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魔石職人の冒険記  作者: 川島 つとむ
終章  魔石職人
51/54

モンスター達のお祭り

登場人物 ロップソン=ロプ(台詞表記) ジャド=ジャド(台詞表記) ニイナ=ニナ(台詞表記) ミリアナ=ミア(台詞表記) レイセモルス=レイ(台詞表記) 小林幸=幸(台詞表記) ミーリス=ミリ(台詞表記) バグ=バグ(台詞表記)  レイシア=レア(台詞表記)

 僕達がフォーレグス王国という国に厄介になることになってしばらくすると、お祭りをするという話が噂になった。何の祭りなんだろうって思っていると、グロッサブさんから収穫祭だと聞かされる。

 コボルト達が作った作物を評価してのお祭りって感じなのかもしれないな。ただ、好き勝手に準備をしている感じで、開催予定日などが全然発表にならないところに、手際の悪さが窺える。モンスター達もがんばっている者と、何かしようとしているものの結局何をしたらいいのかわからないみたいな者などがあちこちにいて、まとまりがない感じだな。

 僕らは参加したりしなくていいのかなって考えつつも、オロオロしていたら数日後に祭り開始の日取りが発表されて、その頃にはこれ絶対に間に合わないだろうというモンスター達の露店が、バグさんの配下だと思うモンスター達の指導でどんどん準備を終わらせていっていた。

 ここには優秀な人材が一杯揃っているのだな。そう思ったよ。どうやらモンスター達には自分達でお祭りを開くという経験がなかった為、祭りの開催日を発表していなかったようだね。進捗状況を見て開催日を決めるっていう手順だったようだ。

 結局僕らは祭りにはお客側として参加って感じで、自分達で露店とかそういうのはしなかった。

 町中にはどこからともなくピアノやヴァイオリン、フルートのソロ演奏が聞こえて来て、騒がしい喧騒の中だけれど独特の雰囲気をかもし出していた。


 幸  「ジャズのお店を想い出すね」

 ロプ 「あったな~」


 幸に言われて、日本で行ったお店の事を想い出した。あれは良いお店だった。なんとなくこの曲とかを聴いていると、そのうち娯楽方面も発展して、ジャズバーみたいなものも出て来るのではって思えるな。


 ニナ 「人間の町より雰囲気いいんじゃないの?」

 ミア 「この音がなんともいえない優雅な雰囲気を作っていますね」

 レイ 「あっちの広場で演奏しているようですね」

 ニナ 「行ってみようよ!」


 特にどこに行くって予定もなかったので、みんなでそっちへ行くことにする。

 今演奏しているのはピアノだな。こっちの世界にはまるっきり存在しない楽器になるので、見物している者達はその大きな黒い楽器を物珍しそうに見ていた。そこには人間の子供達も集まっていて、その他の楽器などをいじらせてもらっていたりする。モンスターも器用そうなものは、楽器に興味があるのか、彼らに楽器の使い方とかを指導しているようだった。不器用そうな者も、太鼓を鳴らして喜んでいるな。

 楽器に興味があったのか、ニイナがなんとなくできそうなものを教えてもらっている間、僕らは演奏を聞いたり、ニイナと一緒に楽器をさわったりしてちょっとの間楽しんだ。この人達は人間かな? 三人の演奏者は簡単に楽器を演奏してのけるので、自分もできるんじゃないかって思ったのだけれど、そう簡単には扱えないようだな。

 そんな中、ピアノに一人の子供を呼んで、一音だけ一定リズムで鳴らしてもらい、それだけでまるで二人で楽しく演奏しているようなそんな演奏パフォーマンスなども披露してくれる。これ、楽器が弾けたらかなりかっこいいなって思えたよ。

 実際そう思った者も多いのか、かなりの者が真剣に楽器を教えて欲しいってその三人の人間に申し出ていた。それを受けた三人の演奏家達も快く受け入れて、学校で教えるので後日そっちに来て欲しいって案内していたのを見て、ああ演奏してパフォーマンスしながら勧誘もしていたんだなって気が付く。

 ここにある楽器はほんとにいろいろな種類があったのだけれど、演奏者でここにいるのはたったの三人。単純に今回参加出来たのが三人だって話でないのなら、他のメンバーがいない可能性も高いのでおそらくは仲間を募集してここで披露していたのだろうな~


 その後は殆ど食べ歩きで時間を過ごして行った。遊べる露店とかもあったのだけれど、モンスターと力比べとかそういうのははっきりいってきつい!

 あんなの勝てる訳がないだろうって思っていたのだけれど、バグさんは普通に勝っていた。というか、あちこちの露店に捕まってゲームをさせられているようだったけれど、露店の主と勝負するタイプのものはほぼバグさんの方が勝っていた。

 あの人何者だよ・・・・・・ジャイアント種と力比べして勝てる人間なんている訳がないだろう・・・・・・

 そう思っていたのだけれど、レイシアさんも普通に倒していた・・・・・・

 もうあの二人は規格外って認識でいいだろうな。

 あの実力で落ちこぼれって、ほんとにどうしてだって言いたいよな~

 幸から聞いた話だとバグさんは、レイシアさんではとても歯が立たない程の実力を持っているとか言っていたよな? そのレイシアさんはジャイアント以上の力を持っている。バグさんには逆らわない方がいいな・・・・・・

 そして露店で買い食いして歩いていたのだけれど、売っている食べ物はどれも見たことがないものばかりなのに、どこで買った食べ物も凄く美味しかった。美味しいものっていえば日本由来のものだけだと考えていたのに、逆に日本にありそうなものの方が、ここでは少なかったくらいだ。

 つまり、日本の料理と同等な料理が沢山考え出されているのか、どんな料理でも美味しいと思わせるような品質のいい食材がここには多いのかどちらかなのだろう。

 つくづくフォーレグス王国は優れた国なんだなって理解できたよ。そして夕方になるとアナウンスが流れ、町の外へとみんなが移動して行くので、僕達もその流れに乗って町の外へと出て行った。どうやら花火を打ち上げるようだな。

 こっちの世界に花火というか、火薬というものそのものが存在していないので、これもやはりバグさんが持ち込んだ技術なんだろうな。そういえば結局日本ではテレビでしか、花火を見ることはできなかった。せっかくなので、花火というものをじっくり観賞させてもらおうかな。


 夕方から移動して会場にいたので、少し暇な時間ができたりしたけれど、無料のおやつなどが配られるなどして、みんな大人しく始まるのを待っているのが不思議だった。モンスターっていうのはもっと無秩序なものだとばかり思っていたけど、本当に人間とそう大差ないんだな。

 そんな僕達が襲われたりしないように警備の者もここには配置されているのが見える。かなり高位のアンデットではないだろうか? あんなのまで支配下にいるのか・・・・・・

 この戦力なら魔王軍や人類軍に並ぶ第三戦力として十分というか、二つを合わせた戦力と戦える程、過剰な戦力じゃないのか? バグさん、戦争でも始める気なのですか・・・・・・


 ジャド「あのアンデット。エルダーリッチか?」

 ミリ 「確かに、あれはエルダーリッチみたい」

 ニナ 「あれって、ダンジョンとかに行くとボスとかで出て来るやつだよね」

 ジャド「だな」

 ロプ 「ダークナイト・スケルトンとゾンビロードもいるようだな」

 ジャド「おいおい、アンデットの最高峰がおそろいかよ。過剰戦力って言ってる場合じゃないなこりゃ。あー、そういえばこの国って魔王が国王だったのか・・・・・・それなら従っていて当たり前なのか?」

 ミア 「少し前に勇者が攻めて来たそうですが、封印されたそうですよ」

 ジャド「そりゃあ、これだけの戦力がいたらそうなるわな~」

 ニナ 「いやいや。勇者様、話も聞かなかったらしくてレイシアさんともう一人女の子の二人だけで十分だったんだって」

 ロプ 「もうここまで来ると、どうとでもしてくれって感じだな」

 ミリ 「そんなことを言っていると、本当に世界征服し出したりしてな」

 ミア 「レイシアさん達が、そう思わないようにしたいところですね」

 幸  「バグ君は、誰かを支配するとか面倒だから嫌なんだそうですよ。だから配下の魔王さんがこの国の国王になったんだとか」

 ニナ 「いやいや、そもそも魔王が配下にいるのがおかしいんだよ」

 ミア 「確かにそうですね。でも支配するのが面倒ってことは、世界征服とかしないってことなので、安心じゃないですか?」

 ロプ 「逆にこの国を見ていたら、バグさんが支配していた方が、平和って気もしないでもないがな」

 ジャド「お願いだから世界征服してくださいって、そのうち頼むようになったりしてな」

 レイ 「場合によっては、本当にお願いしないといけないですね」

 ミア 「みんなが幸せになるのなら、そうかもしれませんね」


 そんな話をしているとどうやら時間になったようで、アナウンスで開始の合図が流れて一発目がフォーレグス城をバックにして夜空に光の花を咲かせた。

 ・・・・・・言葉も出ないとはまさにこの事ではないだろうか? 日本の花火ってやつをテレビ越しに見たけれど、ここまで大きく綺麗だとは思いもしなかった。

 そして決定的な違いといえば、この体全面に響いて来る音の迫力。微かに風に乗って運ばれてくる危険な香り、まさに全てが圧倒されるような気がした。そんな感じで、集まった全ての者達が夜空を見上げたまま固まっていると、次々と花火が上がって行く。


 うぉおおおおおーー!


 その見事な花火の嵐が、夜空に大輪の花をいくつも咲かせる光景を見て、モンスターも人間も関係なく歓声を上げた。これは凄い! この光景は一生のうちで一度は見ておかないと損だろうっていう程素晴らしかった。

 その後はもうみんなして騒ぎっぱなしで誰もが興奮して、花火が終わった後もそれは冷めない様子だった。

 祭り自体は何日か続くようだったけれど、基本は好きに食べろって感じのお祭りみたいだな。一部娯楽の露店はあるものの、メインは収穫した野菜を美味しく食べましょうっていうことらしい。そして夜になると、どうやら花火は初日の夜だけだったようでもうやらないみたいなのに、国民達は花火会場へと集まって飲み食いしながらやらないのかーって騒いでいた。

 余程気に入ったとみえる。

 そんな感じで祭りが終わると、新たに花火職人という職業が誕生したようで、そっちについての勉強も学校で受けることができようになったみたいだ。これからのイベントは、どんどん花火を打ち上げて行くのかもしれないな。


 祭りが落ち着いてしばらくすると、バグさんから招集がかかった。

 呼ばれたのは僕達パーティーメンバー全員と、物作りが好きそうな者達が何人かのようだな。そしてこのメンバーで飛空艇という空を飛ぶ機械を作るように指示される。これって、日本にもなかったやつじゃないかな? 一応空を飛ぶ物として飛行機と呼ばれる機械はあったみたいだけれど、どちらかといえば幻影で見せられた飛空艇はゲームとやらに出て来る物に似ていた。

 これを僕達で開発しようっていうのか・・・・・・正直言って、造れる気がしない。そもそも何かが空を飛ぶという感覚がよくわからない。バグさん程の人なら空くらい魔法で飛べるのだろうが、こんな機械どうやって空に浮かべればいいというのだ? どこから手を付けていけばいいのか、取っ掛かりすら想像が付かないぞ。

 僕を呼んだっていうことは、魔石を使うのか?

 そう思っていると、どうやらちゃんと考えていたみたいで、一番メインとなるジェットエンジンという物を研究して行くという説明をされる。一応そのエンジンの仕組みも幻影でわかりやすく教えられる。こうやって説明されると、なんとなくできそうな気もして来るな。

 あくまで単純な構造が分かっただけなので、一発成功とかはないだろうが、まるっきり手が出せない状態ではなくなったみたいだ。

 そして実際に目の前で即席の玩具ジェットエンジンを造り出して、実験して見せてくれる。というかこの人・・・・・・何も無い所から物体を生出すことができる存在なのか・・・・・・これって、まるで神様のような力だよな?

 というか、配下に魔王までいる力の持ち主ってことは、ほんとに神様だったりしないよな? もしそうだったとしたら、僕は散々神様に対して反抗的な態度をとっちゃってるんだが・・・・・・

 とにかく今後はバグさんに逆らわないようにして行こう。どっちにしてもこの人は怒らせたらまずい人なのは確かなので、例え神様ではなかったとしても、逆らわないようにしておいた方が無難だ。いやそもそも配下に魔王がいる時点で、神というよりは邪神の可能性も・・・・・・ないよね?

 今までの接触で、少なくとも人の命を好き勝手に扱う類の人ではないのはわかっている。それならば、多少の無茶は聞くようにして怒らせないように立ち回った方がいいだろうな。

 まあ飛空艇の開発については、開発自体には関われないだろうジャド達もやりたいって表情を浮かべていたし、僕としても新しい物を開発することができるのは楽しみではあるのだけれどね。


 ジャド達は僕と違って生産とかの知識はまるでないのに、何をさせる為に呼んだのだろうと考えていたんだけれど、どうやら飛空艇が完成した時の運転する仕事の為に呼ばれていたみたいだ。運転する者が、ある程度構造を知っているのは必要なことなんだそうだ。それと今後のジャド達の生活について、開発自体はできなくても機内の配置くらいは家の内装とそう変わりないので、できるだろうっていう話だった。

 何から何までいろいろと考えてくれているんだな~

 確かに、冒険者の仕事がないジャド達には、今後何か仕事をしなければ生きては行けない。そういう意味でも仕事を貰えるというのはありがたい事だな。

 それぞれに分担した作業を何日か進めて、テストを繰り返して行く。当初幻影を見せられてこれを造って欲しいみたいに言われた時には絶対に無理だと思っていたけれど、構造も教えてもらえて直ぐに研究を進められる状況の玩具まで用意してもらえたので、苦労というか挫折みたいなものもなくジェットエンジンを造って行くことができた。

 というか、これはもはやバグさんが作った玩具を実物大に造り替えて、調整したって感じだろうな~

 とてもじゃないが、僕達で造り上げたって言えない気がするよ。それにエンジンの取り付けから、エンジンの数や旋回したり離陸に着陸に至るまでの動作方法など、ほぼバグさんが全部やってしまったようなものだ。

 こっちは言われたように必要箇所を組み立てて行っただけって感じでしかない。

 試作の飛空艇が完成してからも、一番危険なテスト飛行をバグさんがやってくれたので、問題点の改善などみんなで話し合ってちょっと調整するだけで、大体完成してしまった。

 まあさすがに一番最初の機体をそのまま使うことはできなくて、一度ばらして大幅な形の変更などが必要だったけれどね。でもこういう新しい機械にはつきものだと思われる、大きな事故なども起こらないで完成までこぎつけられたのは凄い事だと思う。


 そこからこまごまとした調整や必要な小物を作るように指示されて、実際必要だなって思われた物を取り入れたドラゴンなども乗れる飛空艇が完成したのは、一ヶ月以上経ってからだった。

 そして国内の交通網に使う為には一機だけでは数が足りないようで、七機の飛空艇を量産することになる。

 こちらが量産している間に、殆どは自動操縦で動くらしいのだけれど、運転する必要が出て来た時の為にジャド達が操作技術を叩き込まれていた。運転手というよりは管理人って感じかもしれないな。

 量産されて八機そろうと、飛空艇は国内の町を飛び回り始めるのだけれど、僕達開発に携わった者には別の仕事が与えられた。四人くらいが乗れるような個人的な飛空艇の開発と、個人で空を飛ぶグライダーっていう物の開発らしい。小さい飛空艇は荷物運びに使うのだそうで、個人グライダーとやらは飛空艇から飛び降りる為のものなのだそうだ。

 何故飛び降りる必要があるんだ? そう何人かが疑問に思ったところ、そうするといちいち町に降りなくてもよくなるのだそうだ。それと普段空を飛べない者がつかの間にはなるのだけれど、空を飛ぶ楽しみを味わえるっていう娯楽的な意味合いもあるんだそうだ。へ~

 まあそういうことなら造ってみるかって感じで、みんなで開発を始めたよ。

 幸は今回やることがないようで、野菜の品種改良の仕事を任されることになったみたい。そっちに関しては僕にはよくわからないんだよね。既に十分美味しいって思えるので、何が足りないのかがわからない。だから幸がする仕事としてはばっちり合っているかもしれない。


 僕達が小型の飛空艇を開発している間に、町は大きく変化していた。ただ小型にするだけなのだけれど、やはりそれなりの時間がかかっていたので何時そんな事になったのかがわからなかった。モンスター達が人間と同じように服を着て歩いている・・・・・・一体二体の話ではなく、ほぼ全てのモンスターが服を来ていた。

 言葉だけで聞けばどおって事もないように思えるが、ただ服を着ているというだけで町を歩くモンスター達がまったく別の存在に思えた。いうなれば文明人のような感じ。今までのモンスターがただ町に連れて来たのだとするならば、服を着たモンスター達はしっかりと文化を手に入れて、フォーレグス王国に溶け込んだ証のように感じられた。

 もはや彼らはモンスターと呼ばれる存在ではないのだと、視覚的に教えられた気がする。これがバグさんの言っていた共存するっていうことなのかと、今更に理解できた気がしたよ。

 それとフォーレグス王国は今まで、内政ばかりに力を注いでいたようだけれど、ここにきて国外にも力を入れて行くことになったようだ。具体的には異種族との共存を受け入れてもらえる国と、同盟を結ぼうという話らしい。一国がこちらに視察に来ていたようで、その後あちこちに飛空艇を飛ばして、もっと大々的に友好関係を結ぶ使者を送っているようだった。

 ここもまだまだ変わっていくのだな~

 こっちも個人グライダーを完成させれば落ち着くので、本格的に幸と向き合って行こうと決心する。一応自分の夢はかなえられた。それで問題がいろいろと起こったものの、フォーレグス王国にいれば襲撃を警戒する事もなさそうだから、もうそろそろ落ち着くのもいいかもしれない。

 ごたごたに巻き込まれたおかげで、とても落ち着いている場合ではなかったから延び延びになってしまったけれど、ちゃんとここで暮らしていけるようになったし、今後のことを真剣に考えて行くことにした。

 そういえば前に気持ちを伝えようとしたらバグさんが止めていたな。ムードがないとか何とか? 誰か相談できる人はいないものかな? さすがに本人に聞くことはできないし、異世界について知っている人なんていないしどうしたらいいんだ?

 悩んでいたら町中でバグさんの配下の人を見かけた。あれは確か神官の人だったか? バグさんの関係者ならいろいろと知っているかもしれないな!


 ロプ 「すみません!」


 そこまで言葉にしたけれど、あの人の名前を知らない・・・・・・どうしたものかと思いつつも、慌てて追いかける。ここで見失ったら他に相談できる人がいないしな。


 ロプ 「すみません、バグさんの配下の方ですよね?」

 配下 「ええ、ベルスマイアといいます。それでどのようなご用件でしょうか? ロップソンさん」

 ロプ 「えっと、僕の事知っていらしたのですね」

 配下 「はい。私達はこの町の出来事は大体把握していますよ」

 ロプ 「えっと、こういう相談っていうのもしにくいのですが、異世界のことはわかりますか?」

 配下 「なるほど、ここで軽々しく話せる内容ではないかもしれませんね。場所を変えましょうか」


 そう言われたので、どこか落ち着ける店にでもって思い周りを見ようとした瞬間、転移させられた・・・・・・思わず嘘だろうって思ってしまう。それはつまり、このベルスマイアという女性も、上級魔導師くらい強い存在だということだ。あー、でもバグさんの配下には魔王とかいたので、ひょっとしたら配下の全員がこんな規格外の存在ばかりなのかもしれないな~

 そんな考えに思い至ると逆に冷静になれた気がした。

 改めて見回してみると、そこは落ち着いた内装の部屋に来ていた。ぱっと見はどこぞの貴族の部屋って感じだけれど、それにしては広さが足りない、そんな感じの部屋だな。調度品などがそこそこ置いてあって、来客用の部屋かもしれないな。


 配下 「それで、異世界のどのような事が知りたいのでしょうか?」

 ロプ 「えっと、以前バグさんに、ムードが足りないと言われた事があるのですが、幸に告白するのに必要なそのムードというものがどのようなものか教えてくれませんか?」


 一瞬。ベルスマイアという女性が目を丸くした。直ぐ元の柔らかい表情に戻って答えてくれる。


 配下 「単純に言ってしまえばデートなどをして、幸さんに想い出に残るような幸せな出来事を作って差し上げれば問題は無いと思います。ただ注意点としては、これは相手の気分を盛り上げる為のものなので、お茶らけた想い出とかそういう雰囲気をぶちこわすものは避けた方がいいですね。幸さんに、ずっと一緒にいたいと思わせる想い出を作って差し上げられたらいいと思いますよ」

 ロプ 「なるほど」


 幸に幸せな想い出になるようなデートをすればいいってことだな。前にあったジャズのお店みたいな所に行ったりすればいいってことだろうな。


 配下 「告白が成功した後、結婚はお考えになられていますか?」


 こっちがデートとやらを考えていると、さらに先の話をして来た。確かに告白を受け入れてもらえたのなら結婚の儀式をするのも当たり前だろうな。そういえば、フォーレグス王国には教会の類がなかった気がする・・・・・・ひょっとして結婚の儀式をする為にはどこか別の町へ行かないと駄目かな?


 ロプ 「別の町に行けば教会はありますよね?」

 配下 「一応以前結婚式を執り行った時に、日本式の結婚式でも祝福を受けることができるのを確認できています。こちらに比べて少々派手な演出にはなりますが、それでもよろしければ準備しますよ」


 なんか、ここで頼むとまた借りが増える気がして来る・・・・・・しかしもうどうやっても返せない程の借りができているんだし、もう一つ二つ増えたところで、今更って気もして来たな・・・・・・

 どうせバグさんは神の如き力の持ち主なんだ、これくらいの事は借りとも思っていないのかもしれないって気楽に考えておくかな。


 ロプ 「えっと、上手くいったらお願いしてもいいですか?」

 配下 「ええ、私が仕切らせてもらいますので、その時はよろしくお願いします」


 そうか、この人は神官なんだから、結婚の儀式とかできるってことなんだな。そうするとホーリーシンボルとか持っていないようだけれど、この人はサフィーリア教の神官なのかな? どこの教会か所属を示すホーリーシンボルとか、なんでもっていないのだろう?


 配下 「それでは私達と連絡を取る方法を教えておきますね。お城まで来ていただいてもいいのですが、なかなか一般の人には入りにくい場所でしょうし」

 ロプ 「そうですね、教えてもらえれば嬉しいです」


 そう言うと、町の広場に転移させられていた。これ、どこにでも直ぐ移動できて、凄く便利だな。というか、無詠唱で複数人移動させられるって何気に超高度な技術じゃないのか? 本当に規格外の人達だな・・・・・・


 配下 「えっと、この像に話しかけてもらえれば、私達に連絡がつきます」


 広場のど真ん中にあるガーゴイルの置物。台座に座っているこれってひょっとしたら作り物じゃなくて、本物だったのか・・・・・・?


 ロプ 「これって、本物だったんですか?」

 配下 「ええ、町のいたる場所で問題が発生していないか見張っていたりしますよ」


 そういってどこか上の方に視線を向けていたので、その視線の先を追うと、屋根の上にも飾りのようにして目立たないガーゴイルを発見することができた。気が付かないうちにこうやって守られていたのか・・・・・・つくづくここは幸せな国なんだな。


 ロプ 「えっと、バグさんにもいろいろお世話になりますと伝えてください」

 配下 「わかりました。がんばってくださいね」


 バグさんには本当に感謝だなって思いつつ、気合を入れてデートの計画を立てなければって気持ちを切り替えて行く。ベルスマイアさんにも応援してもらえたので、がんばってみようって気合を入れた。


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