第八十三話 え?そうなの?!
「えーっと、どうして私も学校に通うことになっているのでしょうか? 」
うん、意味がわからない。
私、まだ六歳だし。
しかも通う学校って殿下も通う高位貴族が行く学校よ?
「うむ、聖女が通う時に仲が良い者がいた方が良いと言う話になってな」
いや陛下、なってな、じゃなくて。
リズを学校に通わせたかっただけなのに、なんでこうなったのかな?
「私はまだ六歳ですよ?こんな子供が高位貴族に混ざって勉強だなんて、バカにしているのかと怒られてしまいます」
「いや、学力については文句なく許可が下りているぞ。この間問題を解いてもらっただろう? あれが実は入学試験用の問題でな。学校関係者も驚いていたぞ。特に古代語に関しては学校にいる担当教師が是非話をしたいと言っておってな」
いつも間にか試験問題を解いていたようだ。
心当たりと言えば、この間お城に来た時に殿下の婚約者として、どのくらい知識があるか知りたいと言われて解いた問題だ。
まあ、そこまで難しくはなかったし、古代語については簡単な絵本の翻訳だった。
「確か殿下との婚約は私の身を守る為だったような気がするのですが、私、高位貴族がたくさんいるところに行って目立って大丈夫ですか? 」
まあ、守ってもらわなくてもモケゾウ達がいるから心配はしていないけど………学校か〜。
前世ではその頃から身体を鍛えていたから、はっきり言って武術の授業では負けなしだった。
だけど、下位貴族出身だった私が目立つのを許せない人種というのは存在した。
地味な嫌がらせとかはあったけど、私は泣き寝入りが大嫌い。
その都度返り討ちにしていた。
だから学校生活は常に波乱万丈、穏やかな学校生活とは? と言う感じだったのだ。
「ふむ、フローラ嬢の心配も最もだし、婚約当初は私たちも全力で守らねばならないと思っていた。だが前世の記憶持ちと言うことと、精霊の皆さんのお力があればほとんどのこと解決出来ると言う事を身をもって知っているからな。それより、聖女を一人学校に入れることの方が危険だと判断した。聖女のしたことについては情報を制限しているが、やはりどこからかは情報が流れるやもしれん。その時、フローラ嬢が一緒にいればなんとかなると考えている」
物凄く信頼しているぞ!と言わんばかりの目で見てくる。
まあ、言われてみれば聖女の面倒を見るって言ったのは私だし、その責任は持たないといけないよね。
「わかりました、聖女と一緒に通います」
「おお、よろしく頼んだぞ。フローラ嬢は身体はまだ子供だから午前中だけ通ってくれれば良い。聖女も慣れるまではそれで良いだろう」
陛下とそんな話でまとまったところ、モケゾウ達と訓練に行っていた殿下がやって来た。
もちろんうちの子達も一緒だ。
「殿下、今度聖女と共に殿下の通う学校に行くことになりましたので、よろしくお願いします」
その言葉を聞いた殿下は、これでもかと苦虫を潰した顔をした。
「陛下! あれ程フローラ嬢に迷惑をかけないでほしいと言ったではないですか! 聖女の一人や二人なんとでも出来ます。フローラ嬢の安全の方が大事です! 」
そう言って陛下に食ってかかった。
「落ち着けリース。フローラ嬢の強さはお前が一番知っているだろう? それに高位貴族の学校であるならフローラ嬢を害する者はいないはずだ。むしろフローラ嬢の方を聖女扱いすると思うぞ? 」
聖女って。
まあ、今回は私も普通の学校生活を楽しみたいと思う。
なんなら可愛い獣人の子とお友達になりたい。
今世では年上ばかりだけど、前世の感覚からするとまだまだ可愛い年代の子達だ。
と言うわけで殿下を説得しようか。
「殿下。心配してくれてありがとうございます。でも、私も学校生活楽しみな部分もあるんです。だから聖女のリズと通えるの嬉しいですよ。それに殿下もいらっしゃるんですもんね? それなら安心です」
私の言葉に殿下が少し照れながら。
「フローラ嬢………わかりました。必ず私が守ります! 何人たりとも近付けさせません! 私が持てる全てをかけてフローラ嬢に迷惑をかける輩を排除いたします! だから学校生活を一緒に楽しみましょう」
………殿下が熱い。
何かに目覚めてしまったような感じがする。
『モケ〜もちろん僕たちも付いていくモケ〜。場合によってはフランが人化するモケ』
『はい! いつでも変化するであります! ………でも、隊長は変化しないでありますか? 』
「え? モケゾウも人に変化出来るの?! 」
私の驚きの声にフランがこう答えた。
『もともと人化は隊長に教わったであります! なんならカッパとマサムネだってやろうと思えば出来るであります! それが上手に出来ているかは別でありますが………』
その言葉にカッパとマサムネがフランに飛びかかっていってわちゃわちゃしている。
カッパとマサムネは苦手なのね。




