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第三章 サイボーグ娘激闘 9

 いったい誰なんだろう、ごろごろどっしゃん娘って?

 敬子は放課後、新聞部の部室で考え込んでいた。

 見た目はすごくワイルドだった。ウエーブのかかった髪に、鋭い目つき。まさに野生児といった感じ。

 ずたぼろだったけど、着ていたものはうちの制服だった。

 でもあんな生徒、校内で見かけたことはない。それ以前に、あの怪力は人間離れしていた。あの男の襟首を片手でひょいっとつかみ、放り投げた。まるで子猫のように、大の男を。

 非現実すぎて認めたくはないが、ひょっとしてあれはスーパーヒーローの類いではないのか? それこそアメコミか、子供向けの特撮ものみたいな。

 あたしって馬鹿?

 ……いや、そんなことない。あの人はぜったいスーパーヒーローだ。

 ひかりはとぼけてたけど、あの凶器男に襲われたときや、ひかりが車で誘拐されたとき、助けてくれたのも彼女に違いない。

 あの人はきっと隠れた正義の味方なんだ。

 ひかりはどうしてなにもいってくれないのか?

 きっと秘密なんだ。どうしてごろごろどっしゃん娘の正体をひかりが知っているのかは知らないけど、あたしがあの人だったら、きっとひかりに秘密を守るよう強要する。

 あ~ん、あたしも秘密を共有したい。

 そうすれば、情報収集とかの面で協力できるのに。ぜったいひかりなんかよりは役に立つって。

 ようし、ぜったい見つけてやるんだから。

「三条さん、なにぼけっとしてんの」

 よほどぼーっとしたらしい。部長に怒られた。

「……いえ、なんでもありません」

 そう。ごろごろどっしゃん娘を探るのはあたしだけでいい。逆に他の人に正体を知られるわけにはいかない。だから、このことは新聞部にも秘密だ。

 ごろごろどっしゃん娘の正体を突き止めて、秘密の仲間になるんだから。

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