表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/76

作戦遂行(5)

 尋問を始めると言われ、改めてアトラス王太子と私はカウチで横並びで座り、体をお互いの方へ向けることになる。


「ここへ来たと言うことは、家族を助けるためだと、そこは容易に想像がつく。だが君の父親であるアシュトン公爵は犯罪者とされている。罪を犯せば罰せられて当然。それは王侯貴族、平民に関係なく──それがセントリア王国だ。帝国は違うのか?」


 帝国の法なんて間違いなく知っているだろうがあえて尋ねたということは。父親の罪について確認しておきたいと言うことだろう。


「私の父親は無罪です」

「身内に罪人を持つ者は、まずそう言うが」

「そうですね。無罪である理由をあげます」


 そこで私はベネディクト第二皇子との関係性、そこに入り込んできたシェリー・マチルダン男爵令嬢のことをまず話す。


「……なるほど。ベネディクト第二皇子は皇族の一員でありながら、婚約者の純潔を婚姻前に散らそうとしていたのか。そしてそれを拒む君のことを疎ましく感じていた。そこにいろいろと奔放なマチルダン男爵令嬢が現れ、第二皇子は彼女と深い仲になったと」


 整ったアトラス王太子の顔に、驚きと呆れの表情が浮かぶ。


「はい。そこで邪魔な私を排除しようと、アシュトン公爵家有責で婚約破棄が出来ないかを考えたようです。ですが私は……その自分で言うのはおこがましいのですが、品行方正にしていたので、有責にできる事由を二人は見つけられませんでした」


 私の話を聞き、アトラス王太子は推理してくれる。


「娘に婚約破棄を突き付けられるような理由がなかったから、父親に濡れ衣を着せ、婚約破棄……解消に持ち込むことにした。しかしまだ子供のような第二皇子が、公爵を貶めるようなでっち上げを出来るのだろうか? ……もしやマチルダン男爵令嬢の父親が手を貸した……?」


 この問いかけに、私はコクリと頷く。


「そうか。マチルダン男爵の名は、セントリア王国の政治の場に登場したことがある。我が国で銀行を開業したいと言い出して……。その時にひとしきり調査をしたが、彼の周囲には多数の死人がいる。どれも病死であり、他殺ではないが……。死者が一人出る度にマチルダン男爵が得をしている。何かきな臭いもの感じ、彼の申し出は却下されることになった」


 帝国内で成功を収めていたが、まさかセントリア王国にも手を出そうとしていたなんて。やり手なのかもしれないが、自身が得をする度に死者が出ているなんて不吉過ぎる。さらに私の父親を容赦なく貶めたのだ。


 セントリア王国がマチルダン男爵の提案を拒絶した理由には納得出来てしまう。


「利益追求に邁進するマチルダン男爵にとって、娘が皇族の婚約者となれば、この上ない商機に恵まれることになる。君と第二皇子の婚約が破棄されるように動くのは、当然に思えるが……アシュトン公爵は穏やかで平和的な性格と我が国では伝わっていた。和平協定の度に彼が動いていたとは聞いている」


 アトラス王太子の言葉に父親の姿が浮かび、唇を噛み締めることなった。


 父親は決して無能なわけではないし、商会経営も領地運営にも問題なんてない。ただ、マチルダン男爵のような野心家ではなかった。それに争うより協力し合うことを好んだ。そして今回まんまと貶められたのは──。


(お父様が悪いわけではないわ。ここが乙女ゲームの世界であり、シナリオの流れがヒロイン有利に動いたに過ぎないのだもの。もし私の前世記憶の覚醒がもう少し早ければ、結果は少し違っていたかもしれない。ううん、それはないわね。ヒロインが微笑むための世界なのだから!)


「しかしマチルダン男爵が暗躍しても、相手は公爵家。アシュトン公爵家といえば、皇家との繋がりも深いはず。なぜ、こんなことに……」


 聡明なアトラス王太子ならすぐに答えへ行き着くだろう。でもここは私が事情を打ち明ける。


 アシュトン公爵家の財力、人望は皇家を超えていたこと。皇家としてはそこに危機を感じていたことを。


「つまりは公爵家が力をつけすぎるのはよくないと、皇家はアシュトン公爵家を切り捨てたのか」


 イエスを示すため、私は大きく頷く。


「マチルダン男爵は、多額の資金提供を皇家に約束していたようなんです」


「そう言うことか」と、アトラス王太子は顎に手を添えて唸る。


「……我が国はこれだけの国土もあり、働き手も多く、帝国との戦いに耐えられる体力が存分にある。たが帝国は違うだろう。繰り返す(いくさ)により、帝国の懐はかなり冷え込んでいるのかもしれないな。ゆえに有り余るお金を持つマチルダン男爵の提案に、皇帝も飛びついたか」


 頭の回転が速く、全てを語らなくても理解が進むことには、とても助かっていた。今も「そうなります」と答えれば済んだ。たが次の一言にドキッとすることになる。


「しかし、君はここへ乗り込むだけの度胸もあり、ヴィレミナ絨毯に包まって献上品として乗り込むことを思いついた。それだけの才覚がありながら、公爵が貶められるまで、何も気づかなかったのか? 第二皇子の婚約者として、彼といる時に何か兆しを感じることもなかったと?」

お読みいただきありがとうございます!

次話は12時半~14時までに公開予定です~

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【一番星キラリの作品を紹介】
作品数が多いため、最新作を中心にバナーを並べています(2025年12月の大掃除で・笑)。 バナーがない作品は、作者マイページタイトルで検索でご覧くださいませ☆彡

●紙書籍&電子のコミカライズ化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~
『悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~ 』

●これぞ究極のざまぁ!?●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は死ぬことにした
250万PV突破『悪役令嬢は死ぬことにした』

●出版社特設サイトはコチラ●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!
80ページが試し読みできる特設サイトへ
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!』


●溺愛は求めていませんよ?●
バナークリックORタップで目次ページ
平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!
『平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!』

●章ごとに読み切り!●
バナークリックORタップで目次ページ
ドアマット悪役令嬢~ドン底まで落ちたらハピエンでした!~
『ドアマット悪役令嬢はざまぁと断罪回避を逆境の中、成功させる~私はいませんでした~』

●宿敵の皇太子をベッドに押し倒し――●
バナークリックORタップで目次ページ
宿敵の純潔を奪いました
『宿敵の純潔を奪いました』

●商業化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢はやられる前にやることにした
『悪役令嬢はやられる前にやることにした』

●じれじれの両片想い●
バナークリックORタップで目次ページ
陛下は悪役令嬢をご所望です
『陛下は悪役令嬢をご所望です』

●コミカライズ化も決定●
バナークリックORタップで書報ページへ
断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない
ノベライズは発売中!電子書籍限定書き下ろし付き
『断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない』


●妹の代わりに嫁いだ私は……●
バナークリックORタップで目次ページ
私の白い結婚
『私の白い結婚』

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ