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インナーヒットマン  作者: 太田
第4章 化け物と雛

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第47話 侵入

 男に教えてもらった場所へ向かう。拍子抜けするほど近い場所だった。

 

 別れ際、口外するなと脅した途端、男が涙目で「了解です…!!」と叫んでいたことを思い出し、少しだけ胸が重くなる。


 歩き続けると、視界の先に巨大な塀が現れた。高くそびえる屋根付きの塀。


───ここが吉田組の本部…。


 男の話では、今日は組の大きな集会が開かれているという。侵入してどうなるかは、分からない。だが、『トリカゴ』に頼れない今、六田の居場所を掴む手段はここしかなかった。


 塀の外周を歩き始める。足元の砂利が、乾いた音を立てる。それがやけに大きく響くほど、周囲は静まり返っていた。


 塀の向こうからは、人の気配がほとんどしない。ただ、ときおり風に運ばれる線香のような香りが、微かに漂ってくる。それが不気味に感じた。


 しばらく歩くと、堀の横に黒い車が一台、ぽつんと停められていた。


───……これ、踏み台にできるかもしれない。


 周囲を確認し、車内にも誰もいないことを確かめると、僕はボンネットに足をかけ、車の屋根へと乗った。


 そこから塀の屋根に手を伸ばすが──手が滑った。


 瓦が驚くほどつるつるしていて、指先がまったく引っ掛からない。


「……。」


 僕は何かないかと紙袋を開け、中を覗く。


───あ。


 黒い手袋が目に留まった。


 装着して再び瓦に手をかけると、今度は指先が吸い付くようにしっかりと止まった。


 そこから腕に力を込め、なんとか屋根へよじ登る。全身の筋肉が悲鳴を上げる。


 そして、塀の上から内部を見下ろした。


 広大な庭が広がっていた。敷き詰められた砂利が、白く月光を弾いている。


 僕は紙袋から面を取り出す。オナガの面を被り、ゆっくりと息を吸う。ナイフと銃を取り出し、紙袋は

折りたたんでズボンの後ろポケットに押し込む。


───組長から六田の情報を聞き出すッ!


 覚悟を胸に、瓦の端をつかみ、静かに庭へと降り立った。

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