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王楽記―おうがくきー  作者: 上平英
幼少期
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第3話 転生、誕生、本能のおもむくままへ

転生しました。

光に包まれていたと思ってたら、急に真っ暗になった。


周囲を見ようとするが目があまり開かないし、首や手足がほとんど動かない・・・。


肌からは、全身が温かいお湯に浸かっていることが感じられるが、苦しくはない。


口を開けていないのに、楽に呼吸が出来ている・・・。


どこだ・・・ここは・・・。


まさかここは、アレなのか? 子宮の中だったりするのか?


この周りのお湯は羊水で、息が苦しくないのはへそののおかげなの?


ここに居るということは・・・生まれるまでここにずっといることになるのか?


面倒だなー。


早く出たいなー。


・・・。


・・・・。


・・・・・。


・・・・・・。


「ううっーーー!!」


うわっ!? なんだいきなり!?


いきなり女性の苦しそうな声が子宮に響いた。


そして子宮が動き始め、体を覆っていた羊水が外に少しずつ出て行っているようだ。


また、女性の声が聞こえた・・・しかも、今度は・・・。


「うっ、生まれるーーー!! 生まれるーーーー!!」


なっ、これから生まれるのか!? 


まだ心の準備が出来てないのに・・・いや、そりゃあ早く生まれたかったけどさ・・・なんて言うの? あまりにも早すぎない?


ぐへっ!?


しだいに外に押し出されていく・・・。


「うー! うー! うー!」


女性の・・・俺の新しい母親が苦しそうな声をあげている。


「頑張ってください! もう少し・・・もう少しですからっ!!」


助産婦?の声が聞こえる。


俺はもうすぐ生まれるみたいだ・・・まぶたを通して光が見える。


・・・・。


・・・・・・。


って!? 痛てててて!!?


助産婦さん!? そんなに強く掴まないで!! 痛いって!! マジで!!


ずるりと産道から引きずり出され、へそのを切られた。


「生まれましたよ!! それも元気な男の子ですよ!!」


助産婦さん容赦なくてマジで痛かった・・・!!


助産婦さんの腕の中で暴れながら、文句を言おうとするが、口からはオギャー以外の言葉が出ない!?


俺は必死にオギャーオギャーと叫んで助産婦に怒りを・・・抗議の気持ちを伝えようとしている間にも助産婦は、ぬるま湯に俺を浸からせ体を清め、柔らかい毛布に体を包む。


洗われているうちに目が少し開き、景色が見え始める。


周りを見ようとしたが首が動かずに正面しか見ることが出来なかった。


クソッ! 後から抱きかかえられているから、助産婦の顔が見れなかった! これでは、お礼参・・お礼が出来ない・・・!!


だが、声と抱きかかえられているうちに助産婦の胸の感触は覚えたぞ!


今度見つけたら・・・ふっふっふっ・・・。 


「どうぞ」


助産婦は、嬉しそうな弾んだ声で俺を誰かに渡す。


「うふふ・・・私があなたのお母さんよ」


予想はしていたがやはり母親だった。


毛布の間から覗ける母親の顔は出産の疲れからか顔色は優れていなかったが幸せそうに俺を見つめている。


・・・なかなか綺麗じゃないか。


ふあふあとした金髪さんで綺麗な青色の目をしている。


優しそうなおっとりとした美人さんだ・・・。


凛々しい雰囲気の神の美人さんとは違った魅力があった。


「あーうーあぁー・・・」


うん。やっぱりしゃべれないみたいだな。


「なに? ご飯が欲しいの?」


「あー? うぅー?」


はっ!? なに!? 母さんが俺を抱き寄せる!?


そして、胸を突き出してきたっ!?


こっこれは・・・飲めということですか!?


くっ! 本能が・・・本能が食欲が頭を支配する・・・。


頭の中では、躊躇ためらっているが、本能が勝手に俺を動かした・・・。


・・・。


・・・・・。


・・・・・・・。


・・・・・・・・・。


本能に負けた俺は、腹いっぱいになるまで吸い付いた・・・。


しかも、飲んでいる最中に、父親とかたくさんの人間が訪れ、俺に温かい視線を向けた。


俺はその視線に耐えながら本能のままに食事を行い。


そして食事を終えた後。


ものすごい睡魔に襲われ、母さんの腕の中で寝た。


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