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崖が崩れたらそこは宇宙ステーション♪  作者: Sukiza Selbi


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新入部員課題と地球外生命体?(ゆきな・えれな) 64

とある家族の女子高生 と AI

宇宙ステーションの日常を描いた物語

放課後、帰りがけにふとテニス部の様子を見に寄ると、数名の新入生が練習に来ていた。


ほっと胸をなで下ろしていると――


「せ、先輩っ! 握手してくださいっ!」


「えっ?」


「お正月のテニス大会、見ました! あの姿に憧れて、この高校に決めました! よろしくお願いしますっ!」


「ええっ……」


「あっ、妹さんも同級生で……あこがれです!」


えれなが少し照れながらも、頷いていた。


その後、一週間にわたる部活動体験・仮入部期間がスタートした。



理科部では――


みすずちゃんに数学に挑戦するも、なかなか勝てる者はいない。けれど、1名だけはかなりの実力者で、「悔しいです!次こそ勝ちます!」と、すっかり仲良くなっていた。


新入部員 課題として文化祭に向けたテーマも、真剣に練られていく。


《今年の理科部文化祭テーマ案》

その①

【核融合炉の燃料:種類と課題】

•重水素 (D)

 → 豊富で入手しやすい。だが、単独では不十分。他の燃料との併用が必要。

•トリチウム (T)

 → 高い反応効率(D-T反応)が魅力。放射性のため自然界にはほとんど存在せず、生成が必要。

•ヘリウム3 (He-3)

 → 中性子を出さないため放射性廃棄物ゼロ。地球では希少で、採掘は困難。

•リチウム (Li)

 → トリチウムの生成源として有用。ブランケット材としても使用可能。

•ホウ素 (B-11)

 → 放射性廃棄物が出にくいが、技術的難易度が高い。


なぜ今後はヘリウム3が主役になるのか?

 D + He-3 → He-4 + p + 18.3 MeV

•利点:

 → 中性子を出さず、安全性が高い。生成される陽子で直接発電も可能。

•課題:

 → 地球上では非常に希少。1トンで数億ドルとの試算も。

 → 月面・木星圏などからの採掘技術が必要(コストも高)

•展望:

 → 月面採掘の国家プロジェクトが各国で進行中


この資料をまとめてきた一年生に、全員が「おぉ~……!」と唸った。


「一発合格だわね。……あとは体力、鍛えなきゃ」


そんな中、もう一人の仮入部生が持ち込んだレポートが話題に。


その②

テーマ:宇宙ステーション落下と奇跡の復活


「この計算式……普通だったら絶対に無理よね……」


「私の持論ですけど……第三者の介入、もしくはオーパーツのような“奇跡の技術”が関係していたのでは?」


一同、ざわつく。


さらにもう一人は――


その③

テーマ:新型ロケットと月への自動補給ユニットの今後


補給スケジュールからシステム構造まで、絵付きで丁寧に解説されており、理科部メンバーから賞賛の嵐だった。



「今年は……当たり年ね」


ただし、途中で脱落した者も多く、最終的に仮入部から残ったのは3名。みすず、エレナと合わせて5名となった。


「はい、これで今年の理科部は……12名になりました。新メンバーのみんな、これから1年間よろしくね!」


「今年の文化祭、やるわよーっ!」


そんな折、ニュース速報が流れた。


挿絵(By みてみん)


『日本ともう1カ国、計2カ国が核融合炉の実験炉を完成。クリーンな電力を実証中。』

『さらに、前回の国際宇宙ステーション落下事故にて、地球外知的生命体による“ファーストコンタクト”があったことが明かされた。』


『宇宙船の詳細映像は非公開だが、救助を受けた事実は記録に残っている。』

『両国はこの余剰電力を使い、地球温暖化対策――二酸化炭素の回収・宇宙への放出などを検討中。協力国も順次拡大予定。』


世界が揺れるような話題に、ニュース番組も盛り上がり、専門家が次々と登場して「謎理論」や「予測」批判合戦を繰り広げていた。


その頃、ゆきなのもとにエレナから報告が入る。


「お姉様。メールが届いております。両国とも、準備完了とのことです」


「ヘリウム3の量は?」


「2週間分、とのことです」


「……ふうん。ちょっと少ない気もするけど……国として“無理せず現実的”なラインを選んだってことね」


「はい。無難で安全な判断だと思われます」


「いいわ、そういうところから少しずつ進めていけば」


エレナはうなずき、ゆきなは静かに空を見上げた。

今年の理科部、宇宙に一歩近づいた気がした――。


家に帰ってから、ゆきなは落ち着いた声で確認した。


「エレナ、今回の運搬装置……密閉は問題ないわよね?」


「はい。もちろん分かっています。でも一応、再確認ですね」


ゆきなは頷いて、PCに向かう。


「融合炉関連の搬送について、明確な小型ボンベを2つ。盗難防止用に、毎回異なる解除キーが必要なの。18桁の数字に、いつもの通信暗号ワンパスを加算した数値を入力するようにって返信しといて」


「送信完了しました。メール設定も暗号化済みです」


「ありがとう。……で、パスワード付き箱は用意してある?」


「はい。衝撃吸収材で固定済みです。ボンベは2本とも格納済みです」


22時。外は静寂に包まれていた。


「じゃあ、そろそろ向かいましょうか」


「了解です」


ゆきなは一枚の便箋を取り出して、丁寧に万年筆を走らせた。


「……やっぱり、手書きにしようと思って」


“誠意ある対応、ありがとうございます。”


普段の文字よりも、少し硬く、整った字で。


「お母さん、お風呂入ったら、今日は向こうで寝るね〜」


「わかったわ〜。最近、土曜日の朝はおばあちゃんとお風呂入るのが恒例になってるし。朝風呂いただくわね〜」


「はーい」


家の中の風景が、少しずつ“いつもの”になっていくのが、ちょっと不思議で、心地よい。


その夜、ゆきなはテニスバッグを持って支度していた。


「お姉ちゃん、そのラケット持っていくんですか? 宇宙に?」


「ふふっ、一応、念のためってやつ」


同じモデルのラケットを2本ずつ購入した結果、色は全て白地に青と赤のゴムバンドで識別。青がゆきな、赤がエレナ。


「……でもお姉ちゃんの、ちょっと硬くて腕痛くなるんですけど……」


「だから間違わないようにゴム付けたんでしょ」


準備完了。


お風呂を済ませ、艦長服に身を包んだゆきなと、エレナ。


「じゃあ、行くわよ。目的地:種子島経由、エリア5◎」


「発進シークエンス開始します」


格納庫のリフトが静かに降下する。ハッチが無音で開き、漆黒の夜空が広がる。


「ステルスモード、衛星回避経路にて完了。発進します」


全く音がしない。まるで宇宙と一体化したかのような静けさ。


「……なんか、前よりさらに音がしなくなってない?」


「はい。初期動作音も含めて、すべてが滑らかです。現在、99.8%の静粛性と性能が出ています」


「バリアとワープ機能、どう? 前回、200%以上の性能って言ってたわよね」


「はい。予測値を大幅に上回りました。ただ、まだフル出力は試していません。どこまで行けるか未知数ですが、あまり無理はしないほうがいいかと」


「……そうね。慎重に行きましょう」


挿絵(By みてみん)


2人を乗せた艦は、夜の大気を抜け、静かに加速していく。

地球に暮らす人々が眠るその裏側で、未来を繋ぐ任務が始まっていた。

さあ地球にやさしいCO2改修事業うまくいくのでしょうか!

いくらで売れるのか‥‥そんなこと気にしてたらホテルに泊まれない

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