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剣と魔法の異世界に現代兵器を持ちこんでみた話 ~イマジナリ・ガンスミス~  作者: 矢野 キリナガ
第11章:ハーメルーナ島編
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神殿の謎と異世界の島神様の話⑪


 そして、床に一つの首が転がった。――しかし、それは半獣の巫女のものではなく、剣を振るった方であるルヴィスの首であった。


「えっ……!?」


「ちょっ、嘘……!?」


 想像に反する事態が何故か起こったという訳の分からない状況に、全員が思わず困惑する。それから数秒後、一同は今、何が起きたのかを遅れて把握することとなった。


 ルヴィスがアルテラスこと半獣の巫女の首を剣で刎ねようとした直前、空中から何かが一直線に飛んできては、ルヴィスの首を一発で斬り飛ばしたのだ。


「ッ……! 今、何が起きた……!?」


 一方、首を刎ねられたルヴィスは星銀鎧装アストラルアーマー緊急回避バックブリンク機能によって一度限りの即死キャンセルを発動させ、一旦アルテラスから距離を開けた場所へと瞬間転移する。その位置から自分を一度殺した要因の確認を図ったのだが、


「アレは……ッ!」


 彼がすぐに目を向けた先、そこの地面には一本の“剣”が突き刺さっていた。しかもその剣の形状は明らかに奇妙で、真っ直ぐに伸びた刀身の左右から交互に突起が枝分かれしているような、いわゆる七支刀のような見た目をしていた。ただし、ルヴィス達の見ているその武器に関しては、分かれた突起は全部で“九つ”あった。


「だから言ったであろう。まだ安心するには早い、とな」


 すると、唖然としながら突然現れた謎の剣を凝視している一同にアルテラスが声を掛ける。そしてアルテラスが残った方の腕をその剣に向けて伸ばすと、剣の方もまた独りでに刺さっていた床から抜けては、ひゅんと宙を飛んで自らアルテラスの手中に握られた。


「いやいや! 何さ、あの武器けん! 何処から出てきたの!? ていうか、今のってズルじゃん! あまりにセコ過ぎるでしょ!」


 新たに出現した武器を手にしては、したり顔を浮かべているアルテラスに、ジェドがふざけるなとばかりに捲し立てるが、


「やれやれ、何がズルくてセコいものか。まず、そこな賢者の娘が妾の片腕を封じたまでは良かった。そしてルヴィスが妾のもう片腕を奪ったのも良かった。――しかし、それで妾に武器が無くなったと勝手に勘違いしたのはお主らの落ち度だ。そして……」


 そこまで言うと、アルテラスは失った片腕と尾の全てをまるで時間を巻戻すが如く、一瞬にして綺麗に再生させた。そうして、


「たかだか腕の一本、尾の数本を斬り落とした程度で良い気になられても困る」


 何事も無かったかのように五体満足な状態を見せつけながら、ルヴィス達へと邪に微笑んだ。


「なッ……!」


(くっ、マナスポット化しているこの戦場フロアなら、分身体の即時形成と同様に身体の欠損もすぐ治せる訳か……。こいつは厄介極まりないが、それ以上に……)


「――アルテラス神。今、新たに手にした武器も神器の一つか?」


「ん? ああ、コレはこの遺跡に“余っていた”武器の一つだな。別に島の民たちへ、ここにあった全ての武具を授けた訳ではない」


 ルヴィスの問いを受け、アルテラスは七支刀ならぬ九支刀とでもいうべき剣を掲げてみせながら、何てことはないかのように答えた。その発言に、ルヴィスは思わず顔を顰めてしまう。


(ッ……。あの様子だと、他にも得体の知れない遺物アーティファクトの武器や魔道具を持っている可能性を考慮しなければならないか……!)


「さて、では死合再開といこうか。お主もまたディアンに次いで中々の剣士だが、刀剣を使う妾もまた一味違うぞ」


 休憩おしゃべりはここまで、といった様子で剣を振り上げながら告げたアルテラスに、ルヴィスは再び構えを取り直す。そうした彼へアルテラスは一気に間合いを詰めて飛び掛かり、これまでとは全く異なるスタイルの動きにて怒涛の攻撃を仕掛けてきた。


「ちい……ッ!」


 それにルヴィスは応対して互いに剣を激しく打ち付け合う形となるが、先程までの爪による戦法と違い、完全に初見となる剣技を前にどうしても懐へ攻め込むことは困難となった。逆にアルテラス側はルヴィスの剣筋に慣れてきてしまっている為、余計にルヴィスは防戦で手一杯な状況へ陥ってしまう。


「アイツ、剣も使えるっていうか、むしろ剣の方が強いんじゃない!? くっ、こういう時の援護は――」


「――バーストチャージ!」


 すると、戸惑っていたジェドのすぐ傍にて賢者妹がクリスタルを取り出しては、後方からルヴィスへ限界突破魔法を掛けた。


「ちょっ、随分思い切ったね! あの魔法、自前じゃなくても効果切れたらバテるんだよ!?」


「それは承知してます。でもどの道、長期戦に持ち込まれるのは拙いです。それなら、出来るだけ早く一気に押し切った方が良いかと思います」


 迷いの無い表情で言い切った賢者妹の言葉に、


(確かにその通りではあるな。下手に消耗を重ねてジリ貧になるよりは、いっそ賭けに出た方が勝機はあるか……!)


 ルヴィスもまた内心で同意を示し、更に増した膂力にて今まで以上の猛攻を掛けた。


「……よし、だったら僕もルヴィスに全額ベットしちゃおうかな!」


 ルヴィスが再度攻勢に出始めた後、ジェドもまた気合を入れた表情を見せ、それから魔杖を差し向ける。


「精彩に漲る雷電の覇気、その身に宿せ――デュナミスブーストッ!」


 そして詠唱後、ジェドが掲げた魔杖の先からは雷を束ねたような一筋の光が飛び、それは戦っている最中のルヴィスへと当たった。その後、ルヴィスの背中に光る紋様が浮かび上がり、それに伴って全身にバチバチと放電しているかのような魔力の流れが発生しだす。


(――ッ! この強化魔法は……!)


「やっちゃえ、ルヴィス! 僕の魔力、盛大に使ってくれ!」


 今、ジェドが放ったデュナミスブーストという魔法。これは使用者の魔力を対象に帯電という形で装備させる効果であり、帯電中は対象者の魔力消費や肉体的負担を減らしつつ、身体機能をより向上させるという、言うなれば外付けの追加バッテリーのようなもの。しかもこれは他の強化付与と競合コンフリクトしないので、更なる能力増強の重複が可能であるのだ。


「ああッ! 任せろ!」


 実質、ジェドの魔力をそのまま得た状態となったルヴィスは遠慮なくその援助分を消費し、限界突破を更に超えた動きにてアルテラスへと畳みかけた。その壮絶な猛攻と連撃は遂にアルテラスの剣技を上回りだし、唐突に押し返されたアルテラスは余裕のあった表情から笑みを消す。


「こやつ、小癪な真似を……!」


 面白くなさそうに舌を打ったアルテラスは一度、大きく剣を薙いでは地面ごと爆ぜさせる衝撃波を放ち、それに伴ってルヴィスを弾いては自身もまた一旦距離を取った。


「やるな。しかしそう来なくては、宝剣コイツを持ち出した意味も無い。そして――」


 そう言うと、アルテラスは剣を持っていない方の腕を目線の高さまで掲げては、その手を何かの形にしてみせた。人差し指と小指を立て、残った三本の指先を重ね合わせる。その形を見て一同の中で唯一、綾美だけがそれを“狐”のようだと連想した。


「また特別に、妾はこういった事も出来るというのを教えておいてやろう。――コンコンッとな」


 言いながら、アルテラスは何かを形作った手を二度軽く揺らす。直後、


「……ッ! 危ない!!」


 突然、ジェドが只ならぬ形相で叫びながら賢者妹を大きく突き飛ばした。そしてその後、何も無かった空間を突き破るようにして飛び出てきた、真っ赤で大きな獣の頭に彼女は食われた。


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