表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

24/76

帝国へ(1)

 帝国祭の演説の場を使い、皇帝へ引導を渡す。

 そのチャンスは二度ある。

 帝国祭の開幕に合わせ、初日に行う演説と最終日に行われる演説だ。


「父上。より多くの騎士と兵士を潜入させるため、帝国祭の最終日の演説を『ブレイクデー』に定めようと思います」


 アトラス王太子から、四人の辺境伯の協力を取り付けた話を聞いたその日の夜の夕食の席。ここで彼は国王陛下に、帝国へ引導を渡す=ブレイクデーについて話した。


「うむ。それでいいだろう。少しずつ潜入させたスパイと騎士も帝都に集結しつつある。頃合いとしてその日がちょうどいいだろう。それでアトラス、おぬし、本当に帝都へ出向くのか?」


 これには「えっ」と驚きの声をあげそうになり、それは何とか呑み込む。


(セントリア王国の王太子が帝都に現れるなんて……。かなりセンセーショナルなことだと思うわ!)


「帝都に敵国の王太子がいることで、帝国民は状況を理解するでしょう。国境を突破し、帝都に至っている。その意味を噛み締め、今さら戦っても勝ち目がないと、無駄な抵抗をしないはずです」


 アトラス王太子の言葉に、国王陛下はワインを口に運びながら、こう応じる。


「だがこうはならないか。遥か彼方にいるはずのセントリア王国の王太子がいるとなっても、まずは偽物と疑われるのでは?」


 国王陛下の指摘に「確かに」と思ってしまう。


「嘘、信じられない」から「え、偽物では!?」という発想に至る思考回路は理解できるもの。


「偽物と思われないよう、セントリア王国に代々伝わるドラゴンの宝剣、マントに王家の紋章が刺繍されたものを着用します」


 それは実に分かりやすい。敵国の王家の紋章がついたマントなんて、帝国内では絶対に手に入らないもの。とても目立つと思う。でも目立つということは……。


「そんなことをしては狙い撃ちされぬか? その広場、警備は厳重なのであろう? おぬしの剣術の腕はソードマスター級であることは知っておる。だがさすがに広場に面するバルコニーで、ほぼ全方位から狙われたら……」


 まさに国王陛下と同じ不安を覚えていたので、この問いにアトラス王太子がどう答えるのかが気になる。ただ剣術の腕前がソードマスター級ということは、騎士団の副団長をしていた私の兄に匹敵する強さではあった。


(騎士でもないのにソードマスター級は尋常なことではないわよ!)


「帝国に引導を渡すはずが、わたしの首が落ちるようなことになっては……末代までの恥となりましょう。そのようなことが起きないよう、手は打ってあります。そこはご安心ください」

「殿下」


 そこで可憐な声をあげたのは、アトラス王太子の婚約者であるレイラ姫だ。今日もヤシの木のような葉と花が描かれた、鮮やかな色合いのカウイ島の王朝の伝統衣装を着ている。


「帝都へ向かわれるなら、クウをお連れ下さい。私はこの王都の宮殿や王宮にいる限り、安全です。ですが殿下が向かうのは敵地の都。クウはカウイ島一の戦士であることから、私の護衛騎士に選ばれています。剣も得意ですが、島では狩りが日常的なので、槍と弓も得意です。それに目がとてもいいので、もし殿下を狙う矢じりがあれば、キラッと煌めいた瞬間を、クウであれば見逃さないと思います」


 カウイ島一の戦士! しかも最後の話を聞くと、そのクウという戦士、確かにアトラス王太子の護衛に最適に思える。バルコニーにいて矢で狙われた場合、いち早く矢に気付き、避けるしかないのだから。


「レイラ姫……ありがとう。だが彼は君にとっては幼なじみでもあり、兄弟のような存在なのだろう? もしもがあったら」

「殿下、クウはカウイ島の火の女神と風の神から生まれた戦の神の化身と言われています。神による強い加護もあるので、そこは心配いりません。クウに向かう矢は、彼に命中する前に失速したり、あらぬ方向へ転換すると言われているぐらいなのですから」


 この世界に魔法やドラゴンがいるわけではないが、伝承としてそういった存在は残っている。そこは前世と同じような感じ。ゆえにクウが神の化身であるとか、矢に起きる不思議が本当にあるのかは……分からない。でもレイラ姫がクウをとても信頼していることはよく分かった。


(クウというその戦士。どんな人なのかしら……?)


 そこで思い出すのは、初めて国王陛下夫妻と昼食をとった日の時のこと。あの日、レイラ姫と同じ髪色と瞳と肌の青年がいたが、きっとあの彼に違いない。


「分かりました。クウ自身の意志も確認し、同行させるかどうか判断します」


 アトラス王太子の言葉に私は驚く。

 王太子の護衛。それはとても栄誉なことであり、まず断ることなんてあり得ないと思う。


(王太子として命じることもできるのに。彼は相手の意志を尊重するのね。驕ることのない立派な心掛けだわ。レイラ姫は間違いなく幸せになれるわね)


 アトラス王太子と顔を見合わせ、談笑する二人を見て「お幸せに」と思っているのに、胸が痛む。


「アシュトン嬢。アトラスによるブレイクデーが成功したら、すぐにそなたの両親、そして兄君を救出させよう。既に三人の居場所は掴み、近くに人を配備している。特にそなたの父親に死が迫っていることは分かっているのだ。アトラスが、自らの右腕とも言える近衛騎士隊長のローグ卿を、そなたの父君のところへ送り込んでいる。さらに母君のいる修道院へは、これまたアトラスの左腕と言える近衛騎士副隊長のトリス卿を潜入させた。ブレイクデーの混乱に巻き込まれ、命を落とすようなことはないので、安心するがいい」


 国王陛下の言葉に、私は気持ちを切り替え、応じる。


「お気遣い、ありがとうございます。お父様もお母様も共に帝都のはずれにいるので、できれば私が直接迎えに行ければと」

「!? そなたまさかアトラスと共に、帝都へ向かうつもりなのか!?」


(そういえば私も帝都へ同行すること……話していなかったかしら?)

お読みいただきありがとうございます!

三連休中の夜更かし更新~

もう一話、今夜23時頃に更新いたします!

遅い時間ですの体調や翌日の予定に合わせて

無理なさらずにお楽しみくださいませ。

また明日のお昼にお会いしましょう☆彡

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【一番星キラリの作品を紹介】
作品数が多いため、最新作を中心にバナーを並べています(2025年12月の大掃除で・笑)。 バナーがない作品は、作者マイページタイトルで検索でご覧くださいませ☆彡

●紙書籍&電子のコミカライズ化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~
『悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~ 』

●これぞ究極のざまぁ!?●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は死ぬことにした
250万PV突破『悪役令嬢は死ぬことにした』

●出版社特設サイトはコチラ●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!
80ページが試し読みできる特設サイトへ
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!』


●溺愛は求めていませんよ?●
バナークリックORタップで目次ページ
平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!
『平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!』

●章ごとに読み切り!●
バナークリックORタップで目次ページ
ドアマット悪役令嬢~ドン底まで落ちたらハピエンでした!~
『ドアマット悪役令嬢はざまぁと断罪回避を逆境の中、成功させる~私はいませんでした~』

●宿敵の皇太子をベッドに押し倒し――●
バナークリックORタップで目次ページ
宿敵の純潔を奪いました
『宿敵の純潔を奪いました』

●商業化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢はやられる前にやることにした
『悪役令嬢はやられる前にやることにした』

●じれじれの両片想い●
バナークリックORタップで目次ページ
陛下は悪役令嬢をご所望です
『陛下は悪役令嬢をご所望です』

●コミカライズ化も決定●
バナークリックORタップで書報ページへ
断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない
ノベライズは発売中!電子書籍限定書き下ろし付き
『断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない』


●妹の代わりに嫁いだ私は……●
バナークリックORタップで目次ページ
私の白い結婚
『私の白い結婚』

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ