スパイと新しい星でのおばあちゃんの冒険 69 (感謝15000PV記念)
とある家族の女子高生 と AI
宇宙ステーションの日常を描いた物語
エレナは淡々と転送をこなす。
「ヘリウム3を前回の配置箱へ。二酸化炭素は圧縮してこちらに転送、完了です」
* * *
だがその頃、地球の裏側――ある研究施設では。
「……二酸化炭素、消えたな」
「日本は平和ボケしてるな。夜なのに、誰も待機していないとは」
警備の目をかいくぐって入り込んだ協力国の研究員たち。だが、その中に紛れていた――
某国のスパイ。
「パスワードはすでに入手済み。中身だけ持っていこう」
慎重に端末にコードを打ち込む。
──ぶぶー。
──ぶぶー。
──ぶぶー。
「……えっ?」
『3回連続パスワードミスのため、保護タイマー作動中。次の入力まで60分』
「っち……。重いが、仕方ない。本体ごと持っていくか」
だが――
その瞬間、アラームが響く。
『緊急事態発生。現在、デルタ地区にて侵入検知。
モチダチ装置作動。外部ルート全遮断を開始します。客員は、所定の退避ルームまで移動してください』
「くっ、こんなことになるとは……!」
男は焦りながらも通路を抜けようとするが――
「……エレベーター、動作しない? ロック……? 解除もできない!?」
辺りには、じわじわと広がる睡眠ガス。
「まさか……!」
そのあとのことは――
「大人の話」である。
* * *
一方、火星に向かう宇宙船では、穏やかな時間が流れていた。
ゆきなとエレナは、知らず知らずのうちに、新たな陰謀の始まりに近づきつつあった。
だが今はただ――
「うふふ……火星って、やっぱり赤いのねぇ」
「うん。今日は、のんびり眺めましょ」
ひいばあちゃんの笑顔と共に、星々の中へと滑っていくのだった。
火星到着――。
「おばあちゃん、あれ見える?」
「おおおお……あれかい?」
「そう。ずっと火星を調べた衛星だったんだって」
「ほええぇ……立派なもんだねぇ」
「エレナ、もう回収していいわよね?」
「はい。では――回収シーケンス、スタート」
小さな探査機が宇宙の静けさを抜け、回収作業を完了する。
「回収しました。お疲れさまでした」
その記録の一部は、小さなキーホルダーに加工された。
「はい、おばあちゃん。ネックレスにしてあげる♪」
「こりゃまた……いいわい。……おじいちゃんに持って行ってやりたいなぁ」
「ちょっと! 変なこと言わないの!」
* * *
「では――スペシャルタイムに入ります!」
「んっ、エレナ。コースセットして」
「はい、コースセット完了」
その時、船内に通信が入る。
『中央コンピューターより通信。今回は艦長血縁者を確認。高齢であることを考慮し、道徳試験を解除いたします』
「やさしいわねぇ……」
「では、ミラー転送侵入スタート」
「おばあちゃん、あの探査機が、この場所を見つけてくれたの」
「へぇ〜、あれが……」
* * *
「通過します。予定時間:2分」
……通過完了。
「っ……なんじゃこりゃあ!」
そこに広がっていたのは、かつてないほど美しく輝く――未来都市だった。
「綺麗……でしょ?」
その瞬間、再び通信が入る。
『ゆきな様、エレナ様。どのようにお呼びすれば?』
「まきでいいわよ」
『では――まき様。お戻り、歓迎いたします』
「今回は“いつも通り”の場所でいいかしら?」
『はい。納品で間違いございませんか?』
「間違いないわ」
『では、同じ場所へ納入お願いします。エレナ様、ご依頼の物も完了しております』
「ありがとう。あとで確認しておくわ。データもお願い」
『承知いたしました』
「ところで……介護用の車椅子みたいなものってあるかしら?」
『ございます。ですが、こちらの星では一般的に――パワードスーツを使用しますが、いかがですか?』
「いいわね。それ、採用。口座から引き落としておいて」
『ありがとうございます』
「じゃあ、今夜はホテルに泊まりましょうか。おばあちゃん、夕ご飯、一緒に食べましょ♪」
* * *
『天空都市、入港許可が出ました』
「ホテルも取れましたよ」
「ディナーも予約しといて。お腹すいたし!」
『今回は外の待機場から入場とのことです。転送キューブをご利用だとのことです。』
「えっ、うちからそのまま飛ばせないの?」
『セキュリティ保護のため、基地への直送は不可とのことです』
「……まぁ、確かに。セキュリティチェック、大事よね」
* * *
待機場に着くと、ホテルのフロントマンが待っていた。
「まき様、パワードスーツのご案内に参りました」
うさぎさんロボットが、ひいばあちゃんの両側を支えてそっと促す。
「では、おばあちゃん。この椅子に座ってくださいね」
「ほほう、これが……」
おばあちゃんが座ると、機械のアームがカシャカシャと音を立て、身体にフィットするように包み込んでいく。
「見えなくなっていく……なるほど、これもナノテクの繊維ってわけね」
「左様でございます。首元まで装着が完了すると、外見は通常の衣類と変わりません」
「おばあちゃん、立ってみて?」
「……よいしょっと」
すっと立ち上がった姿に、ゆきなもエレナも目を見張った。
「わぁ……すごい。辛さが全然なさそう……!」
「これはあくまで補助機能です。走ることも可能ですが、内面的な筋力低下が進行しております。
過負荷をかけぬよう、ご注意ください」
「はい、気をつけます」
「おばあ様には、ウェルカムドリンクをどうぞ」
差し出されたグラスを、ひいばあちゃんが口にする。
「……普通のお茶みたいね。おいしいわ」
「それは、スーツと身体の神経系統の意思疎通を促進する水でございます。
反応速度を改善し、過負荷の回避と、適度な筋肉刺激による増強効果もございます」
「へぇ〜……いいじゃないの! 未来って、やっぱりすごいねぇ」
笑顔が広がるひいばあちゃんに、ゆきなもエレナもそっと目を細めた。
青空の青い空の上で、家族の物語がまたひとつ――輝き始めていた。
天空都市おばあちゃんとのんびりします。
町の人たちとかかわりも持ちます。
どのように展開していくのか・・・こうご期待
まさかの1日3回目 本日15000行くとは思っておらず急遽です。 皆様 感謝申し上げます。 まもなく 銀河系を飛び出したりし始めます。 地元もどんどん忙しく!
お好きなところにアクション・評価・ブックマークをお願いします。
モチベアップのためにぜひ・おねがいします!




