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子リス転生 〜 前世で英雄の私は可愛いを極める〜  作者: メイリ


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第五十五話 秘密って言わなかったっけ?

 トナトナが一心不乱に隣国の王様をフミフミしている。

 なんだかイロイロ溜め込んでいたようだから気がすむまで踏んでいてもらおう。




「フローラ嬢! 無事で本当に良かった」


 陛下が私の近くまで来てそう言ってくれた。

 ちなみに今もまだ殿下の腕の中にいます、あの〜そろそろ腕外してもらっても………あ、はい、まだですね? 了解です。


「騎士達も全員無事連れ帰ってくれたんだな、本当にありがとう」


「間に合って良かったです。危険な森だったので」


 私が陛下にそう言うと、騎士様達がウンウンと頷いている。


「お前達もよく無事に帰って来てくれた」


 陛下が騎士様達を労う。


「いえ、私達はベルンハルト様と精霊様に助けていただくばかりで………ベルンハルト様がいらっしゃらなければ全滅していたことでしょう」

「ベルンハルト様は本当にかっこよかったです! 」

「精霊様達も皆様凄かったです! 」


 騎士様達が一生懸命陛下に説明している。


「うん? 精霊様達は確かにお強いがフローラ嬢がカッコいいと言うのは一体? 」


 あ、そこは言わなくて良いですよ、騎士様達。

 っていうか、確か面倒だから秘密って私言わなかったっけ?




「ベルンハルト様は見事な飛び蹴りで、襲われそうになっていた私を助けてくれたのです! 」

「それから見事な二刀流で、ナイフに炎を纏わせ魔獣をあっという間に討伐されました! 」

「しかもこの国では貴重な薬草類を大量に採取されて持ち帰ってくれました! 」


 騎士様達は興奮しながら陛下に報告している。

 あの〜、秘密って言いましたよね?

 私を抱きしめていた殿下が私のことを見て聞いてきた。


「フローラ嬢は戦えるのかい? 」


 おぅ、そんな目で見ないで下さい。

 何でそんなに瞳をキラキラさせているんですか?


「えーっと、あの、モケゾウ達がイロイロ教えてくれていたのでなんとかなった感じですかね」


「すごい………こんなに可愛いうえに強いなんて最高じゃないか?! 我が婚約者は! 」


 殿下が興奮していらっしゃる。

 そんな中、私は殿下の腕の中から回収された。


「フローラちゃん! どこも怪我はなかった? 本当にごめんなさい、こんなことに巻き込んでしまって」


 エリー様が心底凹んだ顔で謝罪してきた。

 別にエリー様が悪いわけじゃない、悪いのは隣国の姫様とたぶん王様でしょ。


「エリー様、エリー様が悪いなんてこれぽっちも思っていません。どこからどう見ても悪いのは魔法陣を展開した隣国の姫様だし、あそこでトナトナに転がされている隣国の王様ですよ」


 そう、隣国の王様、今度はトナトナの足で転がされていた。

 イワシの恨みってコワイ。

 今度美味しいイワシご馳走するね。

 何故かその心の声が聞こえたのかトナトナが離れた場所から。


『イワシは新鮮なのお願いね〜』


「うん、モケゾウ達にとって来てもらうね」




「ところでいろいろ聞きたいことがあるのだが………一先ず、先程から隣国のザンガス王を踏んで転がしているトナカイだと思われる者はどなたかな? 」


 陛下がトナトナの方を見ながら聞いてきた。

 まあ、そうだよね、気になるよね。


「あ、あのですね、彼は『トナトナ』と言いまして私達をここまで運んでくれた恩人です。それから………たぶん先程から彼も言っているのでお気付きかもしれませんが、トナトナは聖獣です」


 私の言葉に陛下だけではなくこの場にいたみんなが驚きに声をあげた。


「聖獣………それは………どこかで聞いたことがあるような………。確か古い文献に載っていた隣国の守り神のことか? 」


「たぶんそうだと思います。ただ、隣国ではトナトナのことが忘れられてしまっていたようで………本人が言うには契約違反みたいです。それで先程隣国の王の方から『いらない』と言われたことによって最後の契約も切れたようです」


「………なんと、愚かな」


 本当にね。







 今、城の中庭に隣国の人達が全て集められている。

 何かあっても外の方が対処しやすいし。


「我らをどうするつもりだ?! 」


 隣国の王様がわめいている、この状態でもまだ騒げるってある意味才能か?


「まだ自分の立場がわからないらしいな。隣国はザンガス王の退位を進めているそうだぞ? 」


「な、なんだと?! そ、そんな嘘を信じるわけないだろう! 」


「嘘ではない。一応隣国の王家にもマトモな者がいたのだな。近日中にここにいる者を引き取りに来ると言っていたぞ。あとは………聖獣殿に謝罪したいとも言っておったな」


 たぶん謝罪しようが、何しようが、トナトナは隣国の守護獣には戻らないだろうな。

 初めて会った時のように小さいヌイグルミのような姿で、モケゾウ達が調達してきた新鮮なイワシを踊り食いしている。

 今更だけど、トナカイって生のイワシ食べて大丈夫?


 この場にはもちろん魅了の力を使っていた姫もいる。

 エリー様と宰相様の二人の尋問………によって魅了の力を使ったことも認めているらしい。

 でもそれって精霊の力を使っていたんだよね?

 その精霊って今どこにいるんだろう。


『モケ〜、主、魅了使う精霊ならあそこモケよ〜』


 モケゾウの指差す方向を見るけどそれらしい者はいない。


『モケ、ほら、あの白いヒラヒラしたの着ているヤツモケ〜』


 白いヒラヒラ………うん? あれってもしかして噂で言ってたもう一人のお姫様?

 確か二人の姫が来るって言ってたもんね。

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― 新着の感想 ―
[良い点] イワシ超重要アイテム! まさかの国政を左右する程とは… [気になる点] 秘密とは? 速攻ばらされてるモケ~ [一言] いつも更新ありがとうございます! 感想遅れてごめんなさいモケ~
[良い点] トナトナが美味しい新鮮イワシを沢山もらえてよかったトナ!今までもらえなかった分まで思いっきり堪能してほしいトナよ!! [気になる点] 魅了を使える精霊がお姫さま?なんだか厄介ごとの匂いがす…
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