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35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~  作者: 出雲大吉
第4章

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第135話 夕食会


 窓の外の景色を眺めながらこれからのことを考えてると、次第に空が茜色に変わってきた。

 すると、部屋にノックの音が響く。


「はい?」


 キョウカかな?


『山田様、夕食の準備ができました』


 この部屋に案内してくれたメイドさんの声だ。


「すぐに行きます」


 脱いでいた背広を羽織り、扉に向かう。

 そして、部屋の外に出ると、メイドさんが頭を下げて待っていた。


「こちらになります」


 メイドさんがそう言って歩き出したのでついていく。


「キョウカ……えーっと、妻は?」


 あ、顔が赤くなりそう。


「奥様はすでに食堂におられます。先程までマリエル様、クラリス様、モニカ様の4人でお茶会をしておられたんですよ」


 ずっとか?

 すごいな、女子……


「クラリス様とモニカは帰った?」

「はい。2人で帰られましたね。まあ、お隣なんですけど」


 メイドさんが苦笑する。

 そして、そのまま歩いていくと、とある扉の前でメイドさんが立ち止まった。


「どうぞ」


 メイドさんにそう言われたのでノックをし、部屋に入ると、部屋は白い布がかかった長いテーブルが置いてあった。

 テーブルの上にはすでに料理が並んでおり、さらにはテーブルの右側に奥からラヴェル侯爵、マリエル様の順番に並んで座っている。

 そして、さらには左側には奥の席を空けて、キョウカが座っていた。


「あ、タツヤさん、ここです、ここ」


 キョウカが空いている奥の席を指差して教えてくれたので席につく。


「遅れてすみません」


 一応、謝っておこう。


「いや、私達もさっき来たばかりだから問題ない。それよりもまずはおめでとう。今日から貴殿も立派なこの国の貴族だ。とはいえ、そこまで固くなることはない。今まで通り、自分の領地を守り、発展させていくことだな」

「わかりました。これまでお世話になり、ありがとうございました。そして、これからもよろしくお願い致します」


 そう言って頭を下げると、隣のキョウカも頭を下げた。


「あなた、そんな堅苦しいのはよしましょう」


 マリエル様が苦笑する。


「それもそうだな」


 ラヴェル侯爵は頷き、グラスを取る。

 それを見たマリエル様もグラスを取ったので俺とキョウカもグラスを取った。


「とにかく、おめでとう。では、乾杯」

「「「乾杯」」」


 乾杯をし、グラスに口をつけた。


 ん?

 あ、これ、ワインだ。


「あ、キョウカ」


 慌ててキョウカを見ると、すでにキョウカは飲んでいた。


「大丈夫ですよ。これはワインではなく、ぶどうジュースです」

「あ、そうなんだ」


 セーフ。


「ん? 夫人はワインを飲めないのかね?」


 ラヴェル侯爵が聞いてくる。


「あなた、キョウカさんはお酒を飲まないそうです。先程聞いて、別のものを用意させました」


 マリエル様が用意してくれたらしい。


「なるほど。では、料理を楽しんでくれ」

「はーい」


 俺達はその後、話をしながら食事を楽しんだ。

 とはいえ、基本的に俺とラヴェル侯爵が話すことはない。

 というのも、話すのは基本、マリエル様であり、たまに俺やラヴェル侯爵に話を振ることはあるが、ほとんどキョウカと話している。

 キョウカもまた、笑顔で答えており、キョウカのコミュ力の高さに感心した。


 その後も話を続け、昼も話をしていたのによくこんなに話題が尽きないなと思っていると、長い夕食会が終わる。

 そして、話し足りないのかはわからないが、マリエル様はキョウカを連れて自室に行ってしまった。


「女はよくあんなに話せるものだな」


 ラヴェル侯爵も俺とほぼ同じことを思っていたらしい。


「そうですね。感心します」

「山田殿、ちょっと付き合ってほしい」


 ラヴェル侯爵がそう言いながら立ち上がったので俺も立ち上がる。


「ええ」

「こっちだ」


 ラヴェル侯爵についていき、階段を上がると、奥にある部屋に入る。

 そこは作業用のデスクと共に対面式のソファーが置かれていた。


「ここは?」

「執務室だよ。まあ、かけたまえ」


 そう言われたのでソファーに座る。


「正直、恐縮しっぱなしです」

「だろうね。何か飲むかね?」


 まだ飲めるな。

 あ……


「もしよかったらこれをどうぞ」


 そう言って空間魔法を使い、ラベルを剥いだ瓶を取り出した。


「何かね?」

「ウチのリンゴで作ったリンゴ酒です」


 嘘。

 本当は通販で買った。


「ほう? では、それをいただこうか」


 ラヴェル侯爵はそう言うと、グラスを2つ持ち、対面に座る。

 俺はリンゴ酒を開け、ローテーブルにあるグラスにリンゴ酒を注いでいく。

 そして、1つをラヴェル侯爵の前に置き、もう1つのグラスを手に取った。


「どうぞ」

「うむ」


 俺達はグラスを掲げ、乾杯し、リンゴ酒を飲む。


「うむ。ちと甘いが、美味いな」


 俺も甘いと思う。


「リンゴですからね。女性が飲む用にはいいかと」

「確かにそうかもしれん。山田殿、至急、これを2つ用意してくれ」


 2つ?

 1つはマリエル様だと思うが……


「すぐに用意できますが、2つですか?」

「陛下にリンゴと共に渡した方が良いだろう。隣国に出かけられる訳だし、楽しみになる」


 そういえば、王様ってリンゴが気に入っていたな。

 もしかしたら甘いものが好きなのかもしれない。


「わかりました。すぐに用意します」


 帰ったらさっさと通販で買うか。


お読み頂き、ありがとうございます。

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