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魔石職人の冒険記  作者: 川島 つとむ
第二章  錬金術
14/54

ケイト先生の授業

登場人物 ロップソン=ロプ(台詞表記) ジャド=ジャド(台詞表記) ニイナ=ニナ(台詞表記) ミリアナ=ミア(台詞表記) レイセモルス=レイ(台詞表記)

 ロプ 「おはようございます」

 教頭 「おはよう。早速移動しましょうか」

 ロプ 「はい」


 僕達は、錬金実技室へと移動した。

 錬金の基礎を覚えることができた僕は、後は実力を付けていけば、段々と魔法陣の数を増やしていけるのだそうで、増えた分だけ効果の高い結果を得られるようになっていくのだそうだ。

 その代わりドンドン複雑になっていくのと、制御が難しくなっていったり、合成結果の特定が難しくなっていくらしいので、超一流といわれる錬金術師になるには、相当な覚悟がいるのだそうだ。

 基礎が終わり、その後もまだ学校にやって来ているのは、アレンジによる合成表の作り方に、問題がないのかどうかチェックしてもらったり、何かしらの手違いがないか見落としがないかアドバイスがないかなど、そういうものを見てもらえるということらしい。

 なので早速今、考えている事をケイト教頭に説明することにした。


 ロプ 「これがお湯を直ぐに用意できる魔道具になります。後は錬金術でお湯に溶かす、お茶の元になる物を作り出して、注げばお茶が直ぐに飲めないかというのを、研究しているところです」

 教頭 「確かに、これは便利ですね。冒険者には特に嬉しいアイテムになるかもしれません。わかりました、がんばって作ってみましょう」

 ロプ 「ありがとうございます。それで今作っている合成表がこちらになります」

 教頭 「どれどれ・・・・・・手順としては、問題無さそうですね。素材はもう少し頭を柔らかくして選んでみるといいかもしれません。一見、お茶とは関係がないと思われるこのような、ゼリーとか寒天など、作りたい物それだけに目を向けていると、既存のものしかできない可能性がありますからね」

 ロプ 「なるほど!」

 教頭 「では続きからでいいので、試していってください」

 ロプ 「わかりました」


 そう言って僕は昨日の夜、途中になった合成組み合わせから、作業を開始して手順や動作、何か問題がないかなどをチェックしてもらった。

 いくつか試しているうちに、これはいいんじゃないのかと思われる物を実際にカップにお湯を注ぎ、実際に作ってみるなどして様子を伺い、駄目ならまた合成表を作る作業へと戻った。

 作業開始から大分時間が経過して、昼食の後も作業を続けていると、飴玉みたいな形のお茶のボールみたいな物ができた。

これはどうかなと思い、早速お湯を注いでみると、見た目はお茶っぽい液体が出来上がった。

 やったかと思うけれど、まずは危険な成分がないかどうかをケイト教頭が調べてくれて、安全だとわかるといよいよ飲んで実際の味などの確認をおこなうことになった。

 美味しいのかどうかの判断はよくわからなかったけれど、確かに味はお茶だと思われた。カップの中にはまだ溶け切らないで飴玉状のお茶の元が沈んでいる。


 ロプ 「ちゃんとお茶って感じがします、先生」

 教頭 「どれどれ」


 ケイト教頭はマイカップを出して来ると、飴玉を取り出してお湯を注いだマイカップの中へと入れた。それからおもむろに口に含むとお茶を味わう。何度か確認をした後に、口の中のお茶を捨ててからこちらに振り向いた。


 教頭 「少しお茶の風味が崩れていますね。品質を求めるのなら、もう少し改良が必要になりまずが、どうしますか?」

 ロプ 「そうですね、売る時の値段にも関係してきそうなので、あまり金額が上がらないのならば、品質にもこだわりたいと思います」

 教頭 「では普通の物と、少し高級感があるお茶ということにしてみるのがいいかもしれませんね。改良できる点といえば、おそらくここの部分でしょう」

 ロプ 「わかりました、では少しいじってやらせてもらいます」


 僕はケイト教頭の指示を受けて魔法陣をいじり、それから合成を試すことにした。これは、魔法陣をわざと変えて失敗とまでは行かないけれども、結果を操作する方法だった。

 ぱっと見で判断出来てしまうなんて、やっぱり凄い人だなって思う。

 できたお茶を二人で飲んでみると、確かに風味がちゃんとついているように思えた。


 教頭 「いいのではないでしょうか。後はいろいろなお茶の味で、同じようなものが作れたのならば、お茶好きの人に人気が出そうですね」

 ロプ 「ありがとうございました」


 素直に感謝の言葉を口にした。ここまで付き合ってくれたことに、ほんとに感謝するばかりである。


 教頭 「いえいえ、よく短い期間でここまでできるようになってくれました。予想以上に優秀でちょっと物足りませんでしたが、錬金術を習得してもらえて先生としても教えがいがありましたよ」

 ロプ 「ほんとに凄く助かりました。ありがとうございました!」


 僕は深々と頭を下げて、ケイト教頭に感謝を伝えた。これでひと段落着いたので、ケイト教頭の授業は今日で終わりとなるので家に帰ると、早速魔道具とお茶玉を量産してみた。

 それらを木箱に包みケイト教頭宛で、プレゼントとして後日送ることにする。先生が言っていたように、お茶の種類をいくつか作ってから送るのがいいかと思ったからだ。なので、もうしばらくお茶の開発に取り組むことにする。

 次の日、朝起きて先生に贈るお茶セットを眺めていて、どうせならクッキーの開発もしてからの方がいいのか? って思ったので、早速クッキーの研究を始める。

 とは言っても、僕はクッキーの作り方を知らなかったので、まずは商業ギルドの方へと顔を出して、ついでに自白の指輪と拘束ロープの報告もしてから、レシピを調べることにした。

 そういえばウッドマンの開発も、保留になっていたから、そっちも終わったら進めないといけないなと思いつつ、商業ギルドの受付に向った。


 ロプ 「ロップソンです。以前お見せした魔道具が完成したので来ました。フラメルさんは、今手が空いていますか?」

 ギルド「いらっしゃい、今確認しますので応接室でお待ちください。こちらです」

 ロプ 「失礼します」


 応接室に通されたってことは、多分ギルドの中にはいるようだね。そして部屋に入って少ししたらフラメルさんがやって来た。


 鑑定員「お待たせしました。自白の指輪と、拘束用のロープの件ですね?」

 ロプ 「はいそうです。確認作業は僕の知り合いがおこなってくれたのですが、聞いたところによるとちゃんと機能していたようです」

 鑑定員「なるほど、一応商業ギルドの幹部クラスには話を通していて、完成した場合の扱いを内密に検討させてもらっていました。その結果をお伝えしますね」

 ロプ 「はい、お願いします」

 鑑定員「まずは拘束ロープの方を商業ギルドのみで二十個、発注させてもらいたいです。指輪の方は、これから司法関係者に打診をしたいので保留ということでお願いします。後、わかっていると思うのですが、別ルートでの販売などはくれぐれもしないようにお願いしますね」

 ロプ 「わかりました。それでは、両方のかかった素材などの費用と、開発にかかる工賃などは、これくらいになっていますので、値段を決める目安にしてください」

 鑑定員「それではそうですね・・・・・・ロープがこれくらい。指輪が、これくらいでいかがでしょうか?」

 ロプ 「これはずいぶん高い値段みたいですが、口止め料とかの上乗せですか?」

 鑑定員「ええ、そうなります。他の人にこの話を広めない作製して売りさばかないように、上乗せさせてもらいました」

 ロプ 「了解しました」

 鑑定員「問題がなさそうなら、これで契約をさせてもらいますね」

 ロプ 「はい、それでお願いします」


 物が物だけに、かなりの価値が付いたようだった。

 契約を終わらせると、ギルドに保管されている料理のレシピで、クッキーや保存食などの知識を仕入れる。そこには、僕にはわからない素材を使ったものが結構入っていて、やっぱり知らない分野なのだなって思ったよ。

 今回必要となるクッキーなどのレシピ数種類を、持って来た羊皮紙に書き込んだ後、保存食に関するレシピも探していく。

 そしてこちらもやはり、複数の未知の素材などを使った加工がされているのがわかった。おそらくは痛まないような薬品とか薬とかも使っていたりするのかもしれないな。

 それか単純に、僕が知らないだけの香草の類なのかな? まあ、とりあえずわからない物に関しては、別途調べることにする。残念ながらギルドの資料でわかることは名前と値段とかだったので、現物がどんな物かが見当もつかない。

 結局僕にとって、料理は未知の分野過ぎて、手の付けようがなかった為、ギルドの料理開発の部署にお邪魔することにする。わからない事は聞いた方がいい。教えてもらえなかったら自力で調べたらいいんだしね。


 ロプ 「お邪魔します。突然で申し訳ないのですが、クッキーや保存食について教えてもらいたいのですが、いいでしょうか?」

 食品課「えっと、確かあなたは魔道具開発をされていた方でしたか?」

 ロプ 「はい、ロップソンといいます。これから開発したいものに、クッキーや保存食などの知識が必要なのですが、レシピなどを調べただけではどうにもなりそうになかったので、こちらにお邪魔させてもらいました」

 食品課「へー、魔道具がこちらにどう関係して来るのか、差し支えなければどんな物を作りたいのか、聞いてもかまいませんか?」

 ロプ 「あ、じゃあ少し前に開発に成功したものをとりあえずお見せしますね。ついでにそちらの意見とか感想などももらえたら、嬉しいですから」

 食品課「それでしたらとりあえず中へどうぞ」

 ロプ 「失礼します」


 中に案内されると、とりあえず即席のお茶を料理開発部署の集まって来た三人に出してみた。


 ロプ 「魔道具自体はこっちのポットの方なのですが。お茶玉の方は錬金術を使って、作りました」

 食品課「これは確かにお茶ですね。なるほど携帯用のお茶って訳ですか・・・・・・ 中々いい物を作りますね。これはお茶に種類があるのですね?」

 ロプ 「今出来ているお茶の種類はこれだけです」


 そう言って開発の終わったお茶玉を四種類並べて、それぞれ何かを説明していった。僕も詳しくはないので種類や味は保障できないのだけれど、こっちが緑茶こっちは紅茶みたいな感じで説明した。

 三人はお茶玉をカップに入れて味などを試飲して、それぞれに感想などを言っていたりする。さすがに専門的過ぎて、入っていけないよ・・・・・・


 食品課「これはもう開発済みなのですよね?」

 ロプ 「はい、一応そうです。僕は味にそこまで詳しくないので、さすがにそれ以上の物を作ることはできませんでした」

 食品課「では、これはギルドの方に売りに来るものでしょうか? 確かこっちのポットとかの話は、まだ聞いていないと思ったのですけれど」

 ロプ 「今はお茶の方が完成して、次にクッキーと保存食の方をと考えていまして、それの開発が終わったらギルドの方に持って来ようと考えていました。なので、まだこちらに話は来ていないですよ」

 食品課「ならば正式に共同開発といきませんか? まだお茶の方も改良の余地があると思われますので、クッキーなどもこれからという話ならば、正式にチームを立ち上げて、研究するのがいいかと思いますが」

 ロプ 「クッキーも錬金術によって加工しますので、おそらくこちらの今までして来た方法とは、まったくの別物になってしまいますよ?」

 食品課「なるほど、それならばアイデアを出すのと完成品の品質向上だけでも、協力する価値はあると思いますがどうですか?」

 ロプ 「そうですね、こちらも料理は軽く作って食べるくらいの知識しかないので、教えてもらえれば助かると思います」

 食品課「でしたら早速上に掛け合って、チームを作ります。とりあえず明日またギルドに来てもらえますか?」

 ロプ 「わかりました、よろしくお願いします」


 さっそく家に帰って、明日の準備をすることにした。まずは錬金道具などを持っていけばいいかな。

 それと肝心のクッキーと、保存食をその場で作る為の魔道具の開発だ。魔法の構想としては、お茶玉みたいな物を錬金術で作りそれを過熱することで、完成形がクッキーなどになればと考えていたので、この過熱の工程を魔道具で作り出す。

 問題となるのは、錬金術で出来上がるものの大きさが不明であるところかな?

 クッキーの方は一口サイズだろうけれど、保存食の方は、下手をすると鍋の大きさかもしれない。でも冒険中にいちいち鍋を持って移動するのは、かさばるだろうな~

 その部分の魔法構築で悩みながら、いろいろと試行錯誤を繰り返していった。

 その結果でき上がった物は、掌よりも一回りくらい大きな木の板に、三つの魔石を埋め込んだ魔道具であった。

 この上に置いた物を、加熱する魔道具である。熱量はまだどれくらいなのかわからない為に、明日にでも調整が必要だろうけれど、それ以外は完成だろう。

 こんなものかなって思い、この日は寝ることにした。

 翌日、早速商業ギルドへと足を運んだ。


 ロプ 「おはようございます。ロップソンですが、料理開発の方で共同開発をする予定になっているのですが、わかりますか?」

 ギルド員「ああ、聞いていますよ、昨日急遽チームが立ち上がったそうですね。こちらへどうぞ」


 そう言って歩き出した受付の人に誘導されて、ちょっと広めの部屋に案内された。そこには、錬金術ができる人も待機していて、もちろん料理開発課の人達も何人か揃っていた。


 ロプ 「おはようございます~」

 ギルド「「「「「おはようございます」」」」」


 何か、息がぴったりって感じだな!

 僕はまずお茶を振舞って、ここに集まったチームの目的などから説明していった。

 それを受けて、錬金術をおこなう人も何をするべきかを理解して、早速作業を開始する。

 それと同時に、クッキーや保存食を過熱する魔道具をみんなに見せて、ここに配置する物を作り出す研究を進めることになった。

 まずは前段階として、普段クッキーを作る時に必要な温度を聞いて、魔道具の調整から始める。

 それと平行して、手始めにみんなにはお茶玉の改良を進めることになった。まずは手順がわかっている方がやりやすいからね。

 僕も魔道具の調整が終わって直ぐにお茶玉の改良に参加して、できた物を料理開発課の人達が試飲して品質を上げていく。

 お茶玉は、既に原型ができていたこともあり、お昼になる前には緑茶、紅茶、ブレンド茶、混合茶、海草茶、香木茶、健康茶、高級茶のお茶玉が完成した。売れてくれるといいな~


 さて問題のクッキーと保存食である。

 僕は錬金術でクッキーをいくつか試していき、協力してくれるギルドの錬金術師の人は、保存食の方を試していってくれた。

 料理開発課の人が素材となる材料を用意して、僕達が魔法陣を作り魔力を流して生成する。僕はまだ慣れていないので、ギルドの錬金術の人がたまにサポートをしてくれて、合成表を作っていった。

 お昼をまたいで作業を続けて、これはっていう物ができたのは、僕の方が夕方少し前、保存食の方は夜になってからだった。まだ作れただけなので、ここから改良と種類を増やす作業などがあるのだけれど、とりあえずの目処が立ったので満足が行く結果になった。

 そして実際に魔道具の上に乗せて出来立てのクッキーをみんなで食べ、完成したお茶で休憩をしていると、みんな和やかな雰囲気で緊張がほぐれていく気がした。

 仕事終わりのホッとした時間ってやつだね。そんな感じでその日は家に帰っていった。


 ジャド「よう、やっとお帰りか~」

 ロプ 「やあ、とりあえず中に入れよ」

 ジャド「お邪魔するぞ」

 ロプ 「そっちはどんな感じだ?」

 ジャド「こっちは小さい依頼を複数受けて、連携強化とか、パーティーの戦いや実践に慣れる作業って感じかな。みんながんばっているよ。レイも、パーティーに馴染んだんじゃないかなって思っている」

 ロプ 「順調だな」

 ジャド「ああ、いい感じで嬉しいね。それでそっちはまだかかりそうか?」

 ロプ 「今やっているお茶の方は完成した、今クッキーとか保存食を開発中で、半分終わったって感じかな。商業ギルドでチームを作ってもらえたから、開発のスピードは上がっているから、明日で完成するんじゃないかと思っている。だから明日一杯って感じだと予想しているよ」

 ジャド「なるほど、じゃあ明後日あたり、冒険に出れそうか?」

 ロプ 「何もなければいけるかな。まだわからないけれどね。自白用とロープの話もあるから、どうなるか未定ではあるよ」

 ジャド「大体把握した、まあ駄目なら駄目でいいから明日また顔を出してみるよ」

 ロプ 「了解、じゃあまた明日な~」

 ジャド「ああ、また明日だな」


 別れた後、拘束用ロープの納品もあったなと、必要数作製することにした。

 後できることは、ウッドマンの開発か・・・・・・

 確か重量バランスが問題だったんだったかな。問題解決の案を検討して、魔法を構築していった。

 考えられる解決策は、荷物を持った時に荷物側へと倒れこむ重心のバランスを、元の位置に固定する手段になる。そこで土魔法で敵に対して重量を増加させる魔法を応用して、自分の重量を増やすことによって、重心が変化しないように調整する方法を考えていた。

 早速土属性魔石を組み込んでいって、実際に荷物を持たせることによって傾くバランスを調節しながら魔石に込める魔法を微調節していった。

 荷物の重量でバランスが変化することがあるし、移動してもバランスは変わって来る。荷台などに置く動作でもバランスが変わって来たので、結構調整作業は時間がかかってしまった。

 途中になってしまうのだけれど、あまりやっていると寝坊してしまうので今日はここで止めにして、明日に備えて眠ることにしたよ。


 ロプ 「おはようございます。開発の方行かせてもらいますね」

 ギルド「おはようございます、よろしくお願いします」


 開発室に直接向かうことにして、受付にそう挨拶をした。


 ロプ 「おはようございます~。今日もよろしくお願いします」

 錬金師「よろしく~」

 食品課「おはようございます、今日もがんばりましょう! 素材も一杯作っておきましたからね!」


 みんなでそれぞれに挨拶をすませて、早速作業を開始した。今日の作業は昨日で開発ができていたので、改良作業になる。幾分みんなの顔にも余裕が見られて、生き生きとしていた。

 まずはプレーンとなる、基本のクッキーの品質を向上させようと、魔法陣を構築して最後の確認を錬金術の先輩にお願いして進めて行く。

 ケイト教頭の時もそうだったように、この微調整みたいなことが僕にはまだ難しいので、完成した魔法陣を修正してもらう形で進めることになった。

 ちょっと申し訳ない思いと、技術力の不足に悔しい思いをしながら作業は順調に進み。お昼前にどちらも基礎となるものが完成することとなった。

 僕達開発チームメンバーは、早めの昼食を食べた後で早速開発室に戻ってお茶会を開いたりして、和気藹々と次の種類を増やす作業へと移っていく。僕の方はクッキー、パン、蒸しパン、一口ケーキ、クラッカー、ビスケット、パンケーキの開発が完成した。

 保存食の方は肉で、唐揚げ、照り焼肉、ハンバーグ、ハム、穀物類でライス、汁無しの麺類、団子、お餅、パン。こっちのパンはご飯としてのパンで、僕の方は菓子パンみたいなものなので、またちょっと種類が違っていた。

 後は野菜類で野菜玉がいくつもあり、スープの元と一緒に加工することで、具材の豊富なスープが出来上がるようになっていた。ちなみにスープの元自体は既に開発されていて、販売もされていた。

 冒険者が即席で食べれるように、こちらは水に溶かしてもいいって感じのものだね。ただの水よりは空腹を紛らわせることができるのだそうだ。

 中々いい感じに仕上がったのではないだろうか? 一応目的としては、野宿の時の充実感を求めた開発だったのだけれど、普通に一般家庭でも使われそうな気がして来たよ。


 ロプ 「みなさん、ご協力ありがとうございました!」

 錬金師「いやいや、今回のは初めての試みだったので、結構楽しくやらさせてもらいましたよ。研究に没頭することも多いので、お腹が空いた時にこれがあると直ぐに温かいご飯が食べられそうで、こちらにとっても大変メリットになる話でした」

 ロプ 「そこまでは考えていませんでしたが、なるほど、確かにそれはいいですね。僕もついつい熱中してしまいますから」

 食品課「ご飯はちゃんと摂ってくださいね。それではロップソンさん、契約の方を交わしましょうか?」

 ロプ 「はい、わかりました。みなさん、改めてありがとうございました」


 そう言って、応接室の方へと部屋を移動して商談に入った。


 食品課「今回は共同開発をさせていただきましたので、技術草案の販売という形を取らさせてもらいます。魔道具の方の価値は後で鑑定士の人が来て、値段を考えてくれますのでまずは今回出来上がった、食材の開発費用や技術提供料などを話しましょうか・・・・・・」


 途中で合流したフラメルさんも交えて、今回の開発における契約金を決めていった。そしてついでに拘束ロープも、せっかくなのでここで納品させてもらって、そっちの代金も貰うことにする。

 これで今回の開発は、全て終了だな~

 家に帰った後、ウッドマンの調整をしながらジャドが来るのを待つことにした。


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