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婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中


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始まり(3)

 たった一人の侍女レニーを連れ、リオンヌ侯爵に嫁ぐと見せかけ、私はデセダリア帝国を出国することを決意する。だがその前にやることがあった。


 アシュトン公爵家の邸宅は、帝都の一等地にある。広々とした庭に囲まれ、母屋以外にも、客人専用の離れや使用人の離れもあった。先祖代々受け継いだ屋敷であるが、石造りであり、定期的なメンテナンスもしている。とても百年の歴史を感じさせない、立派な屋敷だったのに……。


 私が目覚めた後、屋敷の中を確認すると、とんでもなく荒らされていた。


「皇帝陛下直轄の騎士団や帝都警備隊などが踏み込み、証拠品を押収すると言い、屋敷内のありとあらゆる物を持ち出してしまいました。使用人は全員即日解雇で、私だけ……お嬢様の面倒を見るようにと残されたのです」


 レニーからこの説明を聞いた時。またも私ははらわたが煮えくり返りそうになっていた。


(冤罪なのに、屋敷の中から金目の物を証拠品と称して持ち出すなんて……。いや、でもそれさえも戦略の一つ。脱税して浮いた金で贅沢をしていたと、きっと裁判で主張したのね)


 すっかり荒らされた邸宅内を歩き回る私に、レニーは不思議そうに尋ねる。


「お嬢様、何かをお探しですか?」

「ふふ。もうこの屋敷には何も金目のものは残っていないと思うでしょう? でもそんなことはないの。この屋敷は古い。いろいろなところに隠し扉や隠し部屋があるのよ」

「そうなんですね……!」


 隠し扉や隠し部屋の存在を知っているのは、前世ゲーム知識があるからだ。ゲームの中では、そういった場所から、いろいろな物が発見されている。それは宝石だったり、金貨だったり、聖遺物だったり。全部強化やスキル上げに必要となるアイテムの一部だ。


 こうして屋敷の中を動き回り、軍資金を手に入れた。


「す……すごいです、お嬢様! それだけの宝石と金貨があれば、新しいお屋敷も手に入れることができると思います……!」

「屋敷を手に入れる……この国に居続けることはできないわ。リオンヌ侯爵に嫁がず、勝手に侍女と二人で新生活を始めたなんてバレたら……幽閉されてしまう」

「それは……そうですよね」


 しょんぼりするレニーを励ますよう、伝える。


「大丈夫よ。これだけの宝石と金貨があれば、例え罪人の娘相手でも、動く人間が必ずいる。デセダリア帝国を抜け出し、セントリア王国へ向かうわ」


 私の口からセントリア王国という言葉を聞くと、レニーの顔がサーッと青ざめる。


 彼女がそうなる理由はよく分かってしまう。なぜならセントリア王国とデセダリア帝国は長らく犬猿の仲なのだ。


 セントリア王国は、帝国より歴史こそ浅いが、それ以外では圧倒的に栄えている国だった。


 まず国土が帝国の倍であり、その土地は小麦の栽培に最適な肥沃な地から、森林地帯も有している。さらに帝国と国境を接している辺りは鉱山地帯であり、鉱物資源も豊富。さらに国内にいくつも大河が流れ、物資の動きも活発に行える。人口も多く、移民の受け入れにも寛容。何より奴隷制ではないので、働き手が集まりやすいのだ。


 デセダリア帝国は歴史が長いため、古来からの奴隷制が残っている。そして奴隷への搾取は悪しき慣習として残り続け、国としてそれに目をつぶっていた。


 その結果、過酷な労働を嫌い、逃げ出す奴隷も多い。彼らが逃げ込む先がセントリア王国だった。


 セントリア王国は国土も広く、まだまだ開発の余地がある。そう言った未開の土地を、逃げてきた人々にただ同然で与え、そこで生活できるように国として手助けをするのだ。すると逃げてきた移民はその土地に定着し、自分達が生きて行くために、頑張って働くようになる。そして自然と、当たり前のように国に対し、税金を納めるようになるのだ。住む場所を与えてもらっている。よって税金は喜んで払うという奇跡が起きているのが、セントリア王国の強みでもあった。


 そんなセントリア王国なので、奴隷制を続けるデセダリア帝国には度々苦言を呈している。そのこともあり、昔から仲が悪く、度々些細なことで戦も起きていた。そのほとんどが国境沿いでの小競り合いだったが……。


 数十年に一度、ガツンとくるような大戦になることもある。それは主に、穀物の不作が帝国内で起きた時、民衆の不満を外に向けるためだ。さらにわずかだが手に入った食料やお金は、ほんの一部だけを帝国民のために使い、残りは皇家の懐へ消えていた。


 そしてその数十年に一度の大戦が私の幼い時に起きていた。


 私自身は三歳ぐらいなのでほぼ記憶にない。だがレニーは私より年上なので、その当時の記憶があるのだろう。しかも彼女の兄はその戦で命を落としているのだ。


「セントリア王国に向かったら……殺されるのではないでしょうか!?」

「そうね。正規のルートで向かったら、殺されることはなくても、国境で捕まり、送還されるでしょうね」

「! セントリア王国に向かうのは無理ということですよね!?」


 そこで私はニッコリ笑う。


「大丈夫よ。軍資金があるから。ちょっと特殊なルートを使い、セントリア王国に乗り込み、王族に会おうと思うの」

お読みいただきありがとうございます!

次話は14時頃公開予定です~

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