第5話 ロイヤルファミリーと護衛の女騎士達
眼鏡メイドさんに手を引かれて、大きくて飾りつき扉の前に連れてこられた。
「トール様。手を離していただいてもいいですか?」
眼鏡メイドさんが申し訳なさそうに言い俺の手に優しく自分の手を重ねた。
ここは、素直に従っておくことにして、少し怖がる表情を見せた後、ゆっくりと手を離す。
「ありがとうございます」
残念そうに眼鏡メイドがお礼を言った。
本当は、ずっと繋いだままにしたかったと、顔にかいてある。
眼鏡メイドさんは、扉をノックし「失礼します」と言ってから部屋の中に入る。
俺も、その後に従い部屋の中に入る。
部屋の中には、中央に10メールはあろうかというテーブルが鎮座していて、俺の父上は扉から入って、右端に座っていた。
父上を中心に母上・・・そして、俺の兄上と姉上なのだろう子供が座っていた。
詳しく説明すると、父上が端っこに座っていて、父上から見て右側が母上、左側が兄上、そして母上の隣に姉上、そして兄上の隣の席に食事・・・まだ柔らかい物ばかりの俺用の食事が置いてあることから俺の席だろう。
俺は先に入って行った眼鏡メイドさんの隣に立つ。
「国王様。トール様を連れてきました」
眼鏡メイドさんが父上に報告した。
「おおっ! きたかトール!」
父上大喜び・・・てかうるさい・・・。
「はい。ちちうえ」
「トール。お兄さんとお姉さんに挨拶しなさい」
母上が楽しそうに言うが・・・俺に兄弟がいることをさっき聞いたばかりなんですけど?
「とーる・うぇりす・あるあどねです・・・3歳です」
つっかかりながらも、自己紹介を終える。
「さあ、お前達も挨拶しなさい・・・お前達の弟になるのだから」
父上が促し、兄上が立ち上がり、俺に自己紹介を始める。
「はじめまして、僕は、君の兄のターナー・・・ターナー・ウェリス・アルアドネ。8歳だよ」
うん。しっかりとした挨拶だ。
とても8歳とは思えない落ち着きで、やはりイケメンだ。
髪の色は父上のほうに近く、赤色に見える。
雰囲気も優しそうで、いい兄になりそうだな。
次に、姉上が立ち上がり自己紹介を始めた。
「私は・・・アリシア・ウェリス・アルアドネ・・・5歳・・・」
うん。この子は人見知りが激しい女の子のようだ。
容姿は、母親に似て金髪で色白の肌をしているが、雰囲気や顔立ち、髪質が少し違うようだ。
母上はふんわりした金髪だけど、この子はさらさらした癖の無い金髪で顔立ちも母上のおっとりとした優しさをあらわした顔ではなく、どこか冷めた印象をあたえる顔立ちだった。
母上とは違った美人になるだろうから成長した姿が楽しみだ。
「さあ、席に着きなさいトール。食事を始めようじゃないか」
父上の言葉をかわきりに食事が始まった。
そこからは、何事も起こらずに食事が終わり、部屋に戻された。
当然、眼鏡メイドさんの手を繋いで戻り、甘えた。
怖がっているという設定でここまで来たから、最後まで通さないとね。
うーん・・・それにしても王族って、兄弟だからといっても、いつでも一緒に居るわけじゃないんだな。
あれから2年が経ち、俺は5歳になった。
今までは、メイドさんや乳母と遊ぶだけの生活をしていたが、これからは、勉強もしないといけなくなった。
まずは、礼儀作法を習い、文字を覚えさせられた。
礼儀作法は初めてで面倒臭かったけど、簡単に覚えられた。
文字に関しても眼鏡メイドさんが絵本を読んでくれるときに覚えていたから最初から書けた。
昔の・・・転生前の俺だったら、こんなに早く覚えられなかったと思う。
今の俺の頭はものすごく出来がいいみたいで、なんでも一回で理解できるようだ。
まあ、覚えることが出来たとしても惚けるけどさ。
俺は、まだあくまで凡人として生きたいんでね。
怒られない程度に、学力を伸ばし成長していく振りをする。
そうそう、俺は城内をメイドか騎士を一緒に連れて行くのならある程度外に出ても良くなった。
だが、俺の行きたいところに、頭がいい眼鏡メイドさんを連れて行くわけにはいかないし、他のメイドに付き添いを頼んだら、眼鏡メイドさんの好感度が大きく下がる。
だから、いつも部屋の前に一人から二人はいる女騎士に付き添いを・・・騎士だから護衛を頼む
俺のことを考えて警備の人間を女騎士にしてくれたのは、マジで嬉しい!
しかも、美人ばかりを選んでくれたみたいだし・・・。
俺は、扉を開け女騎士に話しかける。
「トール様。どうされましたか?」
部屋の前にいたのは一人の女騎士だけで、今回の女騎士は、今までの女騎士より一番若くて金髪をポニーテールにした15歳ぐらいの女騎士だった。
今までの女騎士は皆20歳は越えていそうな美人だったのに対し、この子はまだ美少女だった。
女騎士が目線を合わせるために、しゃがんで聞いてきた。
俺は5歳だから腰あたりまでしか身長ないから、使用人は失礼にならないように、皆しゃがんで目を合わせて会話する。
メイドさんたちも、しゃがむが彼女達のスカートは長いので大丈夫なのだが・・・
女騎士達がしゃがむと・・・軽装の鎧で下が動きやすいように短いスカートを穿いているので、しゃがんだら俺の視界から丁度、スカートの中が丸見えになる・・・活発そうなのに下着は大人しい厚い生地の白だった。
しかも、スカートの中をかんさ・・・見られていることに、全く気づいていないらしく、王子に話しかけられたに喜んでいるようだった。
「散歩したいんだけど、ついてきてくれない?」
女騎士は、やった! と小さくガッツポーズをして答える。
「はい! 私でよければ喜んでお供させていただきます!!」
目をキラキラさせて本当に喜んでいる。
どうやら、俺が毎回散歩の護衛に部屋の前の女騎士を選ぶから、部屋の警備に来る女騎士の間で、俺から話しかけられると幸せが訪れると根も葉もないジンクスが生まれているそうだ。
まあ、彼女達からすれば王子と接点が出来るという利点が生まれるから嬉しいんだろうね。
そろそろ行くか・・・とっ、その前に・・・。
「お姉さん・・・」
ワザとモジモジと恥ずかしそうに話し出す。
「どうされたんですか?」
心配そうに女騎士が顔を覗き込んできた。
「あの・・・ねっ」
「はい?」
顔を赤くし・・・うーん、赤くなってるかな?
顔を赤くし、恥ずかしそうに目を背けてぼそぼそと言う。
「その・・・ね・・・スカート・・・の・・・見えてる・・・」
これだけ言えば充分のはずだ。
「スカート・・・・・・あっ!!」
どうやら気づいたようだ。顔が真っ赤に羞恥の色に染まって慌てて立ち上がった。
「そのっ! すすすすみませんっ!! お見苦しいモノを・・・」
女騎士は、狼狽しながら謝罪し始めたから俺は、女騎士の手を握って恥ずかしい気持ちを押し殺しているかのように、優しく言う。
「謝らなくていいよ・・・?」
「でっですが! トール様の目を汚してしまっしまい・・・不快に思われたのでは・・・!」
「ううん。全然不快じゃないよっ! あっ、えっと・・・そのっ・・・お姉さん綺麗だし・・・」
最後の最後に恥ずかしそうに目を背ける。
「あっ! ありがとうございますっ・・・!!」
女騎士は、嬉しさと羞恥で悶えながらお礼を言う。
「それじゃあ・・・行こうか・・・?」
ハニカミながら言うと毎回、女騎士達は、嬉しそうに「はいっ!」とこの女騎士みたいに返事をして、ついてきてくれる。
今まで10回以上、女騎士達とこういうことに似たやり取りをしている・・・。
毎回・・・と言っても、女騎士達のタイプによって、指摘の仕方をかえながら教える。
毎回同じ方法だと味けないしね。
初めての他人には毎回こういう感じの対応でいいけど・・・。
ワザと見えてるって指摘した後に見せる女騎士がたくさんいるから困り者だ。
一度だけ、25歳ぐらいの妖艶で艶やかな女騎士が、ワザと下着を穿かないで見せ付けたときは、珍しく狼狽したのを覚えている。
その女騎士は、やってやったみたいな嬉しそうな顔をしていたし・・・。
・・・。
・・・・・・。
・・・・・・・・話がそれたな。
女騎士への対応を考えながら歩いていたら、もう俺の目的地の近くまで来ていた。
俺は、とたとたと走りドアの前までやってくる。
女騎士も早足で俺のすぐ後に立ち、扉の前に止まった俺に聞いてきた。
「トール様? 書斎に用があったんですか?」
「うん!!」
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