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魔石職人の冒険記  作者: 川島 つとむ
第五章  リンデグルー自治国記念祭
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リンデグルー自治国記念祭

登場人物 ロップソン=ロプ(台詞表記) ジャド=ジャド(台詞表記) ニイナ=ニナ(台詞表記) ミリアナ=ミア(台詞表記) レイセモルス=レイ(台詞表記) 小林幸=幸(台詞表記) ミーリス=ミリ(台詞表記)

   第五章  リンデグルー自治国記念祭


 ロプ 「おはよう~」

 幸  「オハヨウデス」


 翌日ギルドにやって来ると待っていたミリアナに挨拶をした。


 ミア 「おはようございます。ロップソンさん、サチさん。やっぱりサチさんがいると遅刻しなくなりますね」

 ロプ 「朝起してもらえるからな。あっちの世界だと、目覚まし時計っていうので起してもらえるぞ」

 幸  「アサオキタイジカンヲ、マエモッテセッテイシテオクノデス。ソウスルトオトガナッテ、オキレマス」

 ミア 「へ~、便利な道具があるのね。でも音が鳴るとかだと、冒険中には使えそうにないね」

 ロプ 「ああ、確かにそうだな。でもあっちの世界にはそういう危険とかなかったから、気にしないでいられたよ」

 ミア 「平和でいい世界ですね」

 幸  「ニホンハトクニソウデシタガ、ベツノクニデハハンザイモ、メズラシクナイデスヨ」

 ロプ 「幸のいた国は、あちらの世界でも争いが少ない国だったんだ。他の国にいけば人間同士になるが、普通に戦争とかもやっていたそうだよ。まあそれでも、こっちほど争いが絶えないって感じではないだろうけれどね」

 ミア 「私達も努力して、そういう国を目指していかないとですね」

 ロプ 「魔王も討伐されたばかりだし、当分は大丈夫なんじゃないか? 殆どの盗賊なんかは真っ先に魔族の配下にされて怪物になったって話だから、今は盗賊の類が極端に減っているだろうし」

 ミア 「こう言っては失礼になるのかもしれませんが、その点だけは魔王が復活してよかったと思えるところかもしれませんね」

 幸  「ケッコウダイタンナ、ハツゲンデスネ」

 ロプ 「神官が言っていい言葉ではないだろうな。ミリアナ、しばらく罰が当たらないように気を付けた方がいいぞ~」

 ミア 「確かに、失言し過ぎました。しばらくは気を付けて行動しますね」

 ニナ 「やっほ~」

 レイ 「おはよう」

 ミリ 「おはよう」


 僕らがのんびりしているとまとめてみんながやって来たようだ。


 ミア 「おはようございます」

 幸  「オハヨウデス」

 ロプ 「おはよう。ミーリス、ロングソードができているから渡しておくよ」

 ミリ 「おお、もうできましたか。ありがたい」


 用意していた剣を早速渡すと抜きはしないが鞘に入れたまま構えて見て、できる事なら早く使ってみたいって感じでそわそわしていた。ギルドの中で剣を抜くのは御法度なのでさすがに我慢しているようだね。


 ミア 「ミーリスさん、お茶でも飲んで落ち着きましょう」

 ミリ 「あ、ああそうだな。焦らなくともこの後依頼を受けるから、直ぐこいつの出番も来るだろうしな」

 ロプ 「まあ途中で素振りする時間くらいはあるさ。マギーで移動するが、一応今まで使っていた方の剣も持って行くのだろう? 持って行かないのなら、マギーの中に置いておけばいいんだが」

 ミリ 「新品だからどっちも持って行こうと思う。オーダーメイドで作ってもらっているので、扱いにくいという事はないと思うが念の為にな」

 ロプ 「調整の必要があったら、遠慮なく言ってくれ」

 ミリ 「わかった。その時は頼む」

 ジャド「みんな揃っているな。今回の依頼はロップソン経由でのご指名で、商業ギルドの素材集めをする事になった。難易度は低くて簡単かもしれないが報酬はそこそこ良いし、ギルド関連の依頼を引き受けるのは上の人間に良い印象を持ってもらえるので、断る理由のない仕事だ。まあそれでも遠慮したいやつがいたら言ってくれてもいいぞ。うちは結構人数がいるからな」


 そうは言っているものの、特に断ろうというメンバーもいなくて普通に依頼にサインをしていく。全員のサインを確認した後、受付へと向って行った。


 ロプ 「そういえばもう直ぐだったか。自治国に変わった記念祭は・・・・・・」

 ミア 「そうですよ。もう一か月を切りましたね」

 ニナ 「商業ギルドの素材集めって事は、野生動物を狩るのかな?」

 ロプ 「それもあるだろうな。ひょっとしたら二手に別れたりとかした方が、早く済む場合もありそうだな」

 ミリ 「素材集めをする場所が近ければ、そうしたいな」

 ロプ 「ああ、マギーで移動するとなると離れた所だとかえって効率は悪くなる時もあるか。何を集めるかによって相談って感じだろうな~」

 レイ 「でも、野生動物をしとめるのなら、サチさんがいてくれるのは助かるかもしれませんね。私達の中に狩人の技術持ちはいませんし」

 ロプ 「無理だと思う。幸は敵意を感知する技術は持っているが、襲って来ないような動物はおそらく素通りするんじゃないかな?」

 幸  「エエ、ロップソンサンノイウトオリデス」

 ミリ 「そこは魔法の探査系で補えばいい。生命か熱の探知でいけるだろう」

 ニナ 「魔法って万能だね~」


 ジャドが戻って来たので早速移動する事になった。集める素材リストには、かなりの数の収集物が記載されていて、マギーだけで運ぶにはきつい事がわかりきっていたので、一度家に戻って荷台を連結してからとりあえず平原へと向う事になった。

 その荷台も、おそらくは一つでは足りないかなって思い三つ連結させて、大型の獲物を運ぶのに便利なウッドマンも乗せて来ている。後は肉の収集になるので、痛まないように床に氷の魔石を設置して運べばかなりの数を大量に運ぶ事ができると思う。そして状態が良ければそれだけ報酬も上乗せしてもらえるだろう。


 ジャド「じゃあ、今回は収集する素材が多いから手分けするぞ。ロップソンとサチさんは森で熊と鹿を頼む。俺とニイナでウサギと牛だな。残りのメンバーでワニをお願いしたいが、いけそうか?」

 ロプ 「こっちは問題ないと思う」

 ミリ 「こちらも大丈夫だろう」


 そこまで強い敵でもないし、発見してしとめるのが大変なだけで危険とかは無さそうだ。倒した後運んだり、血抜きなどの処理が大変なだけかもしれないな。まあそこまで時間が厳しい訳でもないだろうし、ウサギ・・・・・・正式名称でいけばジャンピングラビット辺りなら、ミリアナでもソロで集めて来られるだろう。


 ロプ 「じゃあ倒した肉の鮮度が落ちないように、荷台をそれぞれ持って行ってくれ。下に車輪が付いているから手で押しても動かせるはずだから、もしどこかにはまって動かなくなったら、呼ぶか後で言ってくれればマギーで引っ張るよ」

 ミア 「わかりました」

 ジャド「了解、じゃあ別れてそれぞれ集めてくれ」

 ニナ 「やるぞー」

 レイ 「行きましょう」


 リストを確認して、それぞれに行動を始める。さてこっちは森に入ると以前に作った指輪の熱探知の魔法を起動させて獲物を探して行く事にした。まあしかし目標となる獲物だけが反応するとも限らないから、探知に引っかかったものが何かをまず見てから倒すかどうかを判断しないといけない。

 最初に探知に引っかかった相手はゴブリン四体だった。


 ロプ 「十時の方向ゴブリン四体」

 幸  「はい」


 ウッドマンを操作して荷台を運びながら探査するのが僕の役割で、幸が敵を捕捉し次第討ち取るって感じで行動していた。敵の数が多かったり、気が付かれて逃げられそうになったら魔法で支援もする予定である。今回のゴブリンに関しては四体とも狙撃であっさりと倒せた。おそらくどこから攻撃されたのか、何に攻撃されたのかわからず混乱したのだろう、たいした行動を取る事もできずに幸の攻撃を受けて倒れて行った。

 まあせっかくなので討伐部位だけ回収しておく。これは依頼ではないのだけれど、討伐部位をギルドまで持って行けば少しお金が出るのだ。ゴブリンは繁殖力が強いので、見かけたら倒してもらおうというシステムだ。逆に言えば放置したら一杯増えて厄介な事になる。

 その後も探知に引っかかるものは目標とは違うモンスターや、動物だったのだがなるべく倒せるものは倒して動物なら処置をして荷台に積み込み、モンスターなら討伐部位の回収をして行く。

 やはり狩人と違って闇雲に歩き回るのは効率が悪いのか、森に入ってから大体一時間くらいかかってやっと目標のフォレストディアの群れを発見する事ができた。これを一網打尽にできれば目標数を確保できそうなのだが、問題は逃げられないように倒すにはどうしたらいいかだな・・・・・・


 ロプ 「魔法の範囲外のやつを狙って撃ってくれるか?」

 幸  「任せて」

 ロプ 「秘めたる力よ吹き荒れよ、メンタルストーム」


 範囲内のフォレストディアが次々と精神力を吹き飛ばされて倒れて行く。範囲から外れ慌てて逃げようとしているフォレストディアはわずか五頭、幸が素早く狙撃するものの、一度に五頭はさすがにきついかなと思い、こちらも魔法で攻撃に参加する。


 ロプ 「飛沫よ凍れ、フリーズブリッド」


 逃げたうちの四頭を何とか狙撃する事に成功し、こっちで間に合いそうにない一頭を倒して全てのフォレストディアの確保に成功した。幸には周りの警戒しながら休憩してもらい、結構な数になるフォレストディアの処理を始める。確保できた数は三十二頭で、さすがにこれだけ荷台に乗せると一杯になってしまうというか、山盛りになっているな・・・・・・


 幸  「もう熊を乗せるところがないね。休憩したら一度戻る?」

 ロプ 「そうしよう。さすがにちょっと狩り過ぎたかな?」


 全滅させるのではなく、範囲外だったやつは逃がしてあげればよかったかな? まあでもあいつらも結構繁殖力は高めなので、絶滅する事はないだろうからいいかと思っておこう・・・・・・

 ミリアナと同じでお茶の用意をしていた幸と一緒に、少しだけ休憩してからマギーのところへと移動して行った。クッキーまではさすがに持って来ていなかったので、ほんとにお茶を飲むだけの休憩で、帰りは特に何事もなく森から出る事ができた。時間にして三十分程かかったかな?

 マギーの所へと向うと、荷台の一つにグレートカウ一頭とジャンピングラビット数十匹が乗せられていた。まだ空の荷台があるのでそっちの連結を解除して変わりにフォレストディアを積んだ荷台を連結させてもう一度森へ向う事にする。

 どうやら他のメンバーはまだ狩りを続けているようだしね。せめて熊の一頭くらいは捕まえて来ないと申し訳がない・・・・・・


 ロプ 「次は熊だ。別のところから森の中に行こうか」

 幸  「うん。それにしても熊か~。猟師さんになったみたいだわ」

 ロプ 「ああ、火縄銃で撃っていたって話だね」

 幸  「うん。実際に見た事とかはないけれど、今でも熊狩りしている村とかあるみたいだよ。銃を持つのには国の許可がいるみたいだけれどね」

 ロプ 「日本は銃器の使用は認められていないんだったな。剣もだめだったか・・・・・・ゴブリンが入り込んだだけでも、相当な被害が出そうでぞっとするな・・・・・・」

 幸  「日本にはモンスターはいないから」

 ロプ 「なるほどね。あそこ辺りから行こう」

 幸  「うん」


 森に入って十分程すると熊じゃないかなって痕跡が残っていたので、狩人の真似事をして目標に近づく事ができた。木に毛が付いていたり、大きな足跡とかがあったのを見付けたのだ。まあ一頭だけじゃなくてもう少し狩りたいところだけれどとりあえずは目の前の一頭だな。


 ロプ 「十二時の方向、ブラウンベア発見」

 幸  「了解、終わったよ」


 見付けた位置を知らせると、返事と共にしとめたようだ。銃器は凄いなと思いつつも早速死体の処理を済ませてウッドマンを操り荷台へと乗せる。これで一応はノルマを達成になるかな? 欲を言えば二・三頭は欲しいところなので、もう少し探ってはみるが見付からなければこのまま終わりになりそうだ。


 ロプ 「もう少し探すよ」

 幸  「わかった」


 森の中の冒険にまだ慣れていない幸の為、適度に休憩を挟みながら移動していると、木に付いた毛を発見する事ができた。毛の色は黒で、茶色じゃないところから先程の熊と違う個体がいると思われる。もしくは熊以外の何かって可能性もあるけれど、とりあえずこいつを探す事にした。時間的にもこいつを見付けて帰るといい頃合かもしれないからね。

 幸の疲れがある程度取れたと判断して早速追跡を開始する。幸い足跡によってどっちに向かったのかがわかったので、移動方向に迷う事はなかった。狩人の真似事でしかない為、完全な追跡はできないけれどがんばって追う事二十分程でそれらしい熱源を探知する。熱源をしっかり確認できる距離までゆっくり近付きブラックベアである事がわかり幸に報告をしようとしたら、既に幸が相手を把握していていつでも撃てるように構えていた。


 ロプ 「頼む」

 幸  「終わったよ」

 ロプ 「さすが~。じゃあこいつの処理をして荷台に乗せたら戻るから、休憩していて」

 幸  「うん」


 こちらの作業の間、幸には休憩してもらい体力を少しでも回復してもらう。やっぱり初心者だな・・・・・・しばらくは体力作りとかもした方がいいかもしれないな~。時に冒険者は一日中でも走り回っていないといけない事だってある。幸にはちょっときついかもしれないかな・・・・・・ここは何かしら体力を補う魔道具の開発が必要だろうか?

 回復の魔法が使えるのなら、そういう魔道具も作れそうなのだがさすがに神の声は聞こえて来ないので、そういう魔道具は無理だった。今のところアイデアが何も浮かばない為、保留にしておく。

 作業を終えて荷台に積み込んだ僕らは森から脱出してマギーの所へと戻って来ると、ミリアナ達ワニ担当組みが戻って来ていて、マギーの側でお茶会を開いているのがわかった。

 僕達も早速合流すると、とりあえず幸はミリアナ達の方へと向い、こっちは荷台を連結させる。


 ロプ 「お疲れ~」

 ミア 「ロップソンさんも、お疲れ様でした。鹿、一杯取れましたね」

 ロプ 「運よく群れを見付けたからね。その代わり熊は二頭しか、しとめられなかったよ」

 レイ 「リストには、最低一頭になっているので十分ではないですか?」

 ロプ 「熊肉なんか、結構癖が強くて何に使うのかよくわからないが、それでもリストは最低の数だと思う。もう一頭は確保しておきたかったよ」

 ミリ 「まあこればかりは運だからどうしょうもないと思うぞ」

 レイ 「ですね」

 ロプ 「そうだな。話は全然変わるのだが、ミリアナ。神官の魔法で癒しの力を使う時。傷の回復をするのと疲労を回復するのはまったく違う力を使うのか?」

 ミア 「基本的には別物でしょうか。ヒールでの癒しでも、多少の疲労は回復できるのですが、それは失った体力を取り戻す過程の副産物です。ファティーグリカバーという癒しの力で治す事ができますよ」

 ミリ 「だが、疲労の回復は普通に休めば回復するので、わざわざ奇跡を起してまで回復させる事はめったにないだろうな」

 ミア 「ええ、この癒しの力を使うのは、主にそういう病気の人とか、呪いなどで継続的に疲れやすくなっている人でしょうか?」

 ロプ 「なるほどな」

 レイ 「どうして突然そんな話をし出したんだ?」

 ロプ 「ああ、幸が別の世界から来ている事は説明しただろう? こちらと向こうでは姿は同じでも基本となる体力と言うのか肉体と言えばいいのか、そもそもの基礎になるものが大違いだったんだ。向こうに行った時なんだが、こっちでの僕の腕力はどちらかといえば低い方になるが、あちらでは僕に勝てるような力の持ち主は殆どいなかった。

 五・六人の男なら引きずって歩けたからな。でだ、幸がこちらに来たという事は彼女の基礎的な能力は子供よりも劣ると思う。スタミナなんかも当然低いだろうから何かしらで、補ってあげないとまともに冒険も出来ないかもしれない」

 ミア 「そうですね。ロップソンさんはサチさんを手助けする責任があると思います」

 ロプ 「ああ、わかっている。そこで僕の魔法と同じで、足りないものは魔道具で補って必要最低限は底上げしようと思っているんだよ」

 レイ 「そこでまずはスタミナの底上げというか、回復手段をという事なんですね」

 ロプ 「ああ。休めばどおって事はないのだろうが、いつもいつも休んではいられないだろうからな。幸が置き去りにならないようにする為にも、何か作っておこうかと思う」


 みんなと話していてヒールでも多少の疲労回復効果があるという話だったので、生命の属性石を使って自然回復力を向上させる方法でとりあえずは補えるかなって考える。幸に渡していた指輪を受け取り、まだ何の効果も持たせていなかった生命の属性石に自動回復の効果を与える。それを他の石ともリンクさせて新たな効果の上乗せを終わらせた。一時しのぎかもしれないが、とりあえずはこれでいいだろう。


 ロプ 「僕も神官とかになれれば、もっとピンポイントで効果のある魔道具とか作れるんだろうがな~」

 レイ 「できない事があるからこそ、仲間がいるのではないかな?」

 ミア 「そうですよ。ロップソンさんが何でもしてしまっては、私のお仕事が無くなってしまいます」

 ミリ 「あれもこれもとやると、いろいろ大変になるぞ」

 ロプ 「確かにそうだな」


 やっぱりできる事をやるのが一番かな。


 ジャドとニイナも帰って来て、荷台一杯に素材が集まった。移動している間に落ちたりしないように、布をかぶせてしっかりと縛り付けて固定すると、一度商業ギルドへと向う事にする。

 リストには他にも集めて来る素材は載っているものの、別に今日だけという訳ではないので、他の素材については後日集める事にした。

 まあそれ以前に、ここで集めれるものは大体集まって別の場所に採りに行かないと、他の素材は手に入らないのだけれどね。

 報酬は全てが集まった時になるのでとりあえず今日の分だけを先に納品して、また明日からその他の素材集めを始める。ちなみに今回運び込んだ素材は、状態がかなりよかったらしくとても喜ばれる事になった。

 それに集めた量も予想より多く、一日で運び込まれたにしてはとてもいい仕事だと判断されたようで、この時点で既に報酬は多めにしてくれるという話になった。まあ他の素材もよろしくという意味もあると思うけれどね。


 ジャド「じゃあ今日はここまでにして解散だ。みんな明日もよろしくな~」

 ミア 「お疲れ様でした~」

 ニナ 「またね~」

 レイ 「お疲れ様」

 ミリ 「お疲れ様」

 幸  「オツカレサマデシタ」

 ロプ 「お疲れ~。ジャド、この後家に来てくれるか?」

 ジャド「ああ、いいぞ」


 幸とジャドを連れて家に帰ると、ジャドに早速質問する事にした。


 ロプ 「大き目の盾を店で見るとか言っていたが、自分に合いそうなやつは見付かったか?」

 ジャド「その話か。一応自分なりの盾を決めたよ。スクトゥムってやつだと盾役の役目を果たすのにはいいんじゃないかって思っている」

 ロプ 「長方形のやつか?」

 ジャド「ああ、楕円形のもあったが、あれを使うくらいならカイトシールドってやつでいいかなと思うが、下の方が細い分すわりが悪そうだ」


 なら標準的なスクトゥムを、鉄粉を使った魔道具で作り出しジャドに渡してみる。ジャドがそれを受け取って具合を確かめていると、幸がお茶を入れて来てくれたので、飲みながら具合を聞いてみた。


 ロプ 「どんな感じだ?」

 ジャド「もっと手元が重くて周囲に行く程、軽い方がいいかな。大きさは横がもう少し細目にできるか?」

 ロプ 「全体の重量は?」

 ジャド「うーん・・・・・・重量そのものはそんなものかな。サチさんありがとう」


 今度はジャドがお茶を飲みながら要望を伝えて来る。重量配分を変えて、形状を少し変化させた盾を作り出してジャドに渡す。


 ジャド「いい感じかもしれん。まあ実際に使ってみないとなんとも言えないがな」

 ロプ 「まあそりゃそうだな。駄目なら駄目で、また作るよ」

 ジャド「わるいな」

 ロプ 「いや、構わんよ」

 幸  「ジャドサン、ゴハンタベテイキマスカ?」

 ジャド「いや、家の方でもう用意していると思うから、遠慮させてもらうよ」

 幸  「ソウデスカ、デハマタノキカイニ」

 ロプ 「じゃあ完成したら持って行くよ」

 ジャド「急がなくていいぞー。サチさん、またの機会にご馳走になるな」

 ロプ 「了解~」


 今日のところは、どんな感じにしたら重量がジャドの望むようになるのかを考える作業に費やされた。まあ結局のところは装飾を施す事で、周囲に行く程軽くなるように細工するっていう単純な方法を使う事にしたけれどね。

 盾自体の強度を損なわないようにデザインを考える作業なんかも必要になるだろうから、作製に入るのはもう少し後になりそうだな~


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