第八十四話 不本意な人化みたいだよ!
「それでモケゾウは人化しないの? 」
『僕モケか〜? 僕は必要な時にするモケよ〜』
そう言うと吹けていない口笛をまたやり始めた。
それ、実は気に入っているよね?
私とモケゾウがそんな事を話している間に、わちゃわちゃしていたフラン、カッパ、マサムネが帰って来た。
そして何やら言い始めたのだが。
『そんなに言うなら変化して見せれば良いであります! 主様に見てもらえば良いでありますよ! 』
『カパー! 』
『ああ、そうだよなカッパ! 俺たちの人化は失敗しないよな! 』
どうやら売り言葉に買い言葉で、カッパとマサムネが人化を見せてくれるようだ。
『いくぞ、カッパ! 』
『カパーーー! 』
二人がその場でクルクル回り始めた。
高速で回転して一瞬光ったと思ったら、急にそこに人の影が見えた。
回転が止まりその場に現れたのは、黒い髪の子と緑の髪の子。
色的にカッパとマサムネで間違いないと思うんだけど………。
『よし! 出来た! 』
『カパ! ちゃんと人型になってるカパ』
おぉ〜〜。
ちゃんと人化している………しているけども。
「カッパもマサムネも人化出来てるね〜。出来ているけども………なんでカッパは頭に大きなお皿乗っけているの? しかも話せてるし。そしてマサムネ、実に上手に人化出来ていると思うよ。思うけども! マサムネって女の子だったの? いや、確か精霊に性別はなかったんだっけ? 」
見た目がいろいろ聞きたいことばかりだ。
カッパは緑色の腰まである髪で、何故か頭に乗るくらいの皿を載せている。
そしてマサムネは前髪パッツンのおかっぱ幼女、何故か眼帯をしている。
二人ともツッコミどころがいっぱいだよ?
私の的確なツッコミに二人は顔を見合わせて。
『っく、また幼女! なんで俺は立派な体格な男にならないんだ! 』
『カパ〜、頭のお皿は僕のアイデンティティだから良いんだカパー! 』
と、叫んでいる。
人化は失敗? でも、人化自体は出来ているから一応成功なのかな?
『ほら見たことかでありますよ! 隊長に教えてもらってた時に真面目にやらないからそうなるであります! ちゃんと私を見習うでありますよ! 』
フランのその言葉に二人が人化を解いてフランに飛びかかった。
そしてまた三人でわちゃわちゃ、飽きないね〜。
結局わちゃわちゃしている三人をモケゾウが強制回収してお城を出た。
学校は一ヶ月後から通うらしい。
父と母に報告したらビックリしていたけど、前に私があげたアイテムのおかげで倒れなくて済んだ。
いつも心配かけてごめんなさい。
リズに学校へ行ける話をしたら非常に喜んでもらえた。
ただ、もしかしたらリズに危害を加える者がいると困るから、鬱陶しいかもしれないけど私がいつも側にいることを伝えたら。
「そんなのむしろご褒美です! ありがとうございます! 」
とお礼を言われてしまった。まあ、良いなら良いんだけどね。
通う前の一か月の間にモケゾウ達は誰が学校について行くか、会議を開いていた。
『モケ〜とりあえずヴォルはお留守番決定モケね』
「はぁ? なんでこのヴォルガノフ様が留守番なのだ! 断固抗議する! 」
『ヴォルは主のおやつ係モケよ〜。主が帰って来た時におやつなかったら主が悲しむモケ。それでもいいモケか? 』
「っく、ちびっ子が悲しむだとぉ?……… むむ、仕方ないな、ちびっ子はこのヴォルガノフ様のおやつの虜だからな。期待に応えてやろうではないか! 」
『頑張るモケ〜(チョロいモケ)』
『ホムラもましゅた〜といっちょにいく〜』
『モケ、今のヒヨコはこの間大きくなった時に魔力使い過ぎてただのヒヨコモケ。知ってるモケか? 学校には可愛いものが大好きな高位貴族がわんさかいるモケ。今のヒヨコならそんなのに捕まったらあっという間にさらわれて揉みくちゃにされるモケよ』
『まじですの? 』
『今の魔力ならそうなる未来が見えるモケね』
『…………魔力たまりゅまでまちゅ』
『ねえねえモケゾウくん! 僕も学校行ってみたいよ! 』
『トナトナは…………自由で良いと思うモケ』
『やったーー! じゃあ、主ちゃんも僕に乗せて学校まで送ってあげるよ〜』
『それはダメモケ。そんなことしたら主が目立っちゃうモケ。主はもともと目立つのにこれ以上目立ったら大変モケ。トナトナは学校散歩してれば良いモケ』
『お散歩………楽しそうーーー! ねえねえピンクさんも誘って良い? 』
『………良いモケよ(フラン、頑張れモケ)』
私は内容はよく知らないけど、モケゾウ達の会議は白熱していたらしい。
ホムラが前以上に私にベッタリだったからどうしたの?って聞いたら、会議の結果だと教えてくれた。
何か手伝おうか? って聞いたら私にくっついていたら大丈夫というのでそのままにしておいたけど、すぐにモケゾウが回収していった。
なんかモケゾウ達も準備に追われているようだ。




