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世界一の魔術師? ですが本業は料理人ですので 〜転生料理人の異世界魔法生活〜   作者: クリップキラー
一幕 青年期 ライコウ王国脱出
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ナスと合流

「酷いぞ!冗談は美女だけにしてくれ!」


「はい?」


いきなりのナス登場に少し固まる。こいつも攫われたんじゃ無いの?

そこで少し記憶を巻き戻して気付いた。ナスが寝たシーンも、矢に刺されたシーンも、連れ去られたシーンも見ていない。


「お前あの時何してたん?」


少しの驚きが混じって語尾が変になる。


「何してたも何もあるか!いきなり空飛んで、ドラノさんだけ連れていきやがって!」


「いや...お前どこに行ってたんだよ...」


真面目に気が付きませんでした。


「木の裏の方で隠れてたんだ!あの後僕がどうしたと思う!?弓の間を縫って、普通の道まで戻って、決死の覚悟で馬車に載せてもらったんだぞ!」


「いや、自業自得だろ...」


つーか決死の覚悟で戦えよ。何ヒッチハイクにビビってんだ。


「な!なんてこと言うんだ!」


「でもさ。要はビビって隠れてたんだろ?全然ダメじゃん」


「う...」


ナスが申し訳なさそうな顔をする。いやさ。普通に申し訳ない事してるんだよお前。


「とにかく宿に来い。んじゃ爺さん。地図有難う」


「頑張ってくるのじゃ」


酒場で喧嘩するのもほかの人に迷惑なので、一先ず地図をくれたお爺さんにお礼を言って、酒場を出る。



ーーーーーーーーーー



「何故あんな少年に奴らのアジトの場所を教えたんですか!?ギルドマスター(・・・・・・・)!」


ベテラン冒険者リュイスは、隣の老人に強い口調で聞いた。


あんな(・・・)少年だからじゃよ」


「どういう意味です?」


「彼はお前より強い。彼は魔力だけでも特級はゆうに超えているじゃろう。あと、ギルド以外でその呼び名を使うな」


「すいません。レヴィアタン様(・・・・・・・)


あの小さな子供のどこにそんな魔力が...?

俺は、魔力の流れが見えない。

が、レヴィアタンは魔力の流れが見える。レヴィアタンが嘘をつく理由もない。そうするとあの坊主は本当に強いのか....俺よりも....


リュイスはそんな事を考えながら、酒場から出ていくガリューの背中を見つめた。



ーーーーーーーーーー



宿屋に帰ってきた。新たな情報と、新たな荷物(ナス)を土産に。


「ドラノさんは寝たままなのか?」


「そうだ。俺は睡眠薬の知識なんてないけど、そんな簡単には目覚めないはずだ」


そんな話をしながら、自室のドアを開ける。ドラノは、先程この部屋を出た時と全く変わらない場所に、全く変わらない格好で寝ていた。


「ガリュー君。この先どうするんだ?」


「皆を助けに行く。全員無事でこの国から出る」


「そうか」


ナスはちょっと落ち込んだような顔をして頷いた。


「どうした?今日の戦いで怖気づいたか?」


「そ、そそそんな訳...ある...」


出来れば否定して欲しかった。


「まあでも...仕方ないよな。いいよ。明日俺一人で行ってくるよ」


「うう...悪い...気を付けてくれ」


一瞬情けないな。と思ったが、すぐに考えを改める。ナスは仲間であっても、自分自身ではない。俺は転生した身であるので、精神年齢は十分大人だが、こいつはいくらませてようがませてなかろうが、せいぜい10歳弱だ。

魔力だって、俺でもまだチートレベルでは無いにせよ、常人の数倍はある。

俺は仲間を過剰評価していたかもしれない。ソニックの力は強いけれど、やはり穴はある。カルエルでも、サポート役ばかりで、ひとりで戦闘すれば確実にジリ貧だ。アッシュは万能型だが、やはり俺の劣化版のようなところがある。


そう考えると、今回の襲撃だって、俺が多少の犠牲を払ってでも、森を焼き尽くすだけだったら、すぐに出来たし、せいぜい皆が火傷するぐらいで済んだかもしれない。

俺は、被害を最小限に抑えようとするあまり、仲間に無理をさせすぎてしまっていたんだ。

こんな考えが頭の中を駆け回り、俺はとてつもなく申し訳ない気持ちになった。


だが、今更何を言っても遅い。まずは皆を助ける。絶対だ。明日は絶対にミスれない。


そう思い、まだ早いが夕飯を済ませて、明日の朝早くから出るためにも、早く寝た。


ナス臆病(笑)


果たしてあの時、森を焼くべきだったかどうかは、非常に道徳的な問題ですね。皆さんならどうしたでしょうか?


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