銀河の夜、始動 22
とある家族の女子高生 と AI
宇宙ステーションの日常を描いた物語
『銀河の夜、始動」
自宅のリビングで、ゆきなとエレナは合宿の準備を進めていた。
「エレナ、シュミレーションルーム……ステーションにあるわよね?」
「はい、ございます」
「そこを、部室に再現できない?」
「可能です」
「ほら、部室の横にある何も置いてない倉庫の部屋、あるでしょ?」
「……ありますね」
エレナが少し怪訝な顔をして言った。
「艦長、もしかして何か悪いこと企んでます?」
「ふふ。あそこに部室の椅子を並べて、3Dマッピング風に演出して――宇宙旅行できるようにしたいのよ」
「ふふっ、お姉様、それはまた……素晴らしいアイデアですね」
「ねぇ、想像してみて。隕石がぶつかりそうになったり、月から太陽の近くへ移動して一気に暑くなったり……エンセラダスの氷の海に潜って、地球外の鯨みたいな生物と遭遇したり。天の川銀河を航行して、最後は未知の生物に襲われて、逃げ帰ってくる……そんなストーリー、できるかしら?」
「可能かと。昔の探査映像がそのまま残っていますので、マッピングで再現可能です。ただ、あくまで400万年前のデータですので、現在の想像と少しリメイクが必要になります」
「うししっ♪」
「お姉様、顔が……ちょっと怖いです」
「いいのよ。みんなに一生忘れられない一夜をプレゼントするんだから!」
⸻
ゆきなが椅子に座り、構想を語り出す。
「ストーリーは、こうよ。
まず最初に、私がJAX⭕️の研究員だって明かすの。ほら、入館カードがあるから信じてもらえるでしょ。
それで“マッピング装置を特別に借りてきた”って説明するの。このボール、ガラス張りで作って、中に投影するのをみんなに見せる。明日には返しに行く予定だって言って、あの倉庫の部屋にセッティングしておくの」
「エアコンも連動させて、場面に合わせてちょっと暑くなったり寒くなったり……」
「そうそう、あと本来宇宙には音はないんだけど、臨場感を出すためにサウンドもつけておく。ハラハラドキドキの演出ね」
「なるほど。では、事前に誓約書も作っておきます。部外秘、ということで。先生にもサインしてもらいますか?」
「もちろん!」
⸻
「そしてね。入場後にアイマスクをして椅子に座ってもらうの。そこで転送して、開始よ!」
「ようこそ、宇宙探査船『アトランティス』へ」
「パイロットのゆきな、副パイロットのエレナです」
と、お辞儀する。
「これから未知の宇宙銀河体験をしていただきます。」
「せっかくだから、制服着る?」
「着ましょう!絶対盛り上がります!」
「では、座らせたら一度私たち着替えてくるわ。5分……待ってもらおうかしら、ふふふ」
⸻
「さて、役割分担もあるの」
「横の2名にはレーダー担当を。マッピング連動型のタッチパネル風操作で、異常が出たら報告してもらう」
「左右と後方の3名には、ゲームコントローラーを渡して砲撃主に。万が一のときには頼りにするわよ!」
「そして……先生には艦長の帽子をお渡しして、真ん中の席に**どてん!**と座ってもらいます」
「残りの2名は機関士。エンジンのコントロールパネルを担当してもらうわ」
⸻
「……うん、完璧ですね」
「盛り上がりますね……!」
エレナがタブレットを操作しながら頷いた。
「あと、本番までに映像修正、間に合いそう?」
「簡単です。すぐ取りかかります」
「よかったぁ……!
これで、ハラハラドキドキの合宿が始まるわね!」
2人の視線の先には、盛り上がってる部員の姿がある。
その中には、すでに宇宙へ向かう“物語”が、確かに芽吹いていた。
「みんなの顔が楽しみですね……お姉様」
ゆきなは手の中のガラス球を見つめながら、そっと笑った。
銀河の夜が始まります!
ゆきなの企みはどうなるのか!
合宿が終わるまで毎日投稿すると決心しました。
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ほんわか 日常を楽しんでいただければ幸いです。




