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王楽記―おうがくきー  作者: 上平英
幼少期
16/21

第15話 女騎士と不審者と勇敢な王子様

ああっマジで楽しみだ!


女騎士との汗だく剣術の稽古けいこ・・・。


最近、稽古中にも女騎士達からの逆セクハラを受け始めたから、どんなことをされるか楽しみなんだよね!


剣筋が少し粗いと言って、後ろから胸を押し付けるように抱きついてくるし、「この辺に力を入れるのよ」とか、耳に熱い吐息がかかるほど興奮しながら、下半身をまさぐってくるから俺も大興奮っ!


しかも俺は、あからさまなセクハラにまったく気づいていない鈍感な少年を演じて、自分から捕食されに向う。


そして、その対応がさらに彼女達のセクハラに拍車をかけていた。


始めは、訓練場で開いている場所を使って稽古をしていたが、今は隅の方になり、男の騎士から一切、俺の稽古の様子が見えないようにされた。


そして、俺に密着しながら剣術の構えなどを教える際は、さまざまな理由をつけて、俺と自分の鎧を脱がしてから、教えるようになった。


グラマー女騎士にいたっては「ここに力を入れるんですよ? 触ってみてください」とか言って俺の手をとり、服の下の柔肌を俺に触るように促してくる。


もちろん、俺はグラマー女騎士の体を触るよ?


触っていいって言ってるから、グラマー女騎士が腰砕けになるまで不思議そうに触りまくるよ。


そんな女騎士達からの逆セクハライベントが待っているから、訓練場に向う俺の足取りは軽い。


予想では、もうそろそろ女騎士達が我慢できずに襲ってくる頃だしね。


いやマジで!


最近、水浴び場で狸寝入りすると、待ってましたーー!! てな感じで、色々とやってくるんだよ。


眼鏡メイドさんについているロリメイドが一緒に水浴びすることになったときは、我慢していたみたいだけど、数日もすると我慢できずにイタズラしだしたしねっ!


しかも、ロリメイドが告げ口しないように、みんなで「これはお勉強なのよ」とか言って、イタズラに参加させた。


ああっ、狸寝入りしてるから様子は覗えないけど、俺の体を触って声をあげてビックリしているロリメイドの慌てぶりは、マジ最高っ!!


女騎士のお姉さま方も、俺の体を使って性教育をロリメイドに行っていること自体に興奮しているしねっ!


ああっ! もうすぐ訓練場だ!!










・・・・ん?


訓練場のほうが騒がしいぞ?


剣同士がぶつかり合う金属音がいくつも聞こえる?


それに、女騎士達の叫び声・・・・?


襲撃か!?


クソッ! 女騎士は俺のお気に入りなのに、襲撃者などに殺させるか!!


俺は身体能力の封印をしたまま(・・・・・・・)、訓練場へと駆ける。


「「トール様!?」」


いきなり走り出した俺に眼鏡メイドさんとロリメイドが驚きの声をあげるが説明している暇はない!








訓練場に着くと、ポニーテールの女騎士が黒いローブで全身を隠したそして不審者と戦っていた。


そして、その周りには倒れ伏している他の女騎士・・・よかった・・・全員生きている。


俺は、怒りの表情で、不審者に向って走り出す。


そして、不審者へ向うコースで偶然(・・)、女騎士が落としたであろうロングソードを掴み、劣勢に陥ったポニーテールの女騎士に、剣を振り下ろそうとした瞬間―――――――俺はその間に入り、不審者の剣をロングソードで受け止める。


そして、受け止めた剣をはじき、不審者に向って格好良く言い放つ。


「僕が相手だ! かかって来い!!」


そして、戸惑っている(・・・・・・)不審者に向けて、剣を振るっていく。


格好良く決めた俺だが、実際の剣戟けんげきは遅くて単調。


いつもの木剣より重いロングソードを使うことで俺の重心は乱れ、不審者は余裕で回避する。


そして、俺の攻撃を余裕で回避した不審者は、俺が握っている《・・・・・》ロングソードに向って剣を振るう。


剣同士が打ち合わされることで、強い衝撃が生まれ、俺のまだ幼い手に激痛が走り、後方に・・・ポニーテールの女騎士の丁度(・・)目の前に転ばされる。


「トール様! 大丈夫ですか!?」


ポニーテールの女騎士が心配そうに聞いてくるが、無視っ!


それよりも、手がマジで痛い・・・!


身体能力を下げているから、爪が衝撃で割れてしまった!


剣は吹き飛ばされなかったけど、手がしびれて使い物にならない。


俺は、剣を支えにゆっくりと立ち上がり、痛みと痺れで定まらない剣先を不審者に向ける。


体には、転ばされたときについた泥などで汚れ、ロングソードを持っている手からは血がにじんで、地面にポタポタと落ちる。


肩を大きく上下させながら、荒い呼吸。


まさにボロボロの状態だ。


俺は、不審者を睨みつけて、大声をあげる。


「僕は・・・僕は! この城の王子、トール・ウェリス・アルアドネだ!! 殺すなら僕を殺せ!! 彼女達には手を出すな!!」


不審者が真上に剣を振り上げ・・・そして下ろす・・・。


俺は頭に向って降りてくる剣をまっすぐ見つめる。


訓練場には、女騎士達の悲鳴が響き渡る。


しかし、不審者の振り下ろした剣は俺の髪を数本切ったところで止まる。


それでも俺は、動じずに不審者の隠された顔を睨む。


すると、不審者は剣をローブの中にあるだろうさやに収めた。


後ろの方から、駆け寄ってくる足音がたくさん聞こえる。







後ろをゆっくり振り返ると、男の騎士達や地に伏せていた女騎士が俺のほうに大慌てで向ってくる。


俺は、後ろにいるポニーテールの女騎士の胸めがけて倒れる。


クッソ・・・鎧着てるから冷たくて硬いっ!


仕方ないからすぐに、ゆっくりと目を閉じ気絶したフリをする。







その後は、気絶したフリをする俺を心配して、医者のもとへ大急ぎで運ばれる。


ああっ俺って今、すっごく格好いいんじゃねぇ!?


訓練場の様子を見たときに不審者に殺気が無かった(・・・・)から何かの訓練だとすぐに気づいた。


だって、倒されたであろう女騎士達は、血も流していなかったし意識もはっきりしていたからね。


襲撃者ならここまで気を使って倒さないし、殺されないにしても女騎士達は血だらけになっていたことだろう。


だから俺は、初めから全身をローブで隠した不審者と俺は認識していた。


そして、不審者と女騎士と戦っているという状況を、以前の悪魔のときのように利用した。






 


俺は、まず模擬戦をしていたのだろう不審者とポニーテールの女騎士の間に割り込む。


そして、不審者に向って戦いを挑む。


不審者が戸惑った理由は、いきなり訓練に割り込んだ俺のせいだ。


俺は、ボロボロにされながらも女騎士を守るために不審者に立ち向かう。


そして、不審者に勝てないことを理解した俺は、自らの身分を明かして、自分を殺させる代わりに他の女騎士達を殺すなと叫び、不審者が振り下ろす剣から逃げずに、受け入れる・・・・・・フリをする。


殺気が無いことから直前で止めるって分かってたし、もし本当に切られそうになったら、少し動いて肩で剣を受けてたしね。


女騎士達から見れば、自分達が全身をローブで隠した襲撃者に襲われたのだと俺が勘違いし、子供ながらも必死に身を挺して女騎士達を守ろうとした勇敢ゆうかんな少年に見えたことだろう!!







ふっふっふっ!


本当に不審者みたいな格好をしているから、利用させてもらったぜ!


これで、女騎士達の好感度はMAXになって、次の訓練ではついに・・・・喰われちゃうな!


まじで、おいしくいただかれそうだ。


とりあえず、医務室に見舞いに来るだろう女騎士達に「無事だったんだね!?」とでも言って、思いっきり抱きしようかな。








不審者?


ああ、それはもうどうでもいいよ。


ボロボロにされたけど、それ以上の利益が生まれるから、不審者の処遇しょぐうなんて興味ないよ。


でも、訓練していたからといっても、王子に怪我させたんだから不審者は死刑じゃない?


うーん・・・でも俺がここで「訓練していたことに気づかなかった僕が悪いんだから、許してあげて」とか言ったほうが、周りの好感度も上がりそうだな。


まあ、とりあえずは女騎士の胸の感触でも楽しみますかねっ!


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