表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

65/76

冒険(1)

 乗馬と剣術の訓練は四歳から始まり、六歳からは王太子教育がスタートした。


 その王太子教育、それは専属の教師がつき、朝から晩までみっちり授業が行われる。それまで乗馬と剣術の訓練が大変だと歯を食いしばっていた。だが王太子教育が始まると、乗馬と剣術の訓練が息抜きになっている。


 やがて八歳になると、槍の訓練も始まった。そして王太子教育の難易度はどんどん上がっている。しかし槍に力を込めて投擲し、的に命中すると、実にカタルシスがあった。王太子教育で苦戦しても、槍や剣術の訓練でスッキリできる。結果的に、王太子教育を頑張るには、武術の訓練や乗馬が息抜きとして必要不可欠だった。


 こうしてわたしはいつしか「文武両道の王太子殿下」と言われるようになっていた。


 それは十歳になった夏の時のこと。


「ローグ卿。父上から十歳になった祝いとして、バカンスシーズンの三週間は自由に過ごしていいと言われた。王太子教育も休みになる。わたしは首都ベラローザ以外の地に行ったことがない。だがセントリア王国の国土はとても広いんだ。もっといろいろな場所を見てみたい」


 当時のローグ卿はわたしを護衛する騎士の一人であり、剣術や槍の指導者でもあった。そして彼はわたしの良き理解者でもあり、首都以外を見たいというわたしの願いを叶え、旅へと連れ出してくれた。


 父上は「十歳の王太子が旅に出るなんて」と思ったものの。自由に過ごす許可を与えている。男に二言はないと示すためにも、わたしが旅に出ることを許したのだ。


 とはいえ、王太子が旅していると分かれば、他国の間者などに狙われる危険もある。よって旅の芸人のふりをして、あちこちを回っていたが……。


「殿下。今日はここまでです。この先を行くと、デセダリア帝国との国境になります。旅が許されているのは国内のみ。宿へ戻りましょう」


 王太子教育で、大陸の地図は頭に入っていた。デセダリア帝国と国境が接している場所は二か所あり、その多くが帝国の南の辺境伯トレビスが治める地、もう一つが東の辺境伯ミトラスが治める地だった。


(地理的にここは南ではなく東寄りの地。つまりこの道の先には、帝国の東の辺境伯ミトラスの領地が広がっているのか)


 帝国とセントリア王国の小競り合いは、その当時から突発的に起きていた。


 セントリア王国から見た帝国は、歴史が長く、由緒はある。しかし奴隷制も残る前世代的な国で、あまり相手にしていない。しかし帝国の方はセントリア王国を必要以上に意識している。発展を遂げる新興国への妬み……そんな感情が帝国からは……帝国を統べる皇家から感じられていた。


 そんな帝国から学ぶことは少ないということで、王太子教育で習った情報も少ないものだった。皇家の歴史とその当時の主要な政治家や力のある貴族の情報、帝国の名産品のヴィレミナ絨毯だけは素晴らしいといったことなどだ。


 無論、小競り合いのいくさに参加したり、指揮を執ることになれば、いやでも帝国について知ることになる。だが王太子教育では、この広い大陸にある多くの国について学ぶ。ゆえに取るに足りないと判断された帝国のことは、一旦サラッと学んで終わっていた。


(この先にわたしには未知であるデセダリア帝国が広がっている。少しだけでいいから、この目で帝国を見てみたいな……)


 好奇心が旺盛だったわたしは「すぐに戻る」と置手紙を残し、翌朝、まだ夜が明けたばかりで宿を飛び出し、国境へと向かった。


 小競り合いの戦が起きることもあるが、普段の国境では人の往来が普通にある。帝国からセントリア王国にもたらされる物はあまりない。ヴィレミナ絨毯ぐらいだ。だがセントリア王国から帝国へ運ばれていく物は多い。食料品から家具まで、それはもう様々。


 というのもセントリア王国は肥沃な土地が広がり、そこは穀倉地帯になっている。さらに広大な森では木材が切り出され、植林も行われていた。セントリア王国で生産された様々な物資が、実は帝国の暮らしには欠かせないものになっていたのだ。


 しかも夏のこの時期、帝国では帝国祭があるため、国境での往来はいつもより活発になる。荷馬車の荷台に子供のわたしなら紛れ込むことが簡単にできた。


 ということで様子を窺い、荷馬車に忍び込もうとしたら、首根っこを掴まえられる。


「……ローグ卿……!」

「殿下。勝手は困ります。もし殿下の身に何かあったら、自分の首が飛ぶ。殿下はこのローグがいなくなることをお望みですか?」

「!? そんなわけがない。ローグ卿はわたしの大切な剣術と槍の師匠なんだ。ただ……目と鼻の先に帝国がある。見てみたかったんだ」


 ローグ卿はため息をつきつつも、わたしの気持ちを汲み「国王陛下には国外に出たことは内緒ですよ」と言い、国境を越えさせてくれたのだ。


 こうしてわたしは初めて国外に出て、帝国の東の辺境伯ミトラスの領地に足を踏み入れた。


 王太子教育でもその詳細を習っていない帝国に、わたしは期待を募らせる。


 だが帝国の地は――。


「馬車道が整備されていないし、ほとんどの道が舗装もされていない。案内標識も少なく、川には橋も架かっていない。街灯もないではないか。どうなっているんだ、ローグ卿!?」

「殿下、これが国力の差です。殿下が将来治めるセントリア王国がどれだけ発展しているか、お分かりになったのでは? 間もなく帝都で行われる帝国祭のため、多くの者が帝都に向かっているせいもありますが……。ここに人は少ない。国境に近い街とは思えない程、寂れています」


 まさにローグ卿が言う通りで、帝国の宿場町は、セントリア王国の地方都市の村より寂しい場所だった。しかしそこでわたしは思いがけない出来事に遭遇する。

お読みいただきありがとうございます!

なんとアトラス王太子の子ども時代!

間違いなく美少年!イラスト求む!!!!!

落ち着け、作者。

ということで美少年アトラス王太子が遭遇した出来事、気になりますよね~

ということでスペシャル増量更新!

今夜22時頃にもう1話、更新いたします!

体調や明日の予定に合わせて

どうぞ無理なさらずにお楽しみくださいね。

また明日のお昼にお会いしましょう☆彡

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【一番星キラリの作品を紹介】
作品数が多いため、最新作を中心にバナーを並べています(2025年12月の大掃除で・笑)。 バナーがない作品は、作者マイページタイトルで検索でご覧くださいませ☆彡

●紙書籍&電子のコミカライズ化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~
『悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~ 』

●これぞ究極のざまぁ!?●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は死ぬことにした
250万PV突破『悪役令嬢は死ぬことにした』

●出版社特設サイトはコチラ●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!
80ページが試し読みできる特設サイトへ
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!』


●溺愛は求めていませんよ?●
バナークリックORタップで目次ページ
平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!
『平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!』

●章ごとに読み切り!●
バナークリックORタップで目次ページ
ドアマット悪役令嬢~ドン底まで落ちたらハピエンでした!~
『ドアマット悪役令嬢はざまぁと断罪回避を逆境の中、成功させる~私はいませんでした~』

●宿敵の皇太子をベッドに押し倒し――●
バナークリックORタップで目次ページ
宿敵の純潔を奪いました
『宿敵の純潔を奪いました』

●商業化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢はやられる前にやることにした
『悪役令嬢はやられる前にやることにした』

●じれじれの両片想い●
バナークリックORタップで目次ページ
陛下は悪役令嬢をご所望です
『陛下は悪役令嬢をご所望です』

●コミカライズ化も決定●
バナークリックORタップで書報ページへ
断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない
ノベライズは発売中!電子書籍限定書き下ろし付き
『断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない』


●妹の代わりに嫁いだ私は……●
バナークリックORタップで目次ページ
私の白い結婚
『私の白い結婚』

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ