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婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中


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作戦遂行(4)

「わたしはただ確認をしているだけだ」


 確かにそう言われるとそうだ。胸当ての布と素肌の間を探るように動いているが、胸の先端に触れているわけでもなく、手つきにいやらしさはない。


「あっ!」


 胸をすくいあげるように谷間にアトラス王太子の手が侵入し、私は情けない声を出してしまう。


「ここに東方から伝わる『かんざし』と呼ばれる先端が鋭い武器を隠し持っていた女の暗殺者がいた」


 つまりあくまで保安確認の一環として谷間に触れているということ。


 それは理解できるが……。

 前世でもこの世界でも。

 男性からこんなふうに肌に触れられる経験がない。

 ゆえにどうしたって反応してしまう。


「ひゃあっ」


 今度は背中に回された手がなぞるように触れるので、くすぐったさもあり、変な声を出してしまった。だがアトラス王太子は全く表情を変えず、端正な顔立ちのまま、どこかに武器を隠し持っていないか確認している。


(結局、こんなふうに確認されるなら、ドレスを普通に着ていてもよかったのでは!? あ、でもドレスではヴィレミナ絨毯に包まれるのは無理だった。つまりどの道、薄着になるしかなく……。そして保安確認は避けようがないことだったのね……)


 今さら悟るが遅い。ここはとにかく終わるのを待つしかなかった。それに彼は何も卑猥なことをしていないのだ。ただ慣れていない私が出さないでいい声を出しているだけだった。


「上半身はこれで完了だ」


(上半身はこれで完了……ということはまさか)


「えっ、あっ」


 ぐいっと太腿を掴まれ悲鳴をあげそうになる。だがそれは何とか呑み込んだが、その結果、涙目になってしまう。


「……ベネディクト第二皇子は、女遊びが激しいと報告されている。婚約者である君は」

「わ、私は公爵令嬢です! いくら婚約者でも婚姻関係を結ぶ前に、破廉恥な行為はいたしません!」


 涙目を誤魔化そうとしたら、感情が表出した声音になってしまった。


(ダメよ! 冷静に、落ち着くの、私! 腰布と太腿の間に何か隠していないか、確認しているだけなの。手つきは全然やらしくないんだから。過剰反応する必要なし!)


 そう心で念じるが、耐性がないのだ。たかが太腿であるが、されど太腿で反応しそうになる。


「……分かった。後ろはいいだろう。娼婦に扮した暗殺者でもないんだ。あんな場所に武器を隠しているわけがない」


(お尻に何か隠していた暗殺者がいたの!?)


 もうビックリだが、これで確認が終わったと思ったら……。


 掴まれていた手首は解放された。しかも上半身を起こしてもらえたのだ。だが起き上がったと同時に、優しく頭を撫でられている。


(際どい場所に触れられていたせいか、こんなふうに頭を撫でられると……)


「!?」


 細く長いアトラス王太子の指が、髪の中へと潜り込んでいく。そんな触れ方をされると、なんだかときめいてしまう。ブルートパーズのような瞳は優しく私を見つめている……と思った。


「髪の中にも何も隠していない。……よし。これで保安確認は完了だ」

「へっ」


 間の抜けた声を出してしまい、恥ずかしさでいっぱいになる。


(勝手に甘い気持ちになり、ときめいてしまうなんて……! 家族と侍女の命が掛かっているのに! 私のバカバカ)


 そう自責の念に駆られていると、ぽすっと頭に手を載せられた。


「アシュトン嬢。君は公爵令嬢として誇り高く生きていたはず。ここまでしたのは……家族を守りたいからでは?」


 これまでで一番優しい言葉に、涙腺が潤みそうになる。


「いくら確認のためとはいえ、君が婚約者にさえ触れさせたことのない場所に触れ……申し訳なかった」


 謝罪までされると思わず、ビックリしてしまう。だがこれまでがある。勝手にいろいろ反応し、勘違いばかりしていた。


(もしかするとこの謝罪も、何か別の意図がある……?)


 ふわりと肩から何かを掛けられたと思った。


 何だか爽やかな香りもするそれは、アトラス王太子が着ていたフロックコート! さらに彼はヴィレミナ絨毯を床から拾い上げると、私の膝に掛けてくれたのだ。


 これは間違えようがない。大変露出の多い服装をしている私への配慮。


「ありがとうございます」

「こんなものしかなくてすまない。話を聞いたら、服も用意させよう」

「助かります」


 そこでブルートパーズのような瞳と目が合う。


 私としては気持ちが通じ合えたように感じたが、彼はフィッと視線を逸らしてしまう。


 アトラス王太子の優しさに触れた気持ちになっていた。だが視線を逸らされてしまうと……。


(何だか寂しいなんて感じている場合ではないわ。私にはすべきことがあるのよ)


 自分自身に喝を入れたまさにそのタイミングで彼が声を上げる。


「……では尋問を始める」

お読みいただきありがとうございます!

いつも応援、本当に心から感謝です!

また明日よろしくお願いいたします☆彡

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