第246話 どんどんと良くなる
九条さんと天海さんと別れた後、本屋に行き、色々な本を見て回った。
そして、家に帰ると、モニカにスマホを教えていき、便利なアプリから電子書籍の購入の仕方までモニカが使いそうなものを厳選して説明していった。
そうこうしていると、ルリとキョウカが帰ってくる。
「ただいま」
「ただいまでーす」
2人はすぐにコタツに入った。
「おかえり。ルリ、服買った?」
「はい。お姉ちゃんに選んでもらいました」
ルリは嬉しそうだ。
「良かったねー。キョウカ、ありがとうね」
「いえいえ。私も楽しかったですよ。私、妹が欲しかったんです。ルリちゃんがお姉ちゃん、お姉ちゃんって言ってきて可愛かったです」
「へー……」
ルリ、首を横に振ってるけど?
「あ、モニカさん、スマホを買ったんですね」
テンション高めのキョウカがモニカのスマホを見る。
「ええ。買っていただきました。キョウカさんに送ったケーキの写真は私が撮ったんですよ」
「へー……あ、連絡先を交換しましょうよ。ほら、ルリちゃんも」
キョウカが勧めてルリも合わせた3人で連絡先を交換しだす。
キョウカのこういうところはすごいと思う。
「これでルリさんに借りなくても電話できますね」
「そうですねー。またちょっと相談事があるんで電話します」
「わかりました」
ねえ? この2人、実はしょっちゅう電話してない?
俺、その場面を見たことがないんですけど?
「あ、電話で思い出しました。タツヤさん、ミユとリコに会いました?」
キョウカが聞いてくる。
「会ったよ。ほら、写真を送ったでしょ? あのカフェで遭遇したんだよ。なんか制服だったけどね」
「あー、九条と天海はガチの財閥だからうるさいんですよ」
ざ、財閥……
そんな子を裏社会出身の八神さんに預けていいの?
「へ、へー……ちなみにキョウカの家は?」
「ウチは普通です。まあ、元々は貴族というか華族らしいですけど……華族って何ですかね?」
それは普通じゃない。
実は辺境伯夫人に相応しい家柄の子だったわ。
偽令嬢なんてとんでもない。
「良いとこの子って感じかな?」
「普通のマンション暮らしなんですけどね。まあ、家柄ではなく、人柄が大事ですよ」
う、うん……
「それで2人がどうかしたの?」
「あ、そうでした。なんか山田さんに嫁いで大丈夫って心配されましたけど、何があったんです?」
あー、はいはい。
「モニカと一緒にいたのを勘違いしたんだと思う」
「勘違いではないと思うが、なるほどね……」
あ、人斬りキョウカちゃんだ。
「なんか盛り上がってたね」
九条さんがきゃー、きゃー言ってた。
「まあ、あの2人は下世話ですからね。あ、『奢ってくれてありがとうございます』だそうです」
律儀だな。
「うん。まあ、そういうことがあったんだよ」
「ふむふむ……あ、タツヤさん、今日の夕食ですけど、回転寿司に連れていってくれません?」
ん?
藪から棒だな。
英語で言えば藪からスティック。
「それはいいけど、なんで?」
「ルリちゃんが行きたいそうです」
あー、この前、なんかテレビで見てたな。
「じゃあ、行こうか」
「行くにゃ!」
ミリアムがコタツから出てきた……
俺達はその後、お茶を飲みながらゆっくりと過ごし、夕方になると、ユウセイ君を誘って、回転寿司に向かう。
キョウカとモニカは美味しそうに食べていたし、ルリもハンバーグ寿司を美味しそうに食べていた。
俺も食べたがめちゃくちゃ美味かった。
あと、ユウセイ君とミリアムはただただすごかった。
◆◇◆
翌日、この日は月曜日のため、キョウカとユウセイ君はいない。
それは当然なのだが、いつも朝早くから来ているモニカもいなかった。
どうしたのかなと思いながら朝食を食べ、爺さんの本を読んでいると、10時くらいにモニカがやってくる。
「おはようございます」
「おはよー。遅かったね。寝てた?」
昨日は遅くまでここにおり、スマホを弄っていたのだ。
「いえ、実は村の舗装工事が終了し、その報告を受けていたのと確認をしていたのです」
おー!
「もう終わったんだ?」
「はい。さすがにノウハウもわかっていますし、勝手知ったる村ですからね。気合も違ったようです」
村の皆も村が良くなるのは嬉しいんだな。
俺も嬉しい。
「いやー、すごいねー」
「はい。良かったら見に行きませんか?」
「うん、見たいし、行こうか。ルリもおいで」
「はい」
俺は準備をすると、コタツの中からミリアムを引っ張り出し、村に行くことにした。
研究室を通り、歩いて執務室まで行く。
そして、外に出ると、目の前には道があるのだが、石材で舗装されていた。
「外の舗装と変わらないクオリティだね」
すごい。
「はい。皆さん、頑張られたようです。この道が各家や畑、リンゴ園、牧場予定地に繋がっております」
「歩いて、見てみようか」
「ええ」
俺達は舗装された道を歩いていった。
モニカが言うように石材で舗装された道は各家の玄関まで続いているし、畑やリンゴ園にも繋がっている。
そして、門のところに行くと、見覚えのない大型の馬車があった。
「あ、馬車を買ったんだ」
「ええ。木材を運搬するための専用の馬車ですね」
「馬も買った?」
「ええ。買いました。大きいですよ?」
へー……
「着々と進んでいってるね」
「はい。タツヤ様、今後のことなんですけど、仕事を作った方が良いかもしれません」
んー?
「というと?」
「これから暖かくなれば畑仕事も増えます。ですが、小さな村ですし、輸出もしてませんから自分達が食べられる分しか育てません。ましてやスーパー肥料ですからね。そうなると時間が余ります。もちろん、リンゴの収穫や牧場関係、さらには木材の加工、販売などもしていますが、それでも時間は余るのです。何か仕事を与えて、給金を渡した方が良いと思います。道も整備され、ハリアーの町に行きやすくなりましたし、皆さんも色々と買いたいとも思っているはずです」
なるほどねー。
クロード様の公共事業みたいなのをやれって言ってるんだ。
「インフラ整備でもしてもらおうかな? あとは得意な木材加工にバリエーションを持たすことかな?」
今、村の人達が作っているのは簡単な机や椅子なんかだ。
「良いと思います。そういう本もあっちの世界に売っていますしね」
「私が翻訳しましょう」
ログハウスの作り方なんかもルリが絵付きでわかりやすく翻訳してくれたのだ。
「わかった。ちょっと考えてみるよ」
「はい。では、最後に牧場の方に参りましょう」
俺達は門をあとにし、牧場予定地に向かった。
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