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王楽記―おうがくきー  作者: 上平英
幼少期
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第4話 転生、人生、謳歌中

子供ライフ満喫中!

俺の新しい名前は、トール・ウェリス・アルアドネになった。


転生前と少しだけ名前が似ていたが、容姿は、転生前とかけ離れていた。


金髪に赤の入ったオレンジに近い色のさらさらの髪と、青い瞳の整った顔立ちイケメン。


転生前は、どこにでも一人はいる黒髪の青年だったのに・・・今は、超絶イケメンに進化してしまった。


だが・・・。


生まれてから2歳になるまでは、毎日が羞恥プレイだった・・・。


母親以外の女性からも世話をされ、食事・・・まあアレも含めて色んな事をしてもらいました・・・。


なんで、母親以外からもそんなことされたかって?


それの答えは簡単、俺の家がとんでもないほどの権力を持っていたからだ。


どんな家かと言うと・・・ぶっちゃけ王家だった。


俺の周りには、手厚く世話を焼いてくれる美人のメイドさんがたくさんいて、赤ん坊だというのに個室を与えられ大きな天蓋つきのベッドに寝かされて、24時間体勢で大切に育てられた。


王の仕事で忙しいだろうに、父親の王様と母親の王妃も忙しくても一日三回は会いに来てくれる。


俺は、幼児らしく夜鳴きや愚図ったりして周りの手を焼かせた。


ワザと大泣きしてメイドを困らせたり、幼児の立場を最大限に生かしセクハラを行ったりと、楽しい生活を送った。


それに、両親やメイド達を困らせるだけではなく、幼児らしく可愛らしく振舞ったので好感度は良好だ。


両親がそろって二歳の俺の様子を見に来た時、言葉を教えようと父親が笑顔で崩れた顔をしたまま、俺に「父上だよー」とか言ってきたのでワザと「ちっ? ちっ・・ちちうぇー・・・?」と首をかしげながら、舌足らずに言葉を話す。


すると・・・父親(王様)は感激して俺を抱きしめた。


父上は笑顔で顔を崩し不細工になっていた。


初めて会ったときから、父親はにやけ面で不細工だ。


本当は、赤髪のイケメンなんだろうが、俺の前では顔が緩んでいるのでいつも不細工に見えた。


あっ、赤髪で気づいたと思うが、俺の髪がオレンジ色だったり、超絶イケメンなのは、両親の遺伝だ。




今度は母親が俺に「わっ、私は、は・は・う・えよ! は・は・う・え!」


母親が自分自身を指差し、呼んでもらいたそうにしている。


まあ、待てって、今言ってやるからよ。


俺は笑顔を母親に向けて再び初めて言葉を覚えたように・・・。


「はは・・うえ?」


首をかしげる。


「そうそう! は・は・う・え!」


「ははうぇえー!」


小さな手を母親に向けて笑顔を見せる。


「ああっ・・・!」


おおうっ!? 母親が感激のあまり泣き出してしまった。


本当は喋ろうと思えば喋れるから騙しているようで少しだけ罪悪感があるが・・・いきなり2歳児が喋りだすよりはマシだよねっ?


俺は普通の王子として楽しく生きたいし・・・。


えっ? それならせめて、夜鳴きとかセクハラするなって?


無理だよーー。


せっかく、美人で優しいメイドさん達やグラビアモデル並みの乳母さんに世話してもらえるんだからさぁー。


いろいろと楽しまないとね?






一年が過ぎ、三歳になった。


俺は、少し長い文章を話せるようになり、部屋を歩き回り始めた。


順調に成長する俺を見て両親は嬉しそうだ。


まあ、ワザとそういう風に見せているだけで、実は、普通に話せるし、歩くだけではなく走ることも出来るんだけどね。


メイドさんから着替えを手伝ってもらった後。


今日も眼鏡をかけた20歳ぐらいの美人メイドさんがやってきてベッドで絵本を読んでもらう。


最近の生活は、俺に文字や言葉を教えるためにの準備に入ったようだ。


毎日、3冊は本を読み聞かされるし、紙に絵を描いたりと、知識を持たせたり情操教育をしはじめた。


眼鏡メイドさんは、俺に専門知識や歴史が書かれた難しい本をときどき読み聞かせ、俺の知識を育てようとしていたが、難しい本より童話が読みたいと駄々をこねたりして困らせたりした。


難しい本の内容も理解できるが、読むことは嫌い。幼児らしく童話を好んだ。


それに本を読んでくれる眼鏡メイドは、厳しそうで凛々しく知的系の美人女教師で俺のお気に入りのメイドさんだ。


お気に入りと言ってもまだ他にもたくさんいるんだけどね。


王族最高だねっ!


10歳ぐらいの幼女メイドから30歳ぐらいの巨乳や貧乳や幼女とかさまざまな属性を持つ女性に・・・しかも全員美人に世話を焼いてもらえるんだからね。


本当は好かれるようにいいところだけを見せたかったんだけど、幼児として、周り困らせるような我侭も言わなきゃいけなかったから、好感度だけをあげられなかったのは残念だったけど・・・それが普通の(・・・)3歳児だし、諦めた。




いつものように、絵本を読んでもらい眼鏡メイドさんと一旦別れ、お昼になった。


俺は、生活の全てをこの部屋で行っていたので、食事もこの部屋でメイド達に世話をされながら食べていた。


今日も、給仕のメイドさんが昼食をもうすぐ運んでくるだろうと待っていたが、まだ来ていない。


どうしたんだろう?


「トール様。本日のお食事はご家族全員と摂ってもらいます」


ドアをノックして入ってきて、そう言ったのは眼鏡メイドさんだった。


「ぜんいん?」


「はい。国王様と王妃様。それに第一子でトール様の兄上であられるターナー様。第二子でトール様の姉上であられるアリシア様です」


メイドさんはきちんと答えてくれたが、俺に兄と姉がいるなんて知らなかった。


3歳になった俺を兄と姉に会わせるのが今日の目的なんだろう。


兄と姉がいるってことは、俺は第三子って事か・・・まあべつにいいけど。


「兄上? 姉上?」


話を理解していたが不思議そうにメイドさんに聞き返す。


「トール様は知りませんでしたね。トール様には兄弟がいらっしゃるんですよ」


だからそんなこと分かってるよ・・・。


「どんなひと?」


「ターナー様は現在トール様より5歳上で8歳。アリシア様は2歳上で5歳とお2人ともすごく良い子ですよ」


良い子ねぇ・・・まあ、会って見ますか。


前の人生では一人っ子でいなかったし。


眼鏡メイドさんから身だしなみを整えてもらった後、部屋から出る


本来だったらメイドが王族である俺の後ろについて歩くのが正しいんだが、俺はまだ3歳でこの部屋から出ていなかったこともあり、眼鏡メイドさんが先導することになり、前を歩こうとするが、まだ小さい手を伸ばし眼鏡メイドさんの手を掴む。


「どうされましたか?」


眼鏡メイドさんが顔を覗き込んできた。


俺は不安で怖がっている3歳児を演じ、眼鏡メイドさんの手を握り抱きついて顔を見上げる。


正直、身長差で膝下あたり抱きつけなかったのは残念だが・・・。


「大丈夫ですよ」


眼鏡メイドさんは、いつもの無表情を崩し、俺の頭を優しく撫ぜてくる。


「うん・・・」


ゆっくりと、離れるが手は離さない。


眼鏡メイドさんが、離しそうになる前に、ぎゅうっと握りなきそうな顔で眼鏡メイドさんを見つめる。


「っ! ・・・わかりました。行きましょうか」


眼鏡メイドさんは、手を離すのを諦めて歩き出した。


俺に気づかれていないと思っているようだけど・・・後からでも雰囲気で顔が緩んでいるのがわかるよ?


耳まで真っ赤だしねっ!



ふっふっふ・・・子供の魅力&容姿でどんどんメイドさんの心を掴んでいく・・・。


すべては俺が大人になった時のために・・・・。


・・・ん?


・・・・なんか俺って、ものすごい悪人じゃねぇ?



子供ライフ満喫中!!



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