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子リス転生 〜 前世で英雄の私は可愛いを極める〜  作者: メイリ


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第三十二話 解読するよ!

「それにしてもフローラ嬢は若いのぉ〜。その年で精霊と契約できるとは将来が楽しみじゃ。それに古代語もわかるらしいのぉ〜、古代語は理解できるものが少ないから、フローラ嬢が良ければ図書館で古代語の解読作業をしてみんか? もちろん対価は払うぞ? これでもわし意外と稼いでいるからのぉ〜」


 喋り方はおじいちゃんだが、姿は美少年。

 違和感ありまくりだ。


「古代語には興味があるので、お手伝い出来ることがあればしますよ。それからお金はいらないので、出来れば貴重な古代語の本とか読めれば良いなと思っています」


 私の言葉に館長様は


「ふぉっふぉっふぉ、金より本とはまさに本好きじゃな! よしよし、わしの集めた世界各国の古代語の本をいくらでも読んでいいぞ。もちろん読めれば……じゃがな」


 試すような目で私を見てくる館長様。

 ………いいね〜、期待通りやってあげますよ。





「……………、うん、降参」


 館長様が真面目な顔でそう言った。

 最初の頃はたぶん館長様にとっても簡単な古代語の訳を頼まれた。

 そんなの前世の幼子の絵本並みだ、楽勝。

 次は前世の十歳ぐらいの子が読む本レベル、これも普通に読めて当然。

 だが、この辺りから館長様の不敵な笑みが崩れ始めた。

 明らかに動揺している。

 悩みながらも次の本を私に手渡してきた。

 これは………日記だね、しかも毎日の献立、でもこれを書いたのがどうやら年配の方だったらしく言い回しが古臭い。

 でも、私にしてみればただの献立、やっぱりこれも楽勝だった。

 しかし館長様にとっては違ったようで………。


「君、確実に僕より古代語に精通しているよ。僕はその日記を読み解くのに半年はかかったから。悔しいな〜、でも………うん、これで読めなかった本を読めるようになる可能性が高くなった。これからはどんどん古代語の本を楽しめるよ! 」


 なんだか館長様の口調が違うんですけど………。

 こっちが素なのか。


「あの〜、さっきまでのおじいちゃんみたいな話し方はやめたんですか? 」


「あ〜、アレね。この姿で普通に話すと舐められるからね、普段はあんな年寄りくさい話し方しているんだ。でも、君とは長い付き合いになりそうだし、演技しても疲れるからね。まあ、そういうことだから他の人がいる時は演技するから覚えておいて」


 そんなことを笑顔で言う館長様。

 うん、普通に美少年だわ。


「わかりました。では、今後もよろしくお願いします」


「うん、よろしく! あと、ここに来るのは別に好きな時で良いよ。そんなに急いでやるようなもんでもないし。君も貴族の令嬢ならイロイロ忙しいだろう? まあ、息抜きだと思って気楽にやって」


 なんともユルイ発言、さすが長寿のエルフ。





 そんなこんなで、私は気が向いた時に図書館に行っては館長様セレクトの古代語の本を解読しまくった。

 私的には解読と言うより普通に読書だったけど。

 館長様所蔵の古代語の本はいろいろな種類があった。

 前に見た献立もあれば、恋人の浮気の詳細記録、普通の歴史書もあったけど大嘘ついているのもあったから信憑性に乏しい。

 私が気になったのは、古代語の地図なんだけど、どうやらお宝のありかを示しているものらしい。

 それこそ偽物を疑ったけど、モケゾウが


『モケモケ〜、これ本物モケよ〜。この地図から強い精霊の力を感じるモケ〜。主が欲しいなら、僕が取ってくるモケよ? 』


「うーん………今すぐじゃなくても良いなら、私がもう少し大きくなってから一緒に行きたいな」


 宝探しとか楽しそう!

 宝物を手に入れたいと言うより、その過程を楽しみたい。


『モケ〜、主がそれで良いならいつでも大丈夫モケ。普通の人間ならたぶんたどり着けないと思うモケし、その力が強い精霊って言うのもたぶん知り合いだモケ』


 おや? 知り合いがお宝の番をしていましたか。

 喧嘩にならなきゃ良いけど。





 ーーー某屋敷にて



「どうして子爵家の娘が殿下の婚約者に………」


「そうですわ、一番殿下の婚約者に近かったナターシャ様を差し置いて! 」




「皆さま………私の為に怒っていただいてありがとうございます。私もこれまで、殿下に相応しくあるためにいろいろ頑張ってきましたわ。そこへ来て急に婚約者が子爵家の方だなんて………。上位貴族と下位貴族との婚姻は難しい問題です。きっと殿下も止むに止まれぬ問題があって婚約されたのだと思いますわ。一度、その殿下の婚約者………の子爵家の方にお話を聞いてみた方がよろしいですわね」


「そ、そうですわ! きっと断れない理由があって殿下も無理やり婚約されたに違いないですわね! 」


「ええ、そうだわ。きっとそうに違いないですわ、ナターシャ様! もちろんお話される時は私たちもお付き合いさせていただきますわ」


「皆さま本当にありがとうございます、心強いですわ。………では近いうちにお話出来るように致しましょう。よろしくお願いしますね? 」



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