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婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中


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帝国祭(12)

 今の父親が剣で戦うのは厳しいと悟った。何よりこの多勢に無勢のこの状況を打破するきっかけを作りたいと思い、私は勝負に出た。


 その結果、私という餌に、ベネディクトは食らいついて来たのだ。


「殿下! 姿を見せちゃダメですよ! 悪女の相手は任せて、このままお父様の待つ国境へ向かいましょう!」


 ピンクブラウンの髪に琥珀色の瞳、町娘のような装いをしたマチルダン男爵令嬢も、兵をかき分け、姿を現わした。


(ベネディクトにくっつくコバンザメも釣れたわ! しかもマチルダン男爵は国境にいる。この後、三人は国外逃亡を図るつもりなのね)


「いや、あの悪女のせいで、こんな目に遭ったんだ!」


 ベネディクトは三角巾で吊るした右腕を、いたわるように自身の左手で撫でた。


「あの悪女には落とし前をつけないと、気持ちが休まらない。すぐに終わらせるさ」


 そう言うとベネディクト左手で腰に帯びている剣を抜き、私を見る。私を……というか、私の体を舐めるように見て、惜しむような表情になった。


 それはつまりこの場で殺すつもりだが、手を出さずに終わらせるのは勿体ない……ということなのだろう。


(そこだけはどんな状況でもベネディクトはぶれないのね)


 半ば呆れながらも私は彼の方へと近づきながら、周囲の様子を確認する。視界の端に捉えたのは、左眼に眼帯をつけたローグ卿!


 兄は馬車の逆側から降りて行った。

 よって今、この近くにいない。


 でもローグ卿なら間に合うはず。


「ベネディクト第二皇子、そんな三角巾で腕を吊るしているようなあなたが、私に落とし前なんてつけられるのですか?」


 挑発するように薄い笑いを浮かべると、ベネディクトは瞬間湯沸かし器のように、瞬時に表情を変えた。まさに目が吊り上がり、怒り心頭になったと分かる。


「貴様……人のことを何だと思っている!? やはりお前は裏切り者のメス豚だ!」


 その時だった。


 パカラッ、パカラッと馬が走ってくる音が聞こえたかと思ったら。「うわああああああ」とベネディクトの絶叫が聞こえ、ヒロインの顔面に血が飛び散る。


 そして私から少し離れた場所で止まった白馬から、颯爽と降り立ったのは……。


「アトラス王太子殿下……!」


 彼はブルートパーズのような瞳で私を見ると、口元にフッと笑みを浮かべた。だがすぐにキリッとした表情に戻り、そのよく通る声で告げる。


「皇帝は退位し、ここに国は非ず。ここはセントリア王国の属州であるデセダリア州であり、その治安を乱す者は逆賊と見なす」


 アトラス王太子の言葉が終わると同時に、角笛が鳴り響く。


 これは帝都で暮らす人々でも知っている角笛のメロディだ。


 そう、これは北の辺境伯の強さを示す、通称“死の角笛”。敵にとってはこの“死の角笛”がレクイエムになる。


 ならず者の寄せ集めの私兵でも、この“死の角笛”を知っているので動揺が起きた。


「まさか、北の辺境伯がいるのか!?」


 皇帝陛下の演説で起きた一連の出来事を、ベネディクトとマチルダン男爵令嬢の救出に当たっていたならず者たちは知らないようだ。北の辺境伯が帝都に来ていることすら把握していなかった。


「み、見ろ、あれは北の辺境伯の旗だ……!」


 北の辺境伯ノードマルク家の紋章が刺繍された旗が、ならず者の私兵を囲むように、いくつもはためいている。そしてそこに黒鹿毛に乗った筋骨隆々の偉丈夫が姿を現わす。一際目立つその存在感の持ち主は、言うまでもない。


「国外逃亡を企てたマチルダン男爵は既に捕らえた。北の辺境伯ノードマルクが命ずる。逆賊どもを殲滅せよ!」


 そのお腹に響くような大声に、ならず者の私兵は即刻戦意を喪失させる。すぐに武器を捨て、持っていた白いハンカチを手に降伏を示す。


「何をしているの、あなたたち! お父様が高いお金を払っているのよ、戦いなさいよ!」


 顔についた血を拭いながら、マチルダン男爵令嬢が叫ぶが、従う者は誰もいない。ただ響き渡るのは、左腕を失ったベネディクトの激痛を訴える叫び声だけだった。


 ◇


「マリー!」

「あなた……!」


 ベネディクトとマチルダン男爵令嬢の襲撃を受け、到着が予定より大幅に遅れたものの。何とか修道院に到着し、そこで無事に母親と再会することができた。


「ジョセフ、マリナ、あなたたちも無事で良かったわ……!」

「母上!」「お母様!」


 再会した母親は父親ほどやつれた感じはなかった。それでもウィンプルを身に着け、グレーの修道服をまとったその姿は、世俗からすっかり遠のいてしまったように思える。


「みんなと再会できたこと、しゅに感謝しないといけないわ」


 そんな言葉も当たり前のように口にするのだ。すっかり修道女のようになってしまったかと思ったが……。


「マリー、帰ろう。ゼロからやり直すことになるが、ついて来てくれるかい? すべてを失ったわたしだが、君はまだ愛してくれるだろうか?」


 父親に問われた母親は被っていたウィンプルをはずし、父親に抱きついた。そして――。


「愛しています、ジョン! 家族みんなでやり直しましょう」

お読みいただきありがとうございます!

家族も無事に再会です〜

手に汗握る展開、楽しんでいただけましたら

評価での応援もぜひよろしくお願いします☆彡

続きは明日のお昼更新で~!

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