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インナーヒットマン  作者: 太田
第5章 真実と雛

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第67話 逃げるよ〜

 ニトラの指がゆっくりと引き金を絞った。


バンッ!


 反射的に、僕と店長は左右へ転がり込む。弾丸がさっきまで僕らの胸があった空間を貫いた。


 すぐさまこちらも応射する。しかし放たれた弾丸は、彼へ届く前にふっと掻き消えるように消滅した。


───これがニトラの能力…。


 ニトラは迷いなく再び銃口をこちらに向ける。


 その瞬間、


シュッ。


 鋭い音とともに、横からナイフが飛んだ。


 だが刃は空中で灰のように崩れ落ち、柄だけがくるくると回転しながら飛んでいく。


 ニトラはそれを首を傾けるだけで避けた。


「ぞろぞろと……」


 苛立ちを隠さない声。


 その後ろから、ノアちゃんがそっと顔を出した。


 ニトラの表情がわずかに揺れる。


「……何故、スペアがここにいる」


「……ママに会うためよ」


 ノアちゃんの小さな声に、ニトラは深くため息を吐いた。


「まったく……」


 銃を構え直す。


「逃げるよ〜」


 店長の声と同時に、僕らは階段へ向かって駆け出した。


「逃がすか!」


 鋭い気配。


 振り返る間もなく、再び空気を裂く音。


 シュッ!


 刃を失ったナイフの取っ手がニトラの顔めがけて飛ぶ。


 ニトラは眉一つ動かさず、軽く後ろへ体重移動して避けた。


「スズメさん!」


 そこにニトラの進路を塞ぐように、スズメさんが立っていた。


「行って」


「……お願いします」


「ええ」


 短い会話のあと、僕らは階段へ向かい再び全速力で走る。


 走りながら、ノアちゃんがスズメさんへ叫んだ。


「そいつの能力は、金属を酸化させるの!アイツは武器を使えるから……気をつけて!」


「……分かったわ」


 階段へ消える僕らの背中を見送り、スズメは一人、ニトラと向き合う。


 ニトラは頭をかきながら、ポケットからゴーグルを取り出して装着した。


「はぁ……女を痛めつける趣味はないんですけどね」


「あっそ」


スズメは床を蹴り一直線にニトラへ向かって走り出す。

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