第10話 襲撃はチャンスでピンチ!?
詳しいチート能力や世界観などはもう少し後で分かり始めます。
1年が経って9歳っ!!
最近は、体が男って感じに成長してきたよ!
だから、計画の実現はもうすぐだねっ!!
さて・・・今夜は、年に一度の大イベント・・・・収穫祭だっ!!
収穫祭の日は、城で大きなパーティが行われる。
まだ城の中から出たことはないから、収穫祭の内容は分からないけど、城に滅多に現れない美女が現れるから俺は、収穫祭が大好きだーー!!
「どうされましたか?」
「いや・・・・なんでもないよ」
ヤバイヤバイ・・・かるくトリップしていた・・・・今は黒髪メイドさんに着替えさせてもらっているんだった。
どうやら俺は、パーティ会場で待っているだろう美女や美女の卵達のことが気になって仕方が無いらしい・・・。
「今夜は、パーティですからねっ、格好良くしていきましょう!」
黒髪メイドさんも、収穫祭が嬉しいようでご機嫌だ。
ドアをノックした後、眼鏡メイドさんが部屋に入ってきた。
「トール様。お似合いですね・・・・」
収穫祭という大きなパーティに俺の付き添いとして、眼鏡メイドさんが選ばれたので、今夜の眼鏡メイドさんは、厚めの化粧をしていたが、いつもより格好良くされた俺の姿を見て、化粧が崩れるほど惚けた顔で涎を垂らして欲情していた。
俺は、眼鏡メイドさんの異常に気づかないフリをしてパーティ会場に向う。
長年の仕込みのおかげで、使用人たちは、無邪気な俺の姿を見ただけで、顔を赤らめたり、欲情したりしている。
入浴や添い寝も継続中なので、いつ使用人たちが我慢できずに、少年の俺に襲い掛かってくるか楽しみだ。
眼鏡メイドさんに連れられて、城一番の大広間に向う。
そしてパーティが始まる前に、国王である父上、母上、兄上、姉上の順で挨拶を行う。
なぜパーティ前に挨拶をするのかというと、パーティが始まってからスムーズに貴族や他国の客人の接待に移るためだ。
収穫祭の時は、いつもの倍以上の300名ほどの人間が集まる。
300名もの人間に国王1人では、挨拶出来ないから、俺達王様の子供である王族が使われるわけだ。
収穫祭以外のパーティは、収穫祭の接待練習みたいなものなんだとさ。
まあ、別の目的がある俺には、そんなことどうでもいいんだけどねっ!
「・・・・・これより!! 収穫祭を始めるっ!!」
国王である父上が長々しい挨拶(略)をして最後にワインの入ったグラスを持上げる。
「かんぱーーーいっ!!!」
「「「かんぱーーーーい!!」」」
国王が乾杯の音頭をとってパーティが始まる。
俺は、眼鏡メイドさんを引き連れて、挨拶をこなしていく。
貴族のマダムや他国のお姫様に俺は丁寧で紳士的に挨拶し、ついでと言う感じで男連中にも挨拶する。
パーティに出る女性達にも時間をかけて好感度をあげていたので、かなりの人気者だ。
俺は、その人気を利用して、初めてパーティに参加する女の子や美少女達の警戒心を解き、心に自分の存在を植えつける。
そして、二度三度とパーティで会う内に彼女達の中での俺に対する印象を強くさせ、相手から恋焦がれるように仕込む・・・。
まったく、楽しいねぇーーー!!
俺が、現れるだけで女性陣が興奮するんだからさっ!
それに、ショタコンのマダムに流し目で見られたり、少しマセタ貴族の少女にはキスを求められるし・・・マジ最高だねっ!!
王族様様って感じ?
さてと・・・挨拶回りも一区切りしたことだし、会場で困っている女の子はいないかなーーーー?
困っている人がいたら俺様、王子様が助けてあげるよーーーー!!?
美人の女性限定だけどさ!!
キョロキョロと周りを見回すと、金髪の美少女が貴族のおっさん達に囲まれて困っているようだった。
・・・・? あの娘って姉上じゃねえか?
・・・・うん。あの顔とビクビクした雰囲気はやっぱり姉上だ。
うーん・・・どうしようかな?
困っているみたいだけど・・・助けた方がいいのか?
ていうか、姉上や兄上とは食事を共にするだけでそこまで接点がないんだよなーーー。
王族だし、遊ぶ時間なんてないから思い出なんて薄いし、パーティでもお互い挨拶に周らないといけないから、感覚的には、ほとんど他人なんだよねーーーー。
・・・ん?
一人の男が姉上に近づいて行くけどなんか様子が変だな?
なんていうか、目に光がない?
っ!!?
俺が、不審な男を観察していたら突然男の姿が変化したっ!!
その姿は聖書に出てくる悪魔・・・黒い肌に赤い目、そして頭に白い角が2本生えていてた。
「キャーーーーーーーーーー!!!!」
会場に突然出現した悪魔に気づいたのだろう女性の悲鳴が会場いっぱいに響き渡る。
その悲鳴が異変を会場中に伝え、パニックに陥り悪魔からいっせいに距離を取った。
会場には、騎士を呼ぶ怒号が響く。
俺は、眼鏡メイドさんに手を引かれ会場の隅に連れて行かれる。
眼鏡メイドさんが自分の身を盾にすると言わんばかりに、悪魔がいる方を背にして抱きしめてくる。
・・・・・ああ、今日の眼鏡メイドさん香水つけてるのかマジでいい匂い・・・・。
「アリシアーーーーー!!!!」
・・・・ん?
なんだか聞き覚えのある声だな? それにアリシアって?
眼鏡メイドさんの肩越しから状況を確認すると・・・叫んでいるのは父上である国王だった。
国王と王妃は護衛のだろう騎士に止められながらも必死に手を延ばしている。
そして、手を延ばした先には、姉上がいた・・・。
しかも、状況は最悪。
1人だけポツンと残され、悪魔の目の前で腰を抜かしてガタガタと震えていた。
ていうか、みんな薄情だなーーー。
一国の姫様を見捨てて全員巻き込まれないように壁際に寄って「早く騎士を呼べーーー!!」とか言っているだけでなにもしないし・・・はあっ、やっぱり人間自分が一番可愛いんだろうね。
悪魔が不適に笑い、闇を手に集めて真っ黒の剣を創りだす。
姉上は恐怖に顔を歪め、可愛らしいつくりの赤いドレスのスカートにシミを作っていく。
姉上は、外見はクールな美少女だけど性格はウサギみたいに臆病なんだよねーーー。
さて・・・今のこの状況は俺にチャンスだ。
ここで動けば、好感度上昇間違いなしのイベントバトルになるしね。
俺は、眼鏡メイドさんを振りほどき、姉上に向ってダッシュ!
後で眼鏡メイドさんが「トール様っ!!?」とか驚きの声をあげているが無視。
悪魔は剣を高く掲げ、姉上を殺そうと振り下ろす。
俺は、タイミングを見計らい「姉上ーーーー!!!」と叫びながら跳び、盾になるように姉上を正面から抱きしめる。
悪魔が剣を振り下ろし、俺の背中を切りつける。
うっ!! 背中が熱いっ、やっぱり切られんのは、いってぇなーー!!
チート能力をバラすわけには行かないから、死なない程度に切られる。
「キャーーーーー!!! トール様ぁぁぁぁ!!!!」
パーティ会場にいた女性陣から、俺を心配する叫び声がする。
腕の中の姉上は苦痛に顔をしかめる俺を信じられないと言った表情で見ている。
まあ、当然だろうな。
まさか俺が・・・家族と言ってもほとんど接点の無い俺がわが身を省みずに盾になるとは思わないだろうしね。
「あね・・・うえ・・・だい・・・じょ・・うぶ・・・です・・かぁ・・・?」
口の中が血の味で気分が悪いな・・・ていうか喋りづらい。
姉上の瞳越しに、悪魔が止めを刺そうと再び剣を振り上げているのが分かる。
・・・・これって、ヤバイんじゃねえか?
俺は死なないけど、死なない体ってことがみんなにバレるっ・・・!!
ちょ! お城ご自慢の騎士様はどうしたのっ!?
早く助けろよ!!?
王子様が死んじゃうよ!?
ああっ! 悪魔が剣を振り下ろそうとしてるっ!
もうヤバイ・・・ああ・・・俺の仕込が・・・俺の計画が・・・・。
目をつぶって、計画の失敗に絶望していたら後ろで、ガキィインと鉄と鉄とぶつけ合わせたような音が聞こえた。
「トール様!!ご無事ですかっ!?」
目を再び開け後ろをゆっくりと振り返ると、ポニーテールの女騎士が悪魔の剣を受け止めていた。
俺は、安心したように目をつぶり気を失うフリをする。
まあ、大怪我負っているのに起きているのも変だしね。
ていうか! マジお前ら遅いよ!! 俺の計画が失敗するところだったじゃないか!!
その後は、悪魔討伐に来た騎士達によって悪魔は無事討伐され、俺は王宮専属の医者の下へ大急ぎで連れて行かれた。
気を失っているフリをしていた俺は、薄目を開けて会場の女性達を観察する。
今の女性達は、状況がまだ飲み込めていない者、悪魔を見て恐怖で体を震わせている者などが大半だが、時間が経てば確実に俺の好感度は上昇するだろうな。
まあ、背中の痛み分のモトは取れそうだ。
6/22日誤字直しました。
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