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爆弾魔な傭兵、同時召喚された最強チート共を片っ端から消し飛ばす  作者: 結城 からく
第5章 魔王再臨と送還魔術

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第157話 爆弾魔は求めていた情報を得る

 アリスとの打ち合わせを終えた俺は、自室のソファに寝転がって休憩していた。

 軽食のチーズバーガーを齧る。

 そばにはボトル入りのコーラもどきが置かれていた。


 このコーラもどきは俺の主導で研究させている物の一つだ。

 どうしても飲みたくなり、異世界での再現にチャレンジしたのである。

 今のところは二十五点といったところだろうか。


 炭酸のジュースにはなっているが、風味が本物とかけ離れている。

 味の薄いフルーツジュースに砂糖を混ぜて、弱い炭酸を加えただけといった感じだ。

 それでも飲めないことはない。

 都市内での販売を開始しているそうだが、これが意外と人気らしい。

 リピーターも多いそうだ。


 今後もコーラの開発は進めてもらうが、果たして完成する日は訪れるのか。

 世界が滅ぶ方が早い気がする。

 その進捗には注目したい。

 俺はコーラもどきを呷って飲み干す。


(アリスも張り切っていたし、任せても大丈夫そうだな)


 現在、彼女は世界核爆弾の設計図を調整している。

 俺のアイデアを取り込んだ形にしてくれているそうだ。

 そのために数時間前から自室に引きこもっている。


 アリス曰く、俺の案を聞いて閃きがあったそうだ。

 さらに術式を最適化できそうとのことで、明日には計画の準備に入れると言われた。

 相変わらず仕事が早く、とても頼りになる。


 結局、俺とアリスの目的は合致した。

 まず世界核を爆弾化する。

 そして起爆によって世界を滅ぼし、そのエネルギーで俺は元の世界へ戻る。

 お互いにメリットしかない。


 最後まで彼女と敵対することがなさそうで良かった。

 おそらく殺害は可能だが、あえて関係を決裂させたいわけでもない。

 ここまで相棒としてやってきたのだ。

 仲良く終わるのがベストだろう。


 おそらくは明日から材料集めに取りかかるはずだ。

 その次に世界核を目指して旅行を始める。

 詳しいことは聞いていないが、ここからは遠い場所にあるらしい。


 それに関しては構わない。

 クライマックスに相応しい旅路だ。

 滅ぼしてしまう前に、観光するのも一興と言えるだろう。


(できれば、そのついでに最後の召喚者の居場所が分かれば上出来だが……)


 少なくともエウレアと帝国については捜索済みだ。

 完璧ではないにしろ、それらしき人物がいないことはほぼ確定している。

 未だにノーヒントなのは厳しい。

 せめてどこの国に所属しているのかが判明すると嬉しかった。


 そんな風に考え事をしていると、部屋の外が何やら騒がしくなってきた。

 俺の私室付近では静かにするように厳命してあるのだが。

 この感じは何らかのトラブルだろう。


 俺は扉を開けて廊下に出る。

 そこでは部下達が慌てた様子で何事かを話し合っていた。

 やはり只事ではないようである。

 俺は彼らに歩み寄って話しかける。


「どうした?」


「空に、無断で投影魔術が行われていまして……都市内の防衛魔術を突破しているようです」


 部下は不安そうな面持ちで空を見上げる。

 俺はその視線の先を追った。

 そして怪訝な顔になる。


「何だあれは……」


 都市の上空に、巨大な映像が浮かび上がっていた。

 そこにスクリーンがあるわけでもない。

 夜空にぽつりと映像が展開されているのだ。

 あのサイズだと、都市の全域から視認できるだろう。

 それほどまでに馬鹿げた大きさをしている。


 部下の言葉を借りるなら、あれは投影魔術らしい。

 そういった珍しい系統の魔術があることは知っている。

 無論、専門外の分野なので詳しいことは知らない。

 爆弾に関係ないのであまり勉強していないのだ。


 しかし俺の記憶が正しければ、この規模で映像を出力できるものではなかったと思う。

 精々、テレビくらいのサイズが限界だろう。

 相当に高性能な魔術装置を使っているか、怪物クラスの魔力を有しているかのどちらかとなる。

 個人的には、前者であることを祈っている。


(というか、そもそも誰の仕業だ? イタズラにしては限度を超えている)


 俺は迷惑行為に対する報復を考えつつ、映像に注目する。

 ノイズ混じりの映像が安定し、はっきりとした光景が映し出された。


 登場したのは痩せ身の男だ。

 グレーの地味なスーツを着ている。

 黒髪は七三分けで、ジェルで固めているのか、妙に艶やかだった。

 どこか不機嫌そうな顔でダサい黒縁の眼鏡をかけている。


 男は沈黙している。

 冷め切った眼差しでこちらを見ていた。

 それだけだ。

 彼は何もせず、じっと凝視を続けている。


(おいおい、何の冗談だ)


 俺はため息を殺して映像を睨む。

 男の風貌を見て、その正体は察しが付いていた。

 だからこそ、続きが気になる。

 それにも関わらず、男は何もしない。

 進展のない映像に苛立ちを覚え始めた頃、ようやく男が口を開いた。


『こんばんは、異世界の皆さん。私の名前はハリマ・シュウスケ。日本という国から呼び出された召喚者です。今日は皆さんに大切な話があります』

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