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現代ダンジョン・オーバーキル!  作者: フェフオウフコポォ


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140/140

第140話 きっかけなんて、ありふれたもの

本日2回目の投稿です。




俺が見事に『お飾り社長&大株主』を務めている会社、トランセンド・アークが、ものすごい絶好調らしい。


第二次ダンジョンブームに乗り、気づけば『ダンジョンといえばウチ!』とと言われるほどに定着してしまった。


探索者向けの装備レンタル、怪我の治療保障。

ダンジョン資源の精製・流通、安全管理、保険──

ダンジョンに絡む事業は全部マッチポンプみたいに噛み合って、

申し訳ないくらい儲かっている。


装備はアークギア、医療はアークメディカ、物流はアークキャリー。

『アーク』を冠したウチのブランドはすっかり生活に浸透し、ダンジョン関連の信頼度No.1企業になってしまった。


その結果がこれだ。


『1兆4000億円』


「……おぉ……まるでピンとこない。」


資料を眺めても実感がない。

半年ほどハンコを押し続けた結果がこれらしい。

どうやら粗利益の数字らしいが──


1兆4000億……想像できんわ。


セリフィアを筆頭に、頭脳系キャラが仕切っているのも、大きい。

ダンジョンを支配している存在が後ろ盾についているのも、大きい。


だが一番の理由は、たぶんこれだ。


原価0円。


魔石が新エネルギーとして世界を支えるこの時代。

そこに『デバッグモード搭載・魔石チートの俺』が存在する。


「社長。承認もらった件で来ましたー」

「えっ、なに?」

「極魔石1個か、光属性魔石の大10個くださーい。」

「あ、はいはい。」

「ありがとー。」


こんな感じ。

……こんな感じで渡してたら、そりゃ利益も跳ね上がる。


さらに、偽物の俺の協力で『俺が仲間と認めた社員だけ』ダンジョン間ワープが可能になった。


洞窟ダンジョンに入って、別の国のダンジョンから出る。

こんなことが出来てしまう。つまり輸送コストゼロで輸出までできる。


もう壊れた蛇口みたいに利益が止まらない。


とはいえ俺。もちろんハードワークなんて、まっぴらゴメン。

9時出社、17時退社の週休3日。

これをきっちり守っているから、まるで無理はしていない。


俺がストレスを感じるような仕事の振り方をセリフィアたちがするわけがないんだよな。


それとアークオラクルが暗躍してるせいで、カルテルとかの供給量調整や、単独で買い占めて吊り上げといった、あくどい手口ができなくなって、企業間取引もクリーンな取引が当たり前に行われるようになったのも大きい。


……社会人時代に痛い目にあった海外取引なんかが、オールクリーン。

これだけで、俺的にはアークオラクル様様だ。


見積書、納品書、請求書って書式はあるくせに、書類の意味を知らねぇ国があるんだからな。

『物が悪い』だの『数が足りない』なんてのは当たり前だし、酷いのになれば『支払わないのが勝ち』なんてトコまで行きついてる国もあった。

そんな国が日本並みに真っ当に取引してくるとなれば、それはそれは平和にビジネスが成り立つってもんです。はい。


政治も、段階的な減税が進んでいるのに税収は増え、議員定数削減も進んでいる。

とにもかくにも、日本は平和だ。


ただ、俺のお給料の額もヤバいことになっている。

働いてくれているセリフィアたちもヤバイ額が当たっているけど、なんかみんな、俺のとこにまとめたがるんだよな。

結果、貯金がヤバイ。


特に使うことないので、無課金で続けていたゲームに、ジャブジャブ課金してしまっている。


俺……このゲーム会社の株主でもあるから、ある意味、自分で自分に金をつぎ込んでいる、不毛な事をしている気がしないでもない。


でも、廃課金勢には勝てない。

が、そもそも勝つつもりも毛頭ない。

何故なら、空いた時間に気楽に楽しめれば、それで十分だから。


……それにしても。


俺の上を行く廃課金勢のダメージランキング1位のスコアは、114714兆ダメージとなっている。


「……いや、オーバーキルすぎんだろ。」


俺も廃課金勢の入り口っぽい1000兆ダメージを出せるようになったけど、上には上がいるもんだ。

もはや数字の意味がわからないから、ちゃんと『京』とか単位使ったら良いのに。


「休憩中ですか?」

「ん? どした?」


スマホを消し、セリフィアを見る。


『どした?』と聞きながらも、半年も判子マシ―ンとなっていれば、セリフィアの求める内容の見当がついてしまう。

これでも社会人生活は長かったからな。


「報告がありますので、お耳を。」


お仕事再開の予感ビンビン。


ただまぁ……今日は久しぶりに腐れ縁どもと徹夜麻雀の予定。

もう俺に対して襲撃も起こらないらしいし、遠慮なく遊べる。

ぶっちゃけ、この半年の月日はキャラたち全員の相手をするのに使った感が無いでもない!


久しぶりに男友達と過ごす大事な時間だ!

終業時間ピッタリ退社目指して頑張るぞい! ってな――



★ ☆ ★ ☆彡



夜。知り合いから『タダ券』をもらったとことにした高級麻雀ルーム。

最新型の全自動麻雀卓が静かに牌を混ぜる音。

そして負け犬の遠吠えが響いた──


「ダブロンって、ダブロンって、えぇ?

もう辛うじてリーチできるくらいしか点棒が残ってねぇ……」


なお、負け犬はオレである。


なんでや。

なんでなんや。

なんで麻雀負けるん?


「いや、アブネー牌を切れないから結果ソレ待ちになるだろ。」

「へっへっへ……裏ドラうまー。」

「突っ込んでいく勇気は誉めるべき。」


いつもの三者三様の声。

呆れ気味の田辺ことナベ。

憎たらしい杉本ことスー。

謎の解説枠の小野ことオノ。


20年以上の付き合いになる腐れ縁ども。


「ナカムーは何でそんな怖いとこに突っ込んでくかな。」

「チートイは読めないにしても、俺のなんて危険牌分かりそうだけどなぁ?」

「攻めずにはおられんくらいの手ができてたってことやろ。」


俺は天を仰ぎ、静かに囁く。


「ピンフ。」

「「「……おう」」」

「だって張ったんだもん……」


3人の視線が俺から卓に戻る。


「アホだな。」

「アホだね。」

「降り一択。」

「久しぶりだから、攻めてなんぼやろがい。」


気の置けない、この空気。

久しぶりだ。

麻雀をやりながら話す。こんな時間が大事なんだ。


そう、勝ち負けなんぞはオマケ。

会話のスパイス程度のこと、勝敗などは、この時間において重要ではないのだ。


「まぁ、次ぃっ?? 俺が役満あがるんでぇっ!

刮目して見とけやぁっ! 来い神配牌っ!」


自動配牌の牌を起こし、見やすいように整える。


「はいはい。」

「自動配牌マジ楽な。」

「毎週やりたいわ。」


手配を揃え終わり、俺は静かにしかめ面になってしまう。


……良い。

あまりに好配牌。


一盃口が完成している。

頑張れば三色も見えそう……いや、違う。

すでにテンパっている。

なんだこの神配牌。


ここまで来ると、天和じゃなかったことが悔やまれるレベル!


「おっほ、おっほほほほ! あ~、おっしかったなぁ!! めちゃくそ惜しかった!

だが、これは勝ったな。いっけぇ親のダブルリーチっ!」


不要牌の浮いた字牌、西を横の形にして切る。

3人が一斉に嫌な表情に変わる。


「えぇ~……それはねーわ……マジでねーわ。」

「マジでぇ? エっグぅ。」

「ふーん……これは、もう分からんな。」


ナベが牌をツモる。


「あ~、ナカムー。話は変わるけどさ」

「ん~? なんやナベ? 命乞いかぁ?」

「調子乗っとるなぁ……いや、うちの娘が、また『ダンジョン行ってみたい』って言い出してなぁ……」


ナベが西を切り、スーがツモる。


「おっ、ナベんとこも? 俺の息子も、また言ってるんだわ。」

「やっぱ、スーのとこも? 最近ダンジョンすごいらしいもんな。」


スーが西を切る。


「この流れ……もしかして、また予行演習?」

「おー。流石オノ。理解が早い。」

「あれだろ? ダンジョン用のアクセサリとか借りる流れの確認とかしたいって感じか?」


友達の口から俺の会社のことが出て、ピクリと反応してしまう。

小野が牌をツモり、腕を組んで口を開く。


「なんかイメージしか知らないけど、冒険者ギルドっぽいことやってるんだろ?」

「あ、そんなイメージなんだ?」


思わず興味を惹かれ聞いてしまう。

俺の声にナベやスーが頷く。


「そんな感じだぞ。」

「怪我しそうなダンジョンとかも安全に入れるようにサポートしてくれるらしいな。」

「学生には学割もあるらしいぞ。」

「へ~。」


3人の言葉に感心する。

ウチ、そんなことしてたんだ。


「一度、流れを確認してやりたいなって思ってな。」

「お父さんは大変だなぁ。」

「お父さんだからな。」


小野が西を切ったので、即ツモる。


ツモった牌が輝いて見えた。


「っおおおっしゃぁ!!! 高めのあがりぃっっ! オラァ! ツモォ!

えーっと、ダブリー一発、ツモピンフタンヤオイーペー三色ドラドラ赤1! ……あと一枚で役満やんけ!」


「えぇっ!?」

「マジかよ!」

「……」


ドラ表示牌に手をかけ、めくる。


「っしゃーーーーっ!! のったったーっ!!! 数え役満! 16000オールゥっっ!!」


「ちょいナカムーナカムー。」

「あぁ? なになにぃ? なんかちがうぅ?? 違いますかぁぁ??」


煽り全開の顔で声をかけてきたオノを煽る。

捨て牌を指さすオノ。


「スーフースーフー。」

「あ?」


「あ。」

「ラッキィ!」


3人の目線を追う。


「……え?」


全員の捨て牌が『西』だった。


「…………あ、あ、あ。あ? あぁ?」


オノが口を開く。


「超助かった。四風連打アリだったよな?」

「つまりぃ?」

「親の役満はぁ?」


「成立しますうぇーん。」

「「成立しますうぇーん。」」


オノの煽り返しに、ナベとスーも乗ってくる。


「あぁああーーー!! くそがぁーーー! なんでやーー!」


魂ないなった。



★ ☆ ★ ☆彡



……魂とやる気が完全に抜け落ちた俺は、

また前と同じように、皆でダンジョンに行ってみることを提案した。


だって、もう……もう、こうなったら!

マウント取って気を晴らすしかないじゃない!


「――あ~、実は俺な……トランセンドアークの社長やねん。」


「あ? 知ってるけど?」

「動画も知ってるぞ? 戦うスーツおじさん。」

「逆になんで知らんと思ったんや?」


「……え?」


予想外の反応に固まる。

もっとこう、『ボケたんか』とか茶化すとか、

そういうノリを期待してたんですが?


「隠したいようやったしな。」

「こういうのは本人が言うまで聞かんのがマナーや。」

「いい大人だから空気くらい読むわ……つーか、お前、結構有名人だぞ?」



★ ☆ ★ ☆彡



……やべぇ。

周りが大人の対応していて、ちょっと恥ずかしい。


これは、あれだな。

俺の恥ずかしさを誤魔化すためにも……こいつらにも恥ずかしい思いをさせよう。

そうしよう。


無双感、万能感溢れる装備で調子に乗らせてしまえば……絶対に面白い絵が取れるに違いない!


「ほな、今回、装備とか全面バックアップするわ。

お子さんの時も装備とか協力すんで……

ただ、その代わり――アマチュアおじさんたちの『ダンジョン体験動画』撮らせて。」


がっつりダンジョン体験させて、こっちの世界、

異世界に引きずり込んだらぁ!




★ ☆ ★ ☆彡





現代ダンジョン・オーバーキル!


~ 終わり ~



★ ☆ ★ ☆彡




最後までお付き合いをいただき、ありがとうございました。


久しぶりの物書き。

カクヨムで2025年10月5日から投稿を開始し、

2026年2月4日までの毎日投稿。


なろうでは、少し遅れての投稿にはなりましたが、本当に長い時間。

お付き合いをいただき、ありがとうございました。


123日間休みなしの連続投稿。

正直、かなり辛かったです。

「もうだめだ」って波が3~4回きました。


でも、連続投稿だったからこそ、

最後まで書き切れたと確信しています。


応援してくれる人がいる。

読んでくれる人がいる。

このことが励みになりました。


寝不足で体調が崩れてしまって病院行ったり、風邪ひいたり、

仕事が立て込んで、2時から書いたり、朝3時に起きて書いたり。


こんな無茶を続けられたのは、

書いているページの向こうに、

読んでくれて、応援してくれた、

あなたがいたからです。


本当に、ありがとう。

心からの感謝を。




フェフオウフコポォ

 こと

卯月風流



★ ☆ ★ ☆彡




終わり……



かなぁ?




――次作?



異世界オーバーキル! 〜オーバー・ザ・オリジン〜



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― 新着の感想 ―
完走完尻お疲れ様でした。 中村の捨て牌描写でオチは読めた!(笑) 全自動卓なら許されるけど手積み卓だと北家のプレッシャーは凄いものに(笑) 中村「よし、役満上がれるまで出られない部屋をダンジョンに作…
お疲れ様です。 スッキリ進んで終わるので読みやすかったです。 主人公がチートを手に入れて変に豹変せずに普通の人の感覚で進むので疑問や説明受けるのが理解しやすかったです。
お疲れ様でした。 大変面白く読ませていただきました。 私の些末なコメントにもレスを返していただき、書くことを楽しんでるなあ、と感じる毎日でした。 書くことそのものを楽しむこと、それは絶対にAIにはでき…
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