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封印の神器アラストル  作者: 彩玉
一章 樹海騒乱
12/29

12.忘れていた約束

 衛兵たちの協力のもと、城壁(市壁)を無事よじ登ったところまでは良かったが、思わぬ時に思わぬ場所で思わぬ人物に遭遇してしまったライコウは現在、北の大門脇に立つ円塔にて取り調べを受けていた。

 椅子から立ち上がり、参ったようにライコウは力なく頭を振る。


「とんだ目に遭った。まさか陛下に遭遇するとは」


 呑気な言動ながら、貴賓溢れる身の振舞いをする薄ピンクの高級ドレスシャツを着た愉快なおっさん――もといメソルド国王マリクイフサーン二世にその場で罪を赦され、流れのままに一切の拘束を受けることなく街に入れる……と思いきや当然そう簡単に事が運ぶはずもなく、身分照会など一応の取り調べを行うということで全面石造りの部屋に連れ込まれていた。


「はぁ……」


 ライコウは部屋唯一の窓から外を見下ろす。ちょうど彼の視線の先には、開かずの鋼鉄の門扉の前で身を伏せて待つハクの姿を捉えていた。両脇にある松明に照されたその巨体はまるで宝物庫を守る古代の神獣スフィンクスのようで、威圧感のある佇まいだった。

 すでにハクには念話にて事情を伝え、もうしばらく待ってもらっている。


「そもそも何でここに陛下がいたんだ。偶然にもほどがある……」


 説明を受けてもなお、どこか納得いかない様子で戸惑いを漏らした。

 国王イフサーン二世は、樹海の騒動と関係なく以前から予定されていた視察に来ていた。北の城門に新たに導入された防御機構を視察し終わったところで、彼はちょうどやって来たライコウたちの姿を視認したというのである。


「気持ちはわかるが、陛下がおられなければお前は今頃牢の中、いずれは門前で晒し首だぞ」

「やっとの思いで辿り着けたってのに晒し首とは。今思うとぞっとするね」

「そうだろう、そうだろう。慈悲深い我らの陛下の御裁量に感謝するんだな」

「ああ。国王陛下万歳。イフサーン二世陛下万歳」


 先ほどから取調室でライコウと会話を交わしているのは、この市壁で勤務していた少し若い門兵の一人。名をジョクという。彼は声に張りのあった兵士――ちょうど国王とともに来ていた王宮守護を司る近衛大将アブドゥルに取り調べるよう命じられ、調書をとっていた。

 この国の人間の特徴、国民性なのだろうか。呆れ顔のジョクもまた、どこか国王と同じく呑気そうな雰囲気を漂わせていた。


「名前は?」

「ライコウ」


 ジョクは手元にある名簿資料をめくる。名簿には本日付けの"樹海行きに関する名簿一覧"と記されている。当然ライコウの名が記されているはずもない。


「冒険者らしいが、この街の者ではないようだな……ここは初めてか? それとも過去に?」

「いや、初めてだよ。ここ以外なら来たことあるが」

「そうか……それで、ライコウ。お前はどこから来て、ここには何しに来たんだ?」

「俺は樹海から来て、この街の宿に泊まりに来た。正確に言えば最初は砂漠から向かって来たんだが」

「樹海から?」


 ジョクは眉をひそめる。樹海と言えば今王都では巨人出没の話題で持ちきりだ。

 彼がその巨人に関する質問をしようと口を開きかけたとき、席に着いたライコウから先に質問が飛んできた。今日は何人死んだのか、と。


「……なぜそれを聞く?」

「樹海での騒ぎはもう伝わっているんだろう? 同じ目に遭った身としては気になって当然だろ」

「……俺は担当者ではないから実際の数字はわからないが、結構な人数だと思う」

「そうか……」


 ライコウは押し黙り、ジョクはポリポリと頭を掻く。彼は机を挟んで向かい側に座るライコウに、身分証を提出するように促し、次の質問に移った。

 本来の取り調べであれば、ここで根掘り葉掘り長々と聞き出していくのだが、あくまでも形式的な取り調べであったため必要以上のことはしない。しかし彼個人として気になっていた案件であったために、ひと通り必要項目を埋めた後、ライコウにそれとなく訊いてみることにした。


「……お前、あの森で遭ったのか? その……」

「巨人だろう? 遭った遭った。やんなっちゃうよ」


 日没過ぎに西門から持ち場替えとなったジョクは、北門にいた同僚から巨人出没の話を耳にしたとき、退屈しのぎの冗談ジョークの類いの噂話だと思っていた。"巨人"なんてものは彼にとって士官学校の座学で聞いた以来のことで、巨人に関する触りの知識を頭の奥底から引っ張りだすのに時間がかかったぐらいだ。それだけに、彼は生まれてこの方巨人を見たことはなかったのだ。

 しかし、重傷を負った顔馴染みの冒険者らが憔悴しきった様子で駆け込んできたのを目の当たりにして、事態の重さを認識せざるを得なかった。


 巨人。ただの人間では到底敵う相手ではない。

 正直なところ嘘であって欲しい。そんな未だ信じられない心境を抱え、半信半疑の表情のままの彼は質問の肝心の部分を濁してしまった。

 が、察したのか被せるように、言葉を繋いでライコウは答えた。遭遇したという答えを重く受けとめるべきなのだろうが、その口ぶりからは恐怖の色は全く見られず、街角で出会ったぞと言わんばかりのもの。これには流石に拍子抜けしてしまった。


「お前、本当に遭ったのか?」


 手元にあった資料を勝手にめくりだす目の前の男に呆れたように問いただす。ことの深刻さに比べれば、なんとも呑気な態度だと彼の目には映ったのだが、対するライコウもジョクの態度に同様の感想を抱いていた。


「当たり前だ。嘘言ってどうする。一ツ目の、醜くみすぼらしい格好をしたでっかいおっさんたちに迫られたなんてなんの自慢にならないぞ。どうせ迫られるなら美人がいい」

「それはそうだろうが、他の連中とは明らかに態度が違うぞ。恐ろしくなかったのか」

「ぜんぜん。俺と他の連中では経験……年季が違うんでね」

「年季ってお前、明らかに俺より年下だろ。だいたいその口ぶりじゃ巨人と戦った風に聞こえるが?」

「うん? もちろん戦ったぞ。わざわざ逃げるような相手でもないしな」

「はあ?」


 なんともないように語るライコウに、ジョクは話にならないと肩をすくめて溜め息を吐く。すると、彼は別に信じて貰わなくても構わないと言い放った。こんな態度をとられてしまっては信じたくなってしまうのが人の性というものだ。

 こいつはとんだホラ吹きか?と思い始めていたところで、背後から


「これはあながち嘘とも言い切れないぞ?」

「どういうことだグレイグ……」

「さっき聞いた話なんだが、その話とそいつの身なりの特徴とが合致する」


 ここまで取調室の出入口で寄りかかり、黙って二人の会話を聞いていたもう一人の衛兵、獣人の衛兵が口を挟んできた。彼はライコウに視線を移すと、当のライコウがすっかり忘れていた出来事について訊いてきた。


「ライコウ、お前さん冒険者二人を助けたか?」



 ◇◇



「お世話になりました」


 ぐっと背伸びをしながら、市壁の街側出口まで案内してくれた二人の衛兵に礼を言う。一時間も満たない短い時間だったが、ライコウにはやたら長く感じられたのだ。


「また壁を上ったりするんじゃないぞ。あんなのはもう二度とないと思え」

「分かってますよ」


 北門を抜けた先、つまり市壁内側は石畳が敷かれた広めの広場となっている。騎馬を含めた軍隊や軍事物資の設置、展開をしやすくするためだろう。今も巨人出没の報を受けて衛兵が多く彷徨いていた。


「そういえばライコウ、外にいるあの狼はどうするんだ? 流石に飛び越えるのは無理だろう」

「高さに加えて城壁の全面には上級反衝撃結界が張られているし、な」

「よく知ってるな。誰かから聞いたのか?」

「見ればわかるよ。他にもいろいろあるっぽいし」


 市壁を乗り越える際にハクを待機させたのはこの理由からだ。実際ハクの脚力ならば城壁をかけ上がるどころか、飛び越えることすら造作もないだろう。しかし、城壁全面から発する異様な魔力の層と、『鑑定』により判明した上級結界の存在で、ハクを伴った強硬策は選択肢から外された。結界の内側にはおそらく様々な種類の魔法陣が多く仕込まれているのだろう。

 もとより、ハクにまたがっての方法はあまりにも捕まるリスクが高すぎて、最初から選択肢にはなかったのだが。


「へぇ、『鑑定』が使えるのか。さすがはファヌム王国の人間だな」

「ジョクさん。俺らファヌム人を何だと思ってるんだ? 『鑑定』くらいこの国、とりわけこの王都にいる者なら誰でも使えるんだろう?」

「おいおい、そっちこそ俺たちを何だと思ってるんだ。いくらここが大陸有数の一大商業都市でも、皆が皆『鑑定』を行使できる訳がない。特に俺は軍人であって、商人でも鑑定士でもない」

「ジョクの言う通りだな。『鑑定』を誰でも使えるスキルだと思っている辺りがファヌム王国の者らしい。ちなみに俺も使えん」

「そうかぁ?」ライコウは小首をかしげる。


 ファヌム王国――ファヌム・グラエキア王国とは、ゼピュルシア大陸東部のアルカシア半島とボレアース大陸のアナトリア地方の一部を領有する、二大陸にまたがる王国である。サケルドス三世を現君主とした立憲君主国で、ライコウの現在の故郷であり、つい二日前まで暮らしていた国だ。

 国内には機械文明と呼ばれる古代の時代から、魔法文明の黄金時代に至るまでの遺跡が数多く遺されており、世界有数の発掘地・観光地として知られている。

 また、政府の長年の政策により、国民の多くは本業のかたわら古代研究に関連する何らかに従事しており、役立つ魔術やスキルなどは当然のように数多く修得している。その歴史を愛する国民性は大陸中のあまたある国々の中でも群を抜いていた。

 つまり他国連中からすると、遺跡の国、歴史の国、やたら能力が高く、蘊蓄(うんちく)を語り出す鬱陶しい人々というイメージを抱いているのだ。


 ファヌムの常識は世界の非常識だ。などとジョクは笑いながら言い、


「ま、そんなことはいいとして。話を戻すぞ」

「大丈夫。今から喚びだすから」

「喚ぶ? あのサイズでか」

「まあ見てろって」


 ライコウはジョクらから離れ、他の衛兵もいない場所に立つとこめかみに手を当ててハクに念話を繋げた。


 ((悪い。待たせたな))

 ((ヴヴヴヴ、待った。待ちぼうけたよ。この仕打ちは高くつくね))

 ((悪い悪い。美味いもの食わせてやるから許してください))

 ((ヴォフ、期待してる))


 一応、体を小さくするよう指示し念話を切る。

 と、自身の影に視線を落とした直後、彼の影から銀色の体が飛び出した。ハクの突如とした出現にも関わらず、周囲の衛兵らは意を介さない。冒険者が多く集まる北街区では見慣れた光景だからだ。

 ヴヴヴヴ~~! と大型犬ほどに小さくなったハクが背伸びをし始めているところで、ライコウに意外そうな表情をしたジョクが話しかけてきた。


「おい、こんなに小さかったか? 上から見下ろしてだったがもっとデカかったような」

「ああ、小さくなってもらっているだけだよ」

「はぁ~、そんなことができる魔物もいるんだな」

「ハクはとりわけ特別で優秀な部類だよ」

「ほぉ~」


 と、二人が会話しているうしろで、一人の衛兵がハクをじっと見つめていた。ジョクと一緒に来ていた獣人族の衛兵のグレイグだ。独り離れたところでまさか、などと小さく呟きながら、ハクをじろじろ見つめている。

 そんな様子を見せるグレイグに、不審に思ったライコウはどうしたのかと訊いてみたが、何でもないとはぐらかされてしまった。あの様子からして何かあるようだったが、別に何をするでもないようなので、気にしないことにした。


「そうだ、どこかオススメの宿を知らないか? 出来れば飯が美味くてリーズナブルなところがいい」

「んー、そんなもんこの街にはいっぱいあるしなぁ。冒険者ギルドにでも行って聞けばいいんじゃないか?」

「それもそうか。なら道を教えてくれ」


 助言の通りギルドに向かうことにしたライコウは、ジョクらに別れを告げ、ハクを連れて目抜通りである大通りを歩いていた。大通りは日没後でも明るく、人が多いうえ騒がしい。巨人出現に関する会話もちらほら聞こえてくるが、それでもここにいる多くの者たちはものともしないようで、未だ賑わいを見せていた。

 大通り沿いに数多く並ぶ商店からは、人がひっきりなしに出入りしている。そんな様子を眺めながらギルドがあるという方向へ向かっていると、ある匂いが鼻をついた。食べ物の匂いだ。路上のあちこちで見られる肉料理系の露店から、香ばしく食欲をそそるタレの香りを辺りに飛ばしている。

 この購買意欲を高める香りに抵抗力を無効化されフラフラと惹かれていく者は多い。そしてそんな奴が後ろにも。


 ギュルギュル、ギュルギュルギュル。

 大きな音の発信源は後ろからピッタリ着いてくるハクからだ。込み合うほどではないにしろ、人通りの多い大通りのなか、ライコウからぴったりはぐれずにいたが、案の定キョロキョロと匂いの方向へ誘われている。先ほどからスンスンと鼻をひくつかせ、涎を垂らしまくっていた。その涎が不用意にも誰かの衣服についてしまう事態を招くのは時間の問題だろう。


「ハク、何がいい?」

「選べない。全部!」

「それは流石に食い意地が張りすぎだろ」


 人目についているにも関わらず、思わず念話を忘れ喋りだすハクに苦笑する。幸いこの喧騒の中では狼が人語を話していることに気づく者はいない。

 漂う匂いにもう辛抱たまらない! と立ち上がり興奮しだすハクをなだめすかし、最寄りの露店から芳ばしく焼かれたヤギ肉のスペアリブをいくつか買い求め、ハクに分け与えた。ハクはハフッハフッと旨そうにがっついている。これで少しは腹の虫が落ち着いてくれるだろう。


「……やっと抜けたな。こっちはあんまり人が多くないのか。助かるな」


 北門から見て大通りの何番目かの四辻を右に曲がる。曲がった先の路地の人通りは、ガクッと一気に数を減らしていた。等間隔に立っているガス灯の街灯が石畳の通りを淡く照らし、大通りとは異なる落ち着いた雰囲気を醸し出している。

 こちらへ向かう途中で買っておいた芥子の実(ポピーシード)付きのパンで挟んだぶっといビーフソーセージに、チリソースをたっぷりかけたホットドックを頬張りながら歩いていると、革鎧を着用した者と多くすれ違った。様々な職種の者がいる大通りとは違い、こちらは地元民に混じって冒険者らが多いようだ。それもそのはず、この先に冒険者ギルドがあるからだ。


「あれがこの街の支部か。流石に有数の商業都市なだけあって立派な外観だな」


 前方に見えてきたのは白亜の石積の三階建ての大きな施設、冒険者協会・メソスチア支部だ。

 隣接する漆喰モルタルのシンプルな二階建てと比べ、外壁の飾り柱や幾何学的なレリーフが施された玄関庇など、とても冒険者ギルドの支部には見えない外観をしている。


「すぐ戻るから」

「フス」


 さっさと済ましてしまおうと思い、ハクを外で待たせて支部の中へと足を踏み入れた。


 ライコウがギルド支部所へ足を踏み入れ、前方にあった受付へと歩き出したちょうどその時、同じ建物の一階奥の階段から、金髪ハイエルフの少女が友人を連れて階段を下りていた。


「――で、もう死ぬ! 助けて! って時に……」

「助けが?」

「そうなの!」


 若干テンションが高い。今日自身に起きたことを話しているようだ。実はもう三回目だったが、そんな様子を見て苦笑しながらも、どこか安堵した表情を見せる友人は、相槌をうちながら一つ質問をする。


「でもその人の名前とか訊かなかったの?」

「うん、全くそれどころじゃなくて。でもこっちで再会しましょうって約束したんだけど」


 無事に街に戻り、支部所で報告をして一段落ついてからというものの、彼女は危ないところを助けてくれた青年の安否が気がかりでならなかった。別れてからもう三時間以上経ち、今ではもう夜になっていたのだ。

 調教師テイマーだったらしいあの青年は、高級な装備を身につけた騎士のようだったが、あの巨人が多く出現し始めたという樹海に単身乗り込むなど心配するなというのが無理な話だった。


「今どこで何をしているのかしら……」


 誰とも知れない誰かを心配する彼女を、同性の友人はじっと見つめながら一階廊下を歩いていく。

 前方、フロア中央には受付の島があった。受付付近には様々な種族の冒険者が集まっていて、それぞれに立ち話をしている。そして皆一様に顔を視線を上に向けていた。その視線の先、受付上部には掲示板が四方に設置され、巨人出現に関する情報が表示されている。

 ギルド受付は主にメソスチア周辺に関して、ギルドが提供する情報が得られる貴重な場所なのだ。


(……伝説(レジェンド)級の装具一式に身を包んだ金眼の男、ねぇ……)


 助けられたという友人の話に蒼い瞳をした妙齢の女性は静かに考える。彼女は友人と同じく冒険者業をしているが、この支部所の職員でもあった。ゆえに友人を助けた男の外見的特徴を聴いてすぐにこの街を拠点にしている冒険者か調べてみたが、該当する人物が一人として居なかった。彼女自身にも思い当たる節がなかった。とりわけ金眼というのが。


 この様々な国籍が入り乱れる商王都メソスチアを始めこの国の住民の多くを黒、茶、灰色の瞳をした者が占めている。中には彼女らのような碧眼、翠眼、緋眼などの目立った瞳を持つものはいたが、どれもヒューマン種ではなかった。

 だがハイエルフの友人を助けたヒューマンの青年が金色の瞳をしていたのであればすぐにでも見つかるはず。そう思い彼女は他の友人らに事情を話し見つけたら連絡するよう話を通していた。彼女がそこまでするのは、この街では年齢の近い数少ない同性の大切な友人だから、その友人を助けてくれた青年に是非とも礼が言いたかったからだ。


「無事に街に辿り着いていたらいいわね。エリー」

「そうね。本当に」


 そう彼女らは言葉を交わし、彼女から見て受付の左向かいにある酒場へと足を運んでいく。


 そこへ、噂をすれば影。と、そんな彼女らとかち合うように話題の人物がふらりと目の前に現れた。

 何気なく受付の方へ視線を漂わせていたエリーは、吸い込まれるように彼の姿を、容貌を捉え、その碧い瞳を晒すように大きく見開いた。


「あああっ! いたあ!」


 彼を指さし、思わず大声で叫んでしまった。








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