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あのね、国盗りを始めるの。

 チクチクと私は縫い物をしてるの。


「・・・・・・よしっ! できた」


 ここに来てから、私の服は血でかなり汚れちゃったし、そろそろ変わりを見つけなきゃと思ったの。でも、この世界に私の好みの服なんてないから自分で作るしかなかったのです。

 で、ついでなので。


「みんな~、ちょっと集まってぇ~」


 二階から大声でみんなを呼ぶ。

 わらわらと妹達がそれに応じて集まってくる。


「姉上、なにかご用でしょうか?」

「な、なにお姉ちゃん」


 一人、二人と部屋に入ってきた。


「呼んだぞな?」

「ぞな?」

「姉さん、なにかな」

「姉者、何用ぞ?」


 うん、6人全員揃ったね。

 それじゃあ、お目見えしようかな。


「じゃじゃ~ん!」

 私は一着の服を両手で肩部分を持ってみんなに見せつけた。


「おお~」


 妹達から歓声が上がる。


「前に言ってた服ができたよっ! みんなの分も作ったからねっ!」


 黒を基調にした、フリ可愛い衣装。完全に私の趣味だけど。


「さぁさぁ、さっそく着てみてよっ!」


 一人一人に手渡して試着させる。皆、慣れない形状に苦戦しながらも着替える。


「おおー、いいね、いいね」


 皆、着替え終えた、すごく似合ってる。


「お、お姉ちゃん、ど、どうかな?」


「姉者、これは我には少し可愛すぎるのではないかの」


「わ、私にはあまり似合ってないと思うのですが。しかし、姉上ががんばってこしらえてくれたので、有り難く頂きますが・・・・・・」


「ふ、この中で一番私が似合ってるみたいねっ!」


「いや、私達ぞなっ!」

「そうぞなっ!」


 意外にも竜人のパンドラちゃんと鬼人のオニチナちゃんが揃って恥ずかしそうに赤面していた。


「みんな、似合ってるよっ! 私とお揃いだねっ!」


 うんうん、すごく可愛い、私の妹なんだからつねにおめかししなきゃだよね。

 結束力を高めるためにも同じ衣装なのは重要だよ。


 数日前。


「は~い、アンケートを取るよ~」


 自分の服を作ろうと思った時に、ついでに妹の分もと考えていた。


「私達の装束を作ろうと思います、そこでみんなの好きな色を聞くよ!」


 多数決にしようと思う。みんなの希望を募ってみる。


「そういう事なら、我は緑じゃな」


「白ぞなっ!」「灰色ぞなっ!」


「私は青です」


「わ、私はね、赤がいいな」


「私は断然銀色ねっ!」


 おお、見事にバラバラだね。


「は~い、じゃあ、みんなの色を合わせて黒にします」


 私は黒が好きだから丁度いいね。


「・・・・・・・・・・・・」


 みんな、なにも言わないからこれで進めるよ。


「ね、姉さん、色はまぁいいとして、みんなのサイズは測らなくていいの?」

「え? もうみんなの裸は見てるから全部分かってるよぉ」


 双子のエルシーちゃんとエルダちゃんでも全く同じじゃないんだなぁ。

 みんなが衣装を纏うイメージが頭に浮かぶ。うふふ、張り切っちゃうぞぉ。



ある程度の準備は整った。

そして、ついにこの日を迎えたの。

 私は妹達を引き連れて、ある場所に来ていた。

 勿論、全員が私の拵えた衣装を身に纏っている。


「いよいよ、始めるよ。フレムちゃん!」

「うん、姉さんっ!」


 私の声を受け、フレムちゃんが前に出てくる。


「まず、最初に落とす国だけど、これは姉さんに言われた通り、私達の拠点が存在するノスタルユーリ大陸内、そして悪政で破綻寸前の所を選んだ。民衆の心はもう離れている。みんな、これは大義があるから遠慮はいらないよ」


 フレムちゃんがみんなに簡単な説明をする。全員つれてくる必要はなかったのだけど、旗揚げだからね。派手に行こうと思ってるの。


「姉さん、いろいろ方法はあるけど、本当にいいの?」

「うん、小国だしね。正面突破で堂々と行くよ」


 私は先頭を歩く。

 国といっても国民、数百人規模。兵はもっと少ない。小さな城を中心に城下町が広がっていた。城門を目指す途中、町を通ったけど民衆は皆、活気がない。かなりの税をかけられて疲れ果てていた。ここは人間が納め、人間が多く住んでいた。この世界では人という種族は最底辺の位置づけだからね、貧しい所が多いんだよ。

 城門についた。門番は二人。鎧を着込んで槍で武装していた。


「速攻で片をつけるよ。城内に入ったら私は中央、パンドラちゃんは右、オニチナちゃんは左をそれぞれ制圧。城内にいる者は皆殺しにするからよろしくね」


「御意」

「心得た」


 大まかな指示を伝えると、私達は中に入ろうと桟橋を渡り門の前につく。


「なんだ、お前・・・・・・ら・・・・・・ららら?」


 しゃべり終わる前に、私の手が動いていた。

 首が落ちる、そのまま蹴って外堀に転がり落とす。

 続けざまにオニチナちゃんが槍を振ると門番の一人は遙か上空に飛び出ていった。

 パンドラちゃんが剣を抜刀、固く閉じられていた門が斜めに切り裂かれ音を立てて崩れていく。


「は~い、行くよぉっ!」


 私は掛け声を出すと、強化魔法を発動、力強く踏み込んで城内へ侵入していく。

 パンドラちゃんとオニチナちゃんも続く。中央の開けた場所に出たら散開し、三方に別れた。

 私が走ってる間に城内に魔法が放たれる。エルシーちゃんとエルダちゃんが城全体を覆うように結界を張った。これで誰一人逃げれない。


「そういや、さっきので79人目だね。今日でどれだけ増えるかなっとっ!」


 言ってる間にあっちからのこのこ歩いてきた兵士がいたから首を切り裂く。

 声を上げる暇も与えない。

 これで80。

 

 城内はたいして広くないし、そんなに人は居ないはず。

 とにかく玉座に走る。それまではとにかく目についた者は肉片にするの。

 

 玉座に着くと、王の姿はない。変わりに宰相らしき男が立っていた。周りには護衛だろうか兵が数人。騒ぎになってないので、突然現れた侵入者に宰相達は驚き戸惑っている。


「聞いとこうかな」


 シュシュッと兵の喉を切り、宰相だけを残すと、そのまま右手だけを飛ばす。


「ひぃぃぃ・・・・・・むぐっ!」


 声を上げる前に私が即座に口を塞ぐ。そしてナイフの切っ先を眼球でピタリと止めた。


「声を出したら殺すよ、質問するから頷くか首を振るかで答えてね」


 男は私がそういうと、目を見開きながら頷く。


「いいよぉ、じゃあ聞くね。王はどこかな?」


 私の質問に男の目線が動いた。右を向いたからそっちにいるのかな?


「部屋にいるのかな?」


 男の頷きが二回目を数えた。方向は分かったし後はいいかな。


「ありがと」


 止めていたナイフを先に進める。黒目を目印に奥まで差し込んだ。そのまま上に引き上げる。顔がパカッと開いたよ。


 宰相が床に落ちる前に私はもう走っていた。奥へと進む。部屋が何室もある。近い順から開けて中に入る。人がいたら殺した。


 それを何回か繰り返す、途中綺麗な格好の女の人が居たけど、女王だったか、王女だったのか、側室か、詳細は分からないけどとにかく息の根は止めておいたよ。ベットの上を血に染めながら体はヒクヒク動いていた。


 ようやく、当たりを引いたみたい。恰幅のいい中年のおじさんがふかふかのベットで眠りこけていた。


「うふふ、寝ている間に死んじゃうなんて、それはそれでおかしいね。意識はどこに向かうんだろう」


 わざわざ起こすこともないよね。永遠におやすみなさい。

 私はナイフを掲げると胸の中央に力いっぱい振り下ろした。

 体がびくっとしたけど、王が瞳を開けることはなかった。


 それにしてもあっけないね。人間が納める小国なんてこんなものかな。

 兵士も全然いなかったし、数分で終わっちゃった。


「あ、首は欲しいね。民衆に曝さなきゃ」


 記録は89人で打ち止め。90いかなかったかぁ。まぁいいや。後の始末はパンドラちゃんとオニチナちゃんに任せよう。


 足がかりはできた。残党を始末したら民衆を集めて宣言しよう。

 今日からここは私の国だよってね。細かい雑務はフレムちゃんがやってくれるから、私はこの王の首を見せつけてやるだけの簡単なお仕事だよ。


 次はもう少し歯ごたえが欲しい。

 これじゃ全然、殺し足りないよ

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