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婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中


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帝国祭(6)

 北の辺境伯ノードマルクが剣を抜けと部下に命じると、広場のあちこちで剣を抜く男たちが現れた。


 特定の持ち場に就くのではなく、広場全体に身分を伏せ散らばり、警備に当たっていたと理解する。そしてその数は……多い。


(広場にいる帝国民の中に、こんなにも兵士が交じっていたなんて!)


 一方、この様子を見た皇帝陛下は、満足げに冷酷な笑みを浮かべた。その上でおもむろに口を開く。


北の辺境伯(ノードマルク)、今すぐ敵を」


 その時、北の辺境伯の後ろに控えていた人物が、布が巻き付けられた長い棒を渡す。それを見た皇帝の顔色が変わった。


 無言で北の辺境伯は、棒についた布を広げている。


 これには皇帝陛下は口をぱくぱくさせ、声が出ない。


 帝国民も含め、その場にいた全員が固唾を呑んでその様子を見守る。


 バサッと音がして、広げられた旗は――。


 帝国の国旗!


 皇帝陛下の顔に安堵の色が浮かぶ。

 しかしその次の瞬間。

 北の辺境伯は何のためらいもなく、力いっぱいその旗を引き裂いた。


 これを見た帝国民は激震し、皇帝陛下は……心臓発作でも起こしそうな表情になっている。


「我が先祖は皇家へと忠誠心を誓った。それは皇家が民草のために、その身と心を捧げる姿に共感したからだ。だが今はどうだ? 賄賂を受け取り、徴兵逃れに目をつぶっているだけではない。収容した政治犯や貧困層の人間を使い、非合法な人体実験を行うこと。それを陛下は許可なさっている。その名も『浄化プロジェクト』などと名付けて。そんなことが許されると思っているのか?」


 北の辺境伯の言葉に応じるように、今度は南の辺境伯、トレビスが建物のバルコニーに姿を見せた。


 四人の辺境伯の中でも一番若い南の辺境伯は、長めのホワイトブロンドにエメラルドグリーンの瞳で、スリムな長身。マントを身に着け、帯剣していなければ、吟遊詩人のように見える。


「実りが厳しかった年に、帝国の穀物庫に備蓄していた食料があった。それを帝国民に配ることなく、他国に高値で売りつけ、そこで得た利益は陛下、あなたの懐にそのほとんどが消えたとか。そういった機密の書簡を収めた地下の書庫、通称エンペラー・ブラックボックスなるものがあるそうで。陛下が私腹を肥やしている時、帝国民がどれだけ苦しい思いをされたのか、分かっているだろうか?」


 南の辺境伯の言葉に皇帝陛下の頬がひくつく。そしてその目が細められる。


 エンペラー・ブラックボックスは機密事項中の機密事項。いくら辺境伯でも知り得る情報ではない。皇家の者、もしくはごくごく限られた人間からリークされた情報と分かり、皇帝陛下は脳内で犯人捜しを始めていると思う。


「些末なことで帝国民が知らない事実もある。帝国内では夜二十時以降の飲酒を禁じている。だが宮殿で行われる舞踏会や晩餐会では、当たり前のように二十時以降も酒を提供。皇帝陛下自らが、法を破る行いをしている」


 そう声を上げたのは西の辺境伯のイオール! 彼は丸顔で、目はぱっちりしており、髭も薄い。そのおかげで年齢よりかなり若く見える。お祖父様と同年代なのに!


 そのお祖父様……東の辺境伯は、素敵なロマンスグレー。年齢の割に背筋が伸び、体格も良く、大変キリッとしている。そのお祖父さまも皇帝陛下の悪事を暴露する。


「我が娘の嫁ぎ先であるアシュトン家は、裏帳簿を使った脱税に加え、不法な人身売買で奴隷を斡旋した罪で、爵位剥奪になり終身刑となった。都合よく発見された裏帳簿と奴隷。それは娘婿であるアシュトン元公爵を貶めるために用意された偽物であり、本物だ。そう、それは本物の裏帳簿と奴隷だ。皇帝陛下が支援する商会の裏帳簿と奴隷の可能性が高い」


 これを聞いた帝国民は、つい最近の事件のことなので「まさか、捏造!?」と大いにざわめく。


「娘婿であるアシュトン元公爵の裁判は、あまりにも早く終わってしまい、その証拠の裏帳簿の検証はろくになされていない。だがその帳簿に記録されている取引先は、とある商会の取引先と一致するはずだ。そしてその商会を運営しているのはマチルダン男爵だ。ぜひ証拠の再検証を願いたいところだ」


 これは皇族教育とは関係なく、前世ゲーム知識の情報だった。そして裏帳簿に記載されている取引先と、マチルダン男爵の商会との取引先は、間違いなく一致する。私はそれを前世で見て知っていたが、お祖父様は違う。でも私の情報を信じ、皇帝陛下に揺さぶりをかけたわけだ。


 その結果。


 皇帝陛下の顔には、分かりやすい動揺が出ている。


(これは大変良い傾向ね!)


 お祖父様のこの言葉。もしかすると平時に言われたら帝国民は「言い逃れしようとしている」「口から出まかせを」とうがった見方をしていたかもしれない。でも今は違う。


 賄賂、人体実験、不正貿易、飲酒違反など散々、皇帝陛下のひどい話を聞いた後に、アシュトン家の話が登場した。元々、父親は帝国民からの人気は悪くなかった。それに私の父親の失脚で、マチルダン男爵は娘が皇族の婚約者となり、しかもその婚約に相応しい身分をとなり、彼は新たに爵位を授けられることも決まっている。今、帝国で一番元気がいいのがマチルダン男爵。その一人勝ち状態になったきっかけは私の父親の失脚だった。そして皇帝陛下自身が今、「なぜ裏帳簿や奴隷の出所を知っている!?」と顔色を変えているのだ。


 その様子を見た帝国民は……アシュトン家が一夜にして没落したのも、皇帝陛下が関係しているのでは!?と疑いの目を向け始めている。


 これにダメ押しをするのは――。

お読みいただきありがとうございます!

リアルタイムで読了された読者様

どうぞリラックスして良い休息をお過ごしください

ハラハラドキドキの帝国祭編

次話は明日の12時半~14時頃に公開予定です!

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