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現代ダンジョン・オーバーキル!  作者: フェフオウフコポォ


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第29話 もうなにもこわくない(限定)


色々と衝撃的な出来事が起きたので一旦ブレイクタイムを取り、二人で再びまったりティータイムを過ごした。


「マスター……イレギュラーモンスターと戦ってみませんか?」

「やっぱり、そうなるよね……でも正直、装備があるとはいえ、まだ怖いんだよなぁ。」


「今のマスターのステータスを考えれば、1撃で倒せる可能性が非常に高いです。

……厳しい事を言っているかもしれませんが、苦手意識の克服も必要ですよ?

今のマスターは、私よりも強いまでありますから安心してください。ほら、私のステータスも見てください。」



ダイスケ・ナカムラ Lv.2

HP:7167

攻撃力:2062

防御力:7055

魔力:2049

神聖力:4046

すばやさ:4048


セリフィア・アークライト Lv.100

HP:10740

攻撃力:3402

防御力:4276

魔力:2682

神聖力:2410

すばやさ:2800


セリフィアが脳内に送ってきた説得材料に唸る。


この数値で比較されたら、完全に俺の方が防御力高い。

どっちかというと、俺がセリフィアを守らなきゃいけないくらいだ。


ぶっちゃけ、セリフィアがアクセサリを装備しなければ、俺の方が強い可能性は、あるんだよな。


セリフィアは初期近いキャラだから、専用装備『裂理の魔導書』もインフレ前の強さ程度しかない。具体的には魔力と神聖力に+1000される程度だ。

スキルも『次回攻撃時、魔力が3倍になる』って感じだから、武器を持っている状態でも俺が太刀ならワンチャンある。


いや、もちろん戦わんのだけれども!



――セリフィアの『ミレイユ抜きイレギュラーモンスター討伐』案に反対する理由が『俺が怖い』以外無いんだよな。


化石カニから手に入った魔石は、前に砂浜で見せてもらったことがある2千円くらいの魔石よりも小さいし、換金しても電車賃になるかどうかの価値。


イレギュラーモンスターをパンプキン・パニッシャーで倒せて、大き目の魔石を2つ手に入れられたとしたら、それで6万円にもなる。


ステータスで考えれば、ワンパン余裕のモンスターを倒して検証できるのなら、検証すべきだ。


ただ、やっぱり、これまで2回見たイレギュラーモンスターは怖いんだよ。


しぶしぶデイリークエスト画面を見てみると『洞窟クエスト』があった。ヤダー。


「わぁ! クエストがありますね! 魔力干渉解析マナ・インタラクト・スキャン


セリフィアを中心に光が広がり、消えてゆく。


「……地下に1箇所、裏庭ダンジョンと同じような発生ポイントを確認できました。」

「……………そっか。居ちゃったかぁ……イレギュラーモンスター。」


検証はすべきなんだよなぁ……

そして99%……いや、ほぼ100%勝てるんだよ。俺……


「よし……俺も男だ! やる時はやらないとな!」

「マスター! 立派です!」


気持ちを奮い立たせる。

セリフィアの声も後を押してくれた。


「ただ、念の為! カグヤを召喚してもいいかな!」


なんとか泣きついて、回復要員のカグヤを召喚させてもらって、立ち向かうことになった。



★ ☆ ★ ☆彡


セリフィアの案内に従って、俺たち3人は地下2階へと移動する。


彼女が示した場所は、以前、能力を手に入れた場所。

そこが、イレギュラーモンスター出現ポイントだった。


移動の間に、きっちり覚悟も決まった俺は、セリフィアとカグヤに一度視線を送る。


俺は、一人でイレギュラーモンスターを倒す。

2人はサポートに徹する――その意思を、無言の頷きで返してくれた。


深呼吸を一つ。

パンプキンパニッシャーを、しっかりと握り、デイリークエストをタップする。



――洞窟の壁が動いた。

いや、壁が動いたように感じるほどの、大きなモンスターが姿を現した。


その姿は、化石カニの親玉のよう。

大きなハサミは人間一人を、容易に両断してしまいそうなほど鋭く見える。


――が。


不思議な事に、俺はなにも恐怖を感じなかった。



以前なら、見ただけで手が強張るほど怖かった。

人間が勝てるはずなんてないと思っていた。


今も、ハサミは恐ろしい音を立て――俺を殺そうとしている。



――だが


『ただの化石カニじゃないか』


そう思ってしまうほど、まったく怖くなくなっていた。


夏にゴミ箱付近で見かけるコバエ。

コバエに向けて殺虫剤のトリガーを引くような感覚で、パンプキンパニッシャーの引き金を引く。


クラッカー音と笑い声を響かせ、ジャックオーランタンの弾丸が飛んでゆく。


_/\/\/\/_

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<  2万   >

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 ̄/\/\/\/ ̄



一発で風穴が開いた。


「おめでとうございます! マスター!」

「流石です! ご主人様!」


戦闘終了――


「……あぁ。

なんか拍子抜けする程……全然、怖くなかった。」


本当に、なぜあんなにも怖がっていたのかと不思議になる程、なにも恐怖を感じなかった。


「マスターの神聖力は非常に高いですからね。魔法攻撃や精神攻撃に対する耐性の結果かもしれません。」

「精神異常の『恐怖』はステータス差でも感じることがあります……ご主人様は敏感にステータスの差を感じていたというのもあるかもしれませんね。」


「……そっか。なんか。色々あるんだなぁ。」


呆気なかった。


ぼんやりと化石カニの親玉の残骸を眺める。


「お? ……もしかして、アレ、お宝落ちてない?」


化石カニの親玉の後ろに移動してみると、茶色に輝く拳大こぶしだいの魔石が2個。

そして、青色の不思議な色合いの欠片が2個、落ちていた。


「これは……見覚えがあります。魔力干渉解析マナ・インタラクト・スキャン

「私も見覚えがあります……素材の『月光石のカケラ』では?」

「……そうですね。()()()の月光石のカケラです。」


「アイテムも、ちゃんと手に入っちゃったか……」


――なんだ。


俺は、この能力を使えば、

なんでもできるのかもしれない。


もう、なにも怖くない――


「マスター。ご注意くださいね。ダンジョンの外では、まだレベル2のステータスしかないことをお忘れなく。」

「……あ。」


そうだった。

俺の、今感じていた『なんでもできる』はダンジョンに限定されるんだった。


レベルアップ……大事だね。うん。


――しかし、セリフィアは俺のことを、よく分かってるな。

今、完全に内心を見透かされた感があった。


そんなことを思いながらセリフィアを見ると。

一度、軽く頷いて笑顔を見せてくれている。


うん。まあ、何ができても、俺は俺だ。

俺らしく楽しめば良いだけ。

今回も、これまで怖かった敵を、すんなり倒せるようになったぜ! ひゃっほーい! で良いのだ。


軽く自分で両頬を叩き、万能感に酔いそうだった自分を追い払う。


「よし! 敵を倒せることが分かった! 今日も一歩前進だな! セリフィア! カグヤ! 付き合ってくれてありがとう!」


「いえ、私も楽しかったです。」

「わたくしは、なにもできておりません……なにかご主人様のお役に立ちたかったです。」


「あはは。ありがとね。とりあえず、これからも『金策』と『レベルアップ』を地道に頑張って上げていくのが目標になりそうだから、また癒してもらったり手伝ってもらうと思うし、よろしくね!」


「はい!」


カグヤの元気な返事が響く。


ん? ……セリフィアの返事がない?

えっ!? どした?


「……マスター。一つ確認していただきたいのですが、今、『封印クエスト』は選べますか?」

「……あ。封印クエスト……封印クエストがあったか!」


俺のやっているソシャゲは、RPGだ。

キャラクター数がとにかく多く、次々と手に入るキャラのレベルアップが必要になる為、その強化に魔石が使用できる。

だが、その他にもレベルアップの方法は用意してあった。


デイリークエストの報酬などで手に入るアイテム『鍵』。

この『鍵』を使用してチャレンジできる『封印クエスト』だ。


封印クエストは、通貨、武器、アクセサリ、素材、道具、魔石と、色々なクエストがあり、それらのクエストをクリアすることで大量の報酬を得られるのだが、その中に『経験値クエスト』もあるのだ。


この経験値クエストの報酬は、大量の経験値。

アホみたいな経験値が手に入り、あっという間にレベルが上がる。


つまり、俺が『経験値』クエストをこなせば、俺のレベルが一気に上がる可能性がある。


「さっすがセリフィア!」


ゲームを起動し、封印クエストをタップする。

鍵なんて腐る程たまってるから、プレイに問題はない!


「おろ? ……グレーアウトしてる……タップできない。」


画面をセリフィアとカグヤが覗き込んでくる。


「あら……お手伝いできると思ったのに、残念です。」


封印クエストは、全てのクエストが無反応の状態になっていた。

前の画面に戻る操作や、ホーム画面での操作などはできるから、バグったとかではなさそうだ。


お手軽にレベルアップが出来そうな気配に諦めきれず、しばらくいじっていると、静かにセリフィアが口を開いた。


「仮説なのですが、聞いていただけますか?」


特に出来ることも無く、頼りになるセリフィアの言葉だ。聞かない選択肢など無い。


「お願いします!」


俺の全力の返答に、セリフィアが先生のように指を立て話し始める。


「結論から述べますが、恐らく、この洞窟ダンジョンでは封印クエストができないと思われます。」

「……ほう?」


「これまで、スキャンした結果、10級ダンジョンと9級ダンジョンには、魔力量に差がありました。」


セリフィアは、9級の裏庭ダンジョンと10級の洞窟ダンジョン。

どちらのダンジョンでもスキャンを行っていた。


「ダンジョンの魔力を基にモンスターが生まれるとした場合、強力なモンスターほど、大きな魔力を使用するのではないかと……であれば、封印クエストは『大きな魔力を持つダンジョン』でのみ、行えるクエストなのだと思います。」


「大きな魔力を持つダンジョン……か。」


つまり、級数の高いダンジョン。

難関ダンジョンであれば、封印クエストが解放されるかもしれない。


「……いーね! これは楽しくなってきた!」


封印クエストの謎。

ダンジョンの魔力との関係。


難関ダンジョンに行って要検証だな!


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― 新着の感想 ―
そういえば、現実の飲食物をキャラクターに与えることはできるようですが、ダンジョンから出た後それはどこに消えているんだろうか。 あと、リアルの方のダンジョンで取得したアイテムが持ち出せるなら、封印クエ…
こんばんは。 >もう何も怖くない フラグが成立しなくて良かったww そう言えば元ネタの映画版を再編集したやつが日曜の夕方にテレビ放送されてるらしいですが、例のシーンを見た狩野英孝さん(作品は初見)が…
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