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婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中


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冒険(3)

 マリナ・サラ・アシュトン。


 その名をしっかり覚え、首都に戻ると、人を使い、彼女のことを調べてもらった。


 わたしより二歳年下の帝国の公爵家の令嬢であることはすぐに判明する。


 彼女に会いたい。

 会ってあの時の御礼を伝えたいと思うが――。


「南部の国境沿いで、帝国軍が仕掛けてきました」


 帝国とセントリア王国との小競り合いがまたも勃発し、マリナに会いたいと思うが、それが難しいとすぐに理解することになる。匿名で手紙を送りたいと思ったが、国外への手紙は検閲されてしまう。王族として出す手紙なら、検閲はないが、まだ子供のわたしの手紙は侍従長が目を通すことになる。


 敵国の公爵家の令嬢に手紙を送るなど許されない。そもそもなぜ手紙を送るのか、いつどこでマリナと会ったのか。追及されると困ってしまう。


 国境を越えたこと。帝国の宿場町で一泊したことは、ローグ卿ほか、あの日わたしと旅をしたメンバーの秘密だった。


 手紙でさえ難しいのだ。会うなんて絶対に無理な話。


 ここからわたしの片想いが始まる。


 敵国の公爵令嬢。わたしはこの国の王太子。絶対に実ることはないと思っても、諦めることができない。むしろ障壁があることで、想いはどんどん募っていく。


 人は未完の出来事に執着すると文献で読んだが、それは事実だと思う。わたしのマリナへの想いは行き場がなく、どんどん深まっていくのだが――。


 敵国である帝国の情報を知るという名目で、わたしはマリナに関するどんな小さな動きも見逃さないようにしていた。公爵家の令嬢なので、何かあればニュースになる可能性があった。


 そのわたしの目論見はその通りとなり、マリナに関する情報を耳にするが、それはわたしには悪夢となる。


 そう、マリナは帝国の第二皇子の婚約者になってしまったのだ。


 とてもショックだった。大切に眺め続けたマリナという花を、第二皇子に突然奪われた気がしていた。


 でもどうすることもできない。


 それどころか――。


「そろそろアトラスも婚約者を決めた方がいいな」


 父上からそんな話が出るようになったが、わたしは断固それを拒否する。


「父上。王太子との婚約は外交の切り札になります。今、様々な国との独占契約が国益につながるのです。ここぞという交易のカードに、わたしの婚約はとっておくべきかと」


 そんな尤もらしい理由をつけ、婚約者を作らず、既に婚約しているマリナを想い続けていた。


 だがまさにわたしの婚約が切り札として、カウイ島との外交で使われることになってしまう。カウイ島はコーヒー豆の一大産地であり、独占契約を結べれば、大きな利益を生む。


「アトラス。お前の言う通りだった。婚約を急がなくて大正解だ。カウイ島の王朝の姫君、レイラ姫とお前を婚約させる。晴れて我が国とカウイ島は同盟関係となるのだ。コーヒー豆の輸入は、大陸で唯一セントリア王国だけが行うことになる。これはとんでもない利益を我が国にもたらすであろう」


 父上の言葉に、反論を試みるが、どれも説得力に欠ける。もはや逃亡する覚悟で「婚約の手続きはわたしが自らカウイ島へ赴き、締結してきます。現地の確認もできますから」と申し出ると、父上は「見聞を広めるいい機会になるだろう。行ってくるがいい」と快諾してくれた。


 こうしてレイラ姫と会うことになった。


 レイラ姫に会い、彼女を護衛するクウを見た時、すぐにこの二人が想い合っていることに気付いた。そこでわたしも想う人がいると、彼女に打ち明けると――。


「アトラス王太子殿下、実は私にも想う人がいるのです」


 レイラ姫も素直に自身の想いを話してくれたのだ。


 こうしてわたしとレイラ姫は、白い結婚前提の政略結婚に合意し、婚約することになった。お互いにこれで、想い人に心身を捧げることができる。心身を捧げると言っても、それはあくまでプラトニックでだが。


 そう思っていたら、とんでもない情報を耳にすることになった。


「アシュトン公爵は裏帳簿を使った脱税に加え、不法な人身売買で奴隷を斡旋した罪で、爵位剥奪になり終身刑になりました。公爵夫人は修道院へ送られ、嫡男である騎士団の副団長は罷免の上、鉱山への強制労働送り。そして長女の公爵令嬢は第二皇子から婚約破棄をされ、リオンヌ侯爵に嫁ぐことになったそうです」


 その知らせを聞いた時、あまりにも目まぐるしい激変に言葉を失った。


 第二皇子との婚約が破棄になったことは、とても喜ばしいこと。何せ第二皇子について調べれば調べる程、不快な情報しか上がってこない。マリナが既に第二皇子の手に堕ちているのではないかと、不安しかなかった。


(だが、一難去ってまた一難ではないが、リオンヌ侯爵に嫁ぐ!?)


 婚約期間もなく、いきなり嫁入りするなんて。


 それにそのリオンヌ侯爵は帝国との小競り合いに名が何度か出てきている。血に飢えた狼のような男と言われているが、そんな者にマリナが嫁ぐ――。


 第二皇子との婚約以上に、その事実に心を乱されていた。


 そこへ届いた知らせは「リオンヌ侯爵家に嫁ぐため、馬車で移動中に、元公爵令嬢は賊の襲撃を受けたそうです」だったのだ。

お読みいただきありがとうございます!

次話は20時頃公開予定です~

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