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婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中


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先駆け(3)

 セントリア王国の力だけで、帝国の四人の辺境伯の協力を得ることが出来たのか。その答えをアトラス王太子はこう言い切る。


「難しかったと思う。南の辺境伯さえ、首を縦には振ってくれなかっただろう」


 そう言った後、ホワイトブロンドのサラサラの前髪を揺らし、輝くような笑顔になった。


「よってアシュトン嬢の問いへの答えはこうなる。わたしの辺境伯たちを押さえるという案は、セントリア王国の力だけでは成し得なかったということ。アシュトン嬢は勇気を出し、我が国までやって来てくれた。そして実に奇想天外な方法でわたしに会うことに成功している。さらに知り得た情報を全て話してくれたんだ。それだけではない。君の兄君もいたからこそ、四人の辺境伯が心を一つにしてくれたと思う」


 ブルートパーズのような瞳で真っ直ぐに私を見るアトラス王太子が、眩しくて仕方ない!


「私は……ただ両親と兄を救いたくて、必死なだけでした。すべては両親と兄を切り捨てた、皇家と帝国への復讐のためで……」


 アトラス王太子が褒めてくれることに照れくさくなり、早口でそう答えてしまう。


「復讐……それだけではないかと。ご両親と兄君の件は、まさにきっかけに思えてしまう。アシュトン嬢は多くの貴族令嬢とも違い、帝国民のこともちゃんと考えている。何より、帝国の状況をよく理解し、その未来を考えている」

「でもそれは皇族教育を受けたからですよ」


 この世界は謙遜の文化ではない。そうは分かっても、つい前世の感覚でそう答えると、アトラス王太子はドキッとすることを言い出す。


「そうだろうか? 帝国の皇族教育がアシュトン嬢のような逸材を生み出すものなら、第二皇子はなぜあんな愚か者に?」


 これには「それは……」から先が進まない。ただ、前世の記憶が覚醒していなかったら、帝国が腐ったリンゴでも、崩壊のその時まで気が付かなかった可能性は……。


「だが第二皇子が愚かで良かった。君を軽んじるような男だったからこそ、君は我が国にやってくることになったのだから」


 そこでアトラス王太子は紅茶を口に運び、一口飲んだ後、しみじみと伝える。


「君のその行動力は、何も恐れない炎のようであり、その思考力は、優しく全てを包む水のよう。情熱と冷静さを併せ持った君が我々の前に現れてくれた。君の考えを知り、わたしや父上も決意を固め、動くことができたと思う」


 そこで一旦言葉を切ると、彼はその聡明さをたたえた瞳で私をじっと見つめる。


「帝国の四人の辺境伯を味方につけること。それはアシュトン嬢のおかげで実現できた」


 ここまで言われたらもう素直になるしかない。


「ありがとうございます。そこまで言っていただけて、とても……光栄です」


 そう答えると、何となく肩の力も抜けた。食べ終わったパフェのスプーンを握り続けていたことに気がつき、コトリとゆっくりテーブルに置く。


「辺境伯たちを押さえたことで、時は満ちたと思う。何よりも帝国祭が始まるのはチャンスだ。帝国祭では、皇帝が広場に集まった帝国民の前で、毎年演説をしているのだろう?」


 問われた私は「はい、そうです」と応じる。


「帝都中央広場は、周囲を庁舎や国の建物に囲まれ、中心部に初代皇帝がチャリオットに乗る噴水が設置されています。正面にあるのは、巨大な時計塔を擁する図書館です。広場に面するように二階と三階にバルコニーがあります。そこで皇帝陛下による演説が毎年行われていますが」


 私の答えを聞いたアトラス王太子は満足そうに微笑む。


「敵対国の王族であるわたしは、その広場を知らない。でも今のアシュトン嬢の説明で、どんな場所であるか、想像がついた。ありがとう」

「……! でもこの広場は帝国ではとても有名です。きっと帝国に潜入しているセントリア王国の諜報部や騎士からも、すぐにこの程度の情報なら上がって来るかと……」


 アトラス王太子はクスクスと笑い、こんなことを言う。


「知りたいと思った時に、その答えをすぐに教えてくれる人がそばにいてくれることは、心強い」

「あっ……」

「とはいえ、アシュトン嬢を百科事典のように扱うつもりはない。君はわたしにとって、とても大切で尊い存在なのだから」


 秀麗な笑みを浮かべ、そのブルートパーズのような瞳に私を映すアトラス王太子に、トクリと胸がときめく。


(今の言葉は愛のささやきとかではなく、仲間として、客人として大切にしていると言ってくれているだけよ。変な気持ちになってはいけないわ。彼には素敵な婚約者がいて、二人はとってもお似合いなのだから)


「その演説の場で、皇帝に進退を問うのがいいのではないかと、父上と話した。アシュトン嬢はどう思う?」


 アトラス王太子の言葉に気持ちを引き締める。一瞬でふわふわしていた気持ちも吹き飛んだ。


「それは名案だと思います。その演説を聞くため、多くの帝国民が集まるので。ただ、警備は厳重かと思いますが……」


 私の言葉にアトラス王太子は「問題ない」と即答する。


「アシュトン嬢に教えてもらった情報があれば、怖いものは何もないと思う」

お読みいただきありがとうございます!

次話は21時頃公開予定です~

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