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インナーヒットマン  作者: 太田
第4章 化け物と雛

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第49話 お願い

「おまえ、誰やねん?」


 パーカー姿の男が、うつぶせに倒れた僕の前に立ち塞がっていた。


 男の視線が、床に転がったオナガの面へと落ちた。


「その面……『トリカゴ』の人間か?」


「……」


「答えろや!」


 怒鳴り声と同時に、見えもせぬ衝撃が身体を貫いた。内臓がまとめて握り潰されるような痛み。肺の空気が一気に押し出され、呼吸が奪われる。


「カハッ……!」


 視界が白黒に点滅し、意識が遠のきかけたそのとき。


「おやおやー。見た顔がいるねぇー?」


 耳の端で、声がした。顔を上げると、襖の奥から六田と、影の薄い青年が部下を引き連れて歩いてきた。


「六田ぁ!」


「黙れや!」


ドガッ!


 ロン毛の男の蹴りがとぶ。口の中が一瞬で鉄の味で満たされた。


 それでも僕は六田を睨みつける。


 六田は肩をすくめ、呆れたように笑った。


「初くん……君は、何が目的なのかなぁ?」


「……薬の情報を教えろ」


 六田のことなどどうでもいい。僕が求めているのはただひとつ──薬、その正体だ。


 だが、六田はその言葉を聞くなり、頬が引きつるほどの満面の笑みを浮かべた。


「ははぁー!君、あの薬のこと知りたいんだぁ?まぁ、君っていうか──『トリカゴ』が、だろうけどね?」


「ッ……!」


 六田は僕の目の前にしゃがみこみ、覗き込むように顔を寄せた。その瞳は、爬虫類のように冷たく光る。


「じゃあさ、薬の情報を教えるかわりに……お願い聞いてよ?」


「……お願い?」


「うん!」


 六田は、心の底から楽しそうに、まるでゲームのルールを説明する子供のように言った。


「僕の部下と──戦ってほしい!」

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