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35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~  作者: 出雲大吉
第3章

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第120話 ダメだこりゃ


「確かにリンゴの栽培には成功しました。しかし、あれは数が採れないですし、自分達が生活するだけで精一杯です」

「絶対にそんなことはない。村長殿は魔法使いだろう? その力でこの村を救ったはずだ。何故、俺達を救ってくれない?」


 何を言っているんだろう?


「すみません。私は神様ではないので救いを求められても困ります。私は村の人達と協力してこの村を運営しているにすぎません。それも30人程度の小さい村です。それが精一杯なんですよ。そういう援助でしたら国かこの辺りを治めるクロード様に頼んだ方が良いかと思います」

「自分達だけ良い思いをする気か?」


 おー……

 これほどまでに見事なブーメランは見たことがない。


「タツヤさん、話にならない」


 キョウカがそう言うと、男達がキョウカを睨んだ。


「女は黙ってろ」


 えー……頼む相手の奥さん(偽)にその態度?

 ダメだこりゃ。

 本当に話にならない。


「お帰りを。我々にはどうしようもないですし、態度が悪すぎて、どうにかしたいという気も起きません」

「なんだと!?」


 男が詰め寄ろうとすると、キョウカが再び、刀を向ける。

 すると、後ろで控えている男達からわずかな魔力を感じた。


 これは……


「……キョウカ、飛ぶ」


 小声でそう言うとキョウカが頷く。


「お帰りください。我々も厳しいんです。では……」


 最後にそう言うと、転移の魔法を使い、村の中に戻った。


「山田さん、どうだった?」


 村に戻ると、コーディーさんが聞いてくる。


「ダメですね。話になりませんでした」

「やっぱりか……」


 態度も悪いし、説得も無理だろうな。


「タツヤさん、モニカさんです」


 キョウカがそう言って指差す。

 すると、確かにモニカがミリアムを抱えて歩いてきていた。


「モニカ」

「お待たせしました。そちらはどうでしたか?」


 モニカはミリアムをルリに渡し、聞いてくる。


「ダメだね」

「そうですか……少し作戦会議を致しましょう。コーディーさん、すみませんが、門の見張りをお願いします」

「わかった」


 コーディーさんが頷いてくれたので俺達は執務室となっている家に戻った。


「モニカ、そっちはどうだった?」

「クロード様に相談をしてきました。一応、国にそういうことがあったということは伝えてくれるそうです」

「やっぱりクロード様は対処してくれない?」

「我々は独立した村ですからね。ここがクロード様の村なら軍でも出してくれると思いますけど……少なくとも今度のリンゴの納品までは出して下さらないでしょう」


 リンゴの納品ができないような事態なら自分の領地に関わるから軍を出すわけだ。

 でも、それは一月後。


「やっぱり自分達で対処するしかないわけだ」

「そうなります。ですが、クロード様から国に状況説明をしてくださりますから何があっても我々が被害者です」


 そういうのをはっきりさせるためにクロード様の所に行ったわけだ。


「マリエル様にも頼める?」

「もちろんです。すぐにでも参りましょう。ですが、その前に外の者達の対処を決めないといけません」


 対処か……


「話が通じないし、門を閉じてどこかに行くのを待つしかないかな……」


 果たして諦めてどこかに行ってくれるのだろうか?


「タツヤさん、ちょっといいかな?」


 くっついて離れようとしない人斬りキョウカちゃんが見上げてくる。


「何?」

「魔力を感じただろう?」

「……そうだね」


 確かに感じた。


「どういうことでしょう? 魔法使いがいたんですか?」


 モニカが聞いてくる。


「いや、あれは……」

「悪魔だね」


 キョウカがはっきりと告げた。


「悪魔……本当でしょうか?」

「間違いないよ。村の中からは結界が邪魔してわかりにくかったけど、対面したらすぐにわかった」

「俺も最後の方に感じたね」


 俺はそんなに探知が得意ではないのだ。

 逆にキョウカは魔力探知というよりも野生の勘が働く。


「そうなってくると攻めてくる可能性もありますね」

「というか、確実に来るよ。後ろの方に剣を持ってた人がいたけど、血の匂いがした。それに森の中に何人もの伏兵もいた」


 血の匂いって……

 いや、そこは置いておこう。


「ちょっとマズいね」

「そうですね……そうなると、こちらは戦力が少ないです。何しろ、武器もないですから」


 クワとか鎌かね?


「そこは気にしなくてもいいよ。それよりも、ひとつ気になることがあるんだけど、その武器を持っていた男って結構なマッチョさんだった。開拓村にそんなのがいるのかい? この村は普通だったけど、外にいた男達の大半は痩せていた」


 確かにそうだ。

 この村の人達だって、最初はある人物を除いて、痩せていた人ばっかりだった。


「マッチョ……ちょっと変ですね。当然ですが、開拓村の生活はギリギリです。そこまで身体がふくよかになることはないと思うんですけど」


 モニカが悩みながらそう言うと、キョウカがじーっとモニカの胸を見る。


「私のことは放っておいてください」

「そうだねー……」


 キョウカが俺の腕を抱く力を強めた。


「モニカ、どう思う?」

「盗賊かと……」


 盗賊か……

 そういうのもいる世界だったな。


「リンゴ村の噂を聞き、お金があると思った感じ?」

「多分、そうでしょう。悪魔に憑りつかれてそうなったか、そんな心を持っていたから悪魔に憑りつかれたかはわかりませんが、どちらにせよ、お金目当てでしょう」


 そうなると、確実に攻めてくるな。


「来るなら夜?」

「そうでしょうね。今は森の中に潜入し、この村に入る方法を探っていると思われます」


 だから森の中にもいたわけだ。


「多分、低級悪魔だと思うし、結界を破られることはないと思う。来るなら門だね」


 門はただの門だ。


「俺らの出番か?」

「腕が鳴るね。いつものように報酬はないけど、タツヤさんの村だし、頑張ろう」


 やっぱりユウセイ君とキョウカはやる気だ。


「モニカ、ミリアムと一緒に王都に行って。それで早急にマリエル様に事情説明をしてくれる?」

「わかりました。ミリアムさん、お願いします」

「任せるにゃ」


 ミリアムがモニカの腕の中に飛び上がると、すぐに転移魔法を使い、王都に向かってくれた。


「ダリルさん、女性の方と子供達は絶対に外に出ないように伝えてください。それと男性陣も門のところはコーディーさんだけでいいので他の人達は万が一に備えて村の中の見回りをするように頼んでください」

「わかりました」


 ダリルさんは頷くと、家を出ていった。


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― 新着の感想 ―
人前で転移魔法を使わないっていう話はどこ行ったんだ
[一言] 更新ありがとうございます!
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