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現代ダンジョン・オーバーキル!  作者: フェフオウフコポォ


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第60話 一攫千金確定おじさん爆誕


異極魔石(大)×2

異極魔石(中)×2

異光属性魔石(中)×2


ステータスオープン的なゲーム画面から収納した魔石は、ちゃんと召喚も再収納も可能。ただし、決定的な違いが一つ。


再収納の際は、収納ボタンを押すのではなく『ゲーム画面に突っ込む』必要がある。


ずっと前にセリフィアが言っていた『誤差』が起こす事象のようだ。

いよいよもって『俺の能力』と『ゲーム』が別物であることが確信めいてきた。


とはいえ、便利な能力なので、嬉しいことこの上ない。

なにせ――魔石を大量に運べる!


魔石の価値は、その純度で大きく価値が変わる。

9級や10級ダンジョンなどで手に入る魔石は、いわゆるクズ魔石が多く、ちょっとした小遣いにしかならない。

だが、等級の高い高難度ダンジョンほど、高純度の魔石が取得できる。

高純度であれば、欠片でも良い価値を持つ。


3級ダンジョンともなれば、ついさっき諦めた欠片でも、それなりの価値があるから、大量に持ち帰ることができれば、一攫千金。


そしてルミナのおかげでアイテム収納に気づいた俺は、封印クエストで大量の魔石も手に出来るし、運搬も容易。


つまり、一攫千金確定おじさん爆☆誕。


魔石商人だけで勝ち確が決定した。

もうお祝いでしょ。こんなもん。

どうやっても、お金持ちになる未来しか見えない。


マナ・マテリアルズに魔石持ち込んで査定とか色々考えてたけど、もうお祝いだよこんなの。

洞窟ダンジョンに帰って、みんなでごちそうパーリナイだ!


「というわけで! 俺はこれからパーティ用に食べ物とかお酒とか買ってこようと思います。また後で、みんな洞窟ダンジョンで召喚するね。」


「はーい。」

「はい!」


ルミナとカグヤを戻し。


「嬉しいです。」

「うふふ、楽しみね……また、あ・と・で。」


ミレイユとカリーナも戻す。

セリフィアは集中して考えに沈んでいるようなので、とりあえず意識が向くまで待つことにした。


しばらくして


「……マスター。」

「うん? どしたセリフィア。」

「恐らく……いえ、確証はないのですが……」

「全然、確証なんて無くて大丈夫だよ。なにか気が付いた? 教えて欲しいな。」


セリフィアは、何かを決めたような顔で、静かに言った。


「可能性がありそうで……一つ実験をしたいです。」

「実験?」

「はい。私を戻さずにダンジョンの外に出てください。」

「え? ……別にいいけど……」


消えるよ?


とは思いつつも、セリフィアに対して『消えるよ?』と言葉に出すことはできなかった。


セリフィアが言うなら、何かあるのだろう。

それくらい、彼女のことは信用している。


ひとつ頷いて、行動する。

なにせパーリーだ。


「じゃあ、とりあえず買い物に行こうと思ってたし、このままダンジョンから出るね?」

「はい。出口までお供します。」


ダンジョンから出るので指輪も収納し一般人モードへ。

セリフィアと並んで、ダンジョンの出口へ向かう。


ダンジョンの出口には『揺らめく膜』のような物がある。

揺らめく膜の色でダンジョンの危険度がある程度分かるようになっているのだが、このダンジョンは琥珀色。5色ある内の丁度中間。


触れると波紋が広がり、通り抜ければ日本へ帰れるのだ。

もう、この不思議ゲートを通る事にも慣れたもの。


「それじゃあ、また後でね。」

「はい。」


セリフィアに一声かけて足を進め、通り抜ける。

数歩進んで振り返れば、そこには『揺らめく膜』を囲う様に超常資源庁が建設した、しっかりとしたゲート。


設置されたゲートには、はっきり『3級』の表示

危険度の高いダンジョンだけに、間違っても一般人が近づかないよう、周辺もきちんと整備されている。


俺がホームにしている洞窟ダンジョンとは、えらい差だ。

あそこなんて、住宅街の一角に、ポツンと簡易ゲートがあるだけ。

まぁ、危険度の違いを考えれば当然ではある。

洞窟ダンジョンなんて、間違えて入ったところで問題なんか起きそうにないからな。


なんとなく振り返ってゲートを見ていると、琥珀色の揺らめく膜に波紋が走った。


「……ん?」


膜の表面に、ぽつりと浮かぶ波紋。

それは水面のように静かに広がり、やがて中心が、わずかに盛り上がる。


波紋は、ゆっくりと、確実に大きくなっていく。

まるで、何かが“こちら側”へと手を伸ばしているかのように。

そして――

その中心から、白く細い指先が、そっと現れた。


「……っ」


俺は思わず、息を呑む。

指は、手になり、手首から先が膜を押し分けるように現れ、

袖口から、見慣れた白衣がのぞいた。


「んんっ!?」


すらりと伸びた脚。

乳袋が目立つ制服のような服。

揺れる白銀の髪。


「ぇえっ!?」


膜を抜けて現れたのは、

驚きと喜びを隠しきれない表情の――セリフィアだった。


「……出れました。」


その声は、確かに現実の空気を震わせていた。

幻でも、映像でもない。


彼女は、今――この世界に、立っている。


「出れました! マスター!」


次の瞬間、セリフィアは駆け寄ってきて、勢いよく俺の胸に飛び込んできた。

白衣の裾がふわりと舞い、彼女の体温が、現実のものとして伝わってくる。


俺は戸惑いながらも、湧き上がる喜びを抑えきれず、

その華奢な身体を、しっかりと抱きしめ返した。


「よ、ようこそ……ようこそ日本へ!」


言葉が震えた。

でも、それはきっと、嬉しさのせいだ。


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― 新着の感想 ―
これゲーム運営会社がどう反応するのか気になるな。 キャラとか装備とかいくらでも追加できるわけだし。
おお、やったぁ! おめでとうセリフィア! もう地球で存在を確立できるほど順応していましたか。 このタイミングということは異魔石の影響が大きかったのかな? だとしたら他の子も出られるようになっているか…
更新お疲れ様です。 遂にお外に出られましたか…!?やっぱり魔石を収納できたのが鍵だったのかな? ステータスがどうなってるかも気になりますが…やっぱりにゃんにゃん(意味深)できるかですよね気になるのは…
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