新たな友情と素敵なお友達 75
とある家族の女子高生 と AI
宇宙ステーションの日常を描いた物語
「この救助……友好と絆を、いずれまたお願いするわ」
ゆきながそう言うと、ユリア艦長は静かに頷いた。
「もちろんです。私たちも、このご恩を忘れません」
――そのとき、ピピッと時計が鳴る音が響いた。
「医療カプセル……治療が完了したようですわ」
そう言うとユリアは上級士官たちとともに通路を歩いていく。メディカルルームのドアが開き、プシューッという音とともに、3台の医療カプセルがゆっくりと開いた。
中から現れたのは、服を着ていない状態の治療を終えた乗員たち。えれなが、優しくなの服をそっと押し当てると――光の粒子がふわりと身体を包み、自然と服の形状が現れる。タオル姿だった彼らは、一瞬驚いたものの、すぐに安心したように微笑んだ。
「元気そうでなによりです」
ゆきながそう声をかけると、彼らは軽く礼をして、サポートスタッフに案内されながら向こうへと運ばれていった。
ユリア艦長はその姿を見送ったあと、再び振り返る。
「ゆきな艦長、またお会いできることを願っておりますわ。今回の件は、私の方から上層部へ“最大の友人”として報告させていただきます」
そう言って、胸に手を当て、深く敬礼してから退出していく。
しんとしたブリッジで、えれなが小さく息を吐いた。
「助かってよかったですね。……お友達もできましたし」
「うん。えれな、どう? あの世界、昔と比べてどれぐらい変わってた?」
「そうですね……技術水準は、だいたい5%程度上がっているように感じます。特筆すべき飛躍はなさそうですが……」
「勢力図を見る限り、少し押されてるようね」
「はい。おそらく、先ほどのような大型艦が量産・配備され、数の優位で圧している形かと推測されます」
「なるほどね……じゃあ、この星図を私たちのデータベースと同期しておきましょう」
「はい。ですが、データ量が非常に多いため……同期にはおよそ20日ほどかかる見込みです」
「よし、それでお願い。……さて、帰ろうか?」
「はいっ。では、ミラステラとの連結を解除します――連結、解除完了」
ゆきなは背もたれに軽く身体を預ける。
「じゃあ、出力90%でワープ。えれな、お願いね」
「了解です。ワープシーケンス開始。――ワープ入りました。帰還ルート、正常です。到着予定は……28分後」
「ふふっ……ずいぶん遠くまで来てしまったわね」
「でも、得るものも多かったです」
透明な窓の外には、瞬く星々と流れる光の帯――
そして調査船は、静かに元いた場所へと航路を戻していくのだった。
「艦長……行ってしまわれましたね」
「本当に。夢だったのかしら。でも、すべてデータとしてはっきり残ってるわ」
「なんだか……すごい同盟国になりそうな気がします。運が良かったですね」
「ええ、本当に。この船、428名の命と未来を救ってくれたのよ。護衛艦は全滅だったのに……。今後が楽しみだわ」
「ここ何世代も、ずっとこの緊迫した状況が続いていましたからね。技術では上回っていても、数で押されて後退することが増えていたのに」
「将来、少しでも改善できるといいわね」
「はい。またきっと会える気がします」
「それにしても……あのワープ、探知圏外まで一瞬だったわね」
「予測では……ワープスピード8は超えているかと」
「えっ、8っ!? そんな馬鹿な……まあいいわ、そこは技術部に任せましょう」
「予定通りのルートに復帰しました」
「あーあ、怒られるかしら、星図の件……。まあいいわ、どうせ一度は死んでた命だもの。何も怖くないわ」
心の中は、不思議と明るかった。
「えれな……銀河連邦とは仲良くなれそうね」
「はい。ただ、中に深く入る必要はないかと。あくまで“別の勢力”として、良き隣人で」
「それが一番ね」
地球が見える……帰ってきたわね」
「やっぱり安心しますね、お姉様」
ゆっくりと進入する船体。いつものように秘密基地へと入り、格納庫にそっと着地した。
リビングに戻って、ふたりでホッと一息ついていると——
「シュワン♪」
転送音とともに、ひいおばあちゃんとお母さんが現れる。
「歩けるって、やっぱり嬉しいわぁ〜」
にこにこ笑うひいばあちゃんの様子に、自然とみんなも笑顔になる。
「じゃあ、みんなでお風呂入ろっか」
「賛成です!」
ゆきな、えれな、お母さん、ひいばあちゃんの4人で、ゆっくり温泉タイム。
湯船につかりながら見上げた天井の淡いライトが、まるで星空のように揺れていた。
「……これが幸せってやつなんだろうなぁ」
ぽつりとつぶやくゆきなに、えれなが頷いて微笑んだ。
⸻
翌朝——
朝からテニス部の朝練だ。みんな随分上手くなってきている。
ふと、ゆきながつぶやいた。
「若さってすごいな〜」
その声に、近くの後輩が笑いながら言った。
「親ですか?」
「ごめんね、ババくさくて!」
ゆきなが苦笑しながら返すと、みんな笑っていた。
⸻
放課後は理科部。こちらも元気いっぱいだ。
「自分たちで動いてくれるって、本当に助かるわぁ」
つくば見学の予定表がすでに完成しており、なんと親の承諾書まで準備済み!
「どれどれ……おおっ、宇宙ステーション“奇跡の復活理論”? いいじゃない!」
えれなが真剣な表情で資料を広げて語る。
「はい。軌道履歴を見る限り、どう考えても上から何かで“持ち上げられて”、スピードが加速しています。その後、綺麗な軌道で安定動作へ……」
「つまり、復旧まで誰かが立ち会っていた、と?」
「その可能性は高いですね」
「いいわねいいわね! 進めて進めて! 想像力ってすごいわ、人間ってやっぱり素敵!」
⸻
帰り際、「お風呂入ってこー」と秘密基地へ寄ってから、ゆきなとえれなは地下司令所へ。
モニターに映る地球エネルギー管理データを見ながら、えれなが口を開いた。
「お姉様、見てください。地球融合炉、ついに5%を超えました」
「……ここが、いまの技術の最大値か」
「それでも、かなりの電力が出ているかと。各国が協力して進めている成果ですね」
「ほんとに。いろんな国の人が協力し合えば、こんなにも素晴らしいことができるんだね」
ふたりは温かい湯気に包まれたまま、未来への静かな希望を胸に、モニターを見つめ続けた——。
新しいお友達もでき‥物語が進んでいきます
まだまだこれから!
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