閑話 その時何が
時は遡って、モケゾウが精霊王へ確認しに行った時の話
『モケ〜精霊王様いるモケ〜? 』
魔法陣から飛び出した僕は、精霊界で精霊王様を探したモケ。
よく精霊王様がふらついている、湖の近くに気配を感じたから行ってみるモケ〜。
『モケ〜、いたモケ』
湖の近くに精霊王様はいたモケ。
どうやら何かの作業中モケね。
………この間お城で騒いでた精霊達がチラッと見えたような気がしたモケど、たぶん気のせいモケ。
なんか助けを求められたような気がしたモケど、きっと気のせいモケ。
『あら、フィルウィルデルフィじゃない? 』
『…………………』
『もう! ちょっとぐらい反応しなさいよ! わかってるわよ、モケゾウでしょ? それでどうしたの? こんなところまであなたが来るなんて珍しいじゃない? 』
『モケ。精霊王様に確認したいことがあったモケ』
『あら、私に確認? …………私、別に食べたりしてないわよ? 』
精霊王様が、この間捕まえた精霊達によく似たものをチラッと見たモケ。
『別にそれはどうでも良いモケ』
僕の言葉に、何故かあの精霊達に似た何かはショックを受けた顔をしているモケど、本当に興味ないモケ。
『二百年ぐらい前に、魔族の土地で、僕の部下で、精霊王様の子の「アオボン」が魔族に追いかけ回された事件があったモケど………精霊王様、あれから魔族の土地に精霊戻したモケか? 』
『……………あ』
精霊王様が、やっちまったみたいな顔しているモケ。
これは完全に忘れてたモケね。
僕は今までのことを軽く精霊王様に伝えたモケ。
『あらら〜、すっかり忘れていたわ。だって、あの子達はすっかり平和に生きていたから……』
モケ、そう、あの話には続きがあるモケ。
追いかけ回されたことは解決してたモケ、その後、紆余曲折の末にアオボンと追いかけ回してた魔族は………結婚したモケ。
さすがの僕もビックリしたモケ。
そもそも追いかけ回してた魔族は、人間に化けてたアオボンに一目惚れ。
それを断ったアオボンは、魔族から逃げて精霊の姿に戻ったモケ。
人間の姿の時は、薄幸の美少女風だったモケど、精霊の姿は僕たちと同じ形、色は薄いピンク、頭には特徴的な青いボンボンがついてるモケ。
どう見たって、同一人物だなんてわかるはずがなかったモケど、その魔族は一発でわかったモケ。
二人の間でどんな話があったかは、詳しくは聞いてないモケど、最終的に二人は結婚したモケ。
じゃあ、なんで精霊王様が魔族の土地から精霊を撤退させたかと言うと、魔族の一部が精霊との結婚を認めなかったからモケ。
あいつらちょっと偏った考え方をしてたから、魔族の相手が他種族なんて認められないとか言ったモケ。
そしてその話を聞いた精霊王様が怒って、精霊を馬鹿にするならこの土地に精霊はいなくて良いよね? と言い出し、結果魔族の土地から精霊が消えたモケ。
ちなみに、アオボンところは子宝に恵まれて、平和に暮らしているモケ。
『モケ、それじゃあ、早く精霊戻るように言ってほしいモケ。いくら長寿の魔族とはいえ二百年はやり過ぎだと思うモケよ? 』
『私だって、さすがに悪いと思っているわよ? だから子供が生まれやすいように祝福をかけておくわ。だから後のことはお願いね? モケゾウ』
こんな感じで精霊王様の尻拭いをするのはいつものことモケ。
精霊王様は永い時を生きているから、たまに大事なことをスルッと忘れるモケよ。
『………モケゾウ? 今なんか失礼なこと考えてなかった? 』
『………モケ。そんなこと考えてないモケ、気のせいモケね』
僕は精霊王様に軽く挨拶してその場を後にしたモケ。
ここでの時の流れはあっちとは違うモケから、あっという間に戻ってきた僕に主はビックリしてたモケ。
『という訳モケ。わかったモケか? 』
僕はこのことをアホ魔族に伝えたモケ。
「そんな理由で精霊がいなくなったとは! そもそもその精霊を追いかけ回していたバカな魔族は誰なんだ?! あと、結婚に反対したというアホは?! 」
『………バカはお前のところの第三王子、アホはそれとの縁談を狙っていた、どっかのお偉い魔族だモケよ? 』
僕の言葉にアホ魔族は頭を抱えている。
世の中アホはいたるところにいるモケね。




