下に一週間放置したドリアンよりも酷かった。


「悪いがハグはNGだ」


 でっぷりと太った胴体を切り裂きながら、芋虫を吹き抜けへと蹴り落とす。

 芋虫は遥か下まで落下し、積み上がった魔物の死骸に衝突した。

 体液をぶちまけながら潰れる。

 数秒ほど身を捩っていたが、すぐに脱力して動かなくなった。


 それを確かめた俺は息を吐く。


「ったく、シャワーが浴びたいものだ……」


 軽く愚痴るも、生憎とそんな状況でないことは知っている。

 道中にバスルームらしき設備があったので、帰り道で是非とも使いたかった。


 現在地は螺旋階段の終わりだ。

 壁に設けられた無数のダクトは、ほとんどが破壊されている。

 従って魔物の供給も止まっていた。


 無限に湧き出てくるかと思った魔物だが、一時間ほど駆除し続けた頃には勢いが減退していた。

 そこからさらに狩っているうちに、自然と配給が停止したのである。

 積み重なっているのは、すべて始末した魔物の死骸だ。

 重みで床が壊れて、下のフロアにも溢れ返っている状態となっている。


「ようやく打ち止めのようね……」


 やや疲れた口調で言うのはアリスだ。

 彼女はパワードスーツの前面を展開させて、その中から抜け出してきた。

 さすがの彼女も疲労が隠せないらしく、動きに倦怠感が窺える。


 彼女を守護したパワードスーツも無傷ではなかった。

 魔物による攻撃で各所にダメージを負って機能不全を起こしている。

 魔力の大量消費を連発してオーバーヒート状態に陥っているのも原因の一つだろう。


 パワードスーツの使用はしばらく控えて、回復に専念させなければならない。

 幸いにも半永久的に魔力を生み出せる構造のため、放っておけば自然と治ってくれる。

 一部の装甲は修理が必要だろうが、ひとまず動作不良等は改善されるだろう。

 その間はアリスの護衛も意識しないといけない。

 生身で重傷を負うと、俺では対処できない恐れがある。


「おっ、生きてたのか」


 後方を振り返った俺は感心する。


 階段をふらつきながら上がってくるのは三つ首だ。

 その名とは裏腹に、頭部は一つのみとなっている。

 右端だけが残っていた。

 戦闘中、真ん中の頭が溶かされて食われていたのだった。


 三つ首はこのメンバーだと最も弱い。

 同行中に兵士を虐殺し、雪原地帯に入れるほどマイナスカルマを稼いでいたが、戦闘能力は心許ないラインにしか達していないのである。

 それだというのに、ここまでよく生き残ってこれたものだ。


 直前の戦いでは、三つ首に構っていられる余裕はなかった。

 数々の窮地を地力で突破できるポテンシャルはなかなかのものと言えよう。

 まったくの無視だと非情すぎる気がしたので、軽く労いの言葉をかけておく。


 可能なら元の世界に連れ帰ってもいい。

 なんだかんだでここまで行動を共にしてきたのだ。

 捨て犬にするつもりはなかった。


「さて、行くか」


 小休憩が済んだところで、俺は目の前の扉を押し開く。

 サブマシンガンの銃口は室内に固定する。

 これだけ意地の悪い城だ。

 悪辣な罠がまだ残っているかもしれない。


 俺は慎重に室内へと踏み込む。

 その途端、俺は思わず変な声を上げてしまった。


「おおっ?」


 そこには金銀財宝があった。

 無秩序に散乱したそれが、広い部屋を埋め尽くしている。

 どこを見ても宝石や金貨が散らばっている。

 その光景は控えめに評しても楽しいものであった。

 やはりテンションは自ずと上がってしまう。


「宝物庫のようね。稀少な魔道具や金属が当たり前のようにあるわ」


 アリスは屈み込んで財宝を精査する。

 その目は真剣そのものだ。

 彼女がはっきりと興味を抱くほどだから、よほどの価値があるのだろう。


 俺は彼女に倣って財宝をチェックしていく。

 魔道具の他にも武器や防具も置かれていた。

 宝石のあしらわれた見るからに豪華な物が多い。


 ただし、見た目だけではなく、精巧な魔術回路が仕込まれているようだ。

 ほぼすべてが強力な魔術武器や防具である。

 俺の知識と観察眼では細かなことは分からないが、少なくとも街中で手に入るような代物ではないだろう。


「ん?」


 探索をしているうちに、俺は気になる箇所を発見した。

 そこは部屋の最奥で、小さな台座が設置されている。

 その上に輝くカプセルが載せられてるのだ。


 サイズは野球ボールくらいで、中央部を直線の切れ目が一周していた。

 開閉できるギミックになっているのだろう。

 俺はじっとカプセルを見つめる。


(これはもしや……)


 明らかに一番大事そうな配置だ。

 何か意味があるように思える。

 そう考えた俺は、吸い寄せられるようにカプセルに触る。


 ――次の瞬間、触れた指がまとめて千切れ飛んだ。

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