帝国の建国を宣言しました
戦いは終わった。
ミニアンちゃんに逆らった1公爵がお取り潰しになり、残りの4公爵も侯爵に降爵、まあこれは元々エスカール王国の公爵はインフレ気味で、侯爵くらいの土地しかもっていないのに公爵になっていたから直しただけ。でも、当の公爵にしたらたまったものではなかったと思うけど、イェルド様に逆らえる者などいなかった。
何しろイェルド様に文句を言ったラフティ公爵は、領地も減らされて伯爵まで降爵されてしまったのだから。腹黒イェルド様に逆らうと、どうなるかを目にもの見せているのだから。
そのいなくなった2公爵の領地をそのままクリステイーン様に与えたのだった。それでちょうど公爵領の大きさだった。
一番反抗しそうなエスカールの真ん中に、最強の大将軍クリスティーン様を配置するとは流石イェルド様だ。
「なあに、エスカールの貴族どもが反乱など起こしたら、即座に退治してやるさ」
クリスティーン様の言葉は逞しかった。
スカンディーナの王都もエスカールの王都も両国の中心からは少し離れているので、新王都を作ることになったんだけど、その場所は3国の真ん中、スカンディーナの北東の地に新王都を建設することになったのだ。
もっともこれは時間のかかることで、これから10年計画だった。まあ、それ以上の年月はかかるはずだ。
とりあえず多くの人間を動員して、王宮造りから始まった。
その建設大臣に母の知り合いだったエーギル・スケバ元公爵を充てて、新王都の側に領地を与えたのだった。
それと同時に新王都と各王都の間を広い道で繋いで、馬車での移動時間の短縮を図るそうだ。
エスカール王国は爵位が本当にインフレ状態だったので、イェルド様が大胆にナタを振るった。
結果、サウザン帝国の公爵家は1家に、クリスティーン様だ。クリスティーン様はオースティンのカールソン公爵家と縁を切っているので姓はない。そこで新たに国名のサウザンが姓として与えられたのだ。サウザン公爵様だ。
侯爵家はスカンディーナ2家、ロヴァミエとヴァルドネルだ。エスカールからは元公爵の3家。
エスカールの10家のうち残った7侯爵家は辺境伯家としてそれぞれ国境沿いに配置され直した。
今後の活躍次第では侯爵家に昇爵もあり得ると言う含み付きだ
国境を任せて良いのかという不安もあるが、イェルド様の監視付きだ。影というか隠密もたくさん、派遣しているみたいだし、ミニアンちゃんとオットーも見てくれるみたいだ。
「まあ、反乱を起こすならば起こしてくれれば、取り潰すだけですし」
イェルド様は黒い笑みで言うんだけど。絶対に反乱を起こしてほしいと思っているみたいだった。
伯爵家は約60家、子爵家は約600家、男爵家は約1600家にもなった。
ちょっと多い気もするが、2カ国が一緒になったのだ。仕方がない面もある。
その中には頑張ってくれた仲間に続々と貴族位を与えたというのもある。
宰相がイェルド様、外務卿がクリストフ様 内務卿がロヴァミエ伯爵、建設卿がスケバ侯爵だ。
今後はこれに交通卿と教育卿を追加したいとイェルド様には言ってある。
各地との移動時間短縮は急務だし、国民の識字率の向上は目下の課題だ。
将来的には全土に小学校を建設したい。とイェルド様に言うと「金はどこにあるのですか?」
と言われてしまった。何とか聖女のリーナと相談して前世の知恵が活かせないかと考えている。
そんなことよりも、さっさとフィル様と結婚して、跡継ぎをたくさんこしらえて下さいとか、余計なことを言ってくれるんだけど。
「まだ16歳の私に何を言うのよ」
と言ったらもう適齢期です。と返されてしまった。
いくらなんでも早すぎるだろう。この国でも貴族は普通は学園を卒業してからだ。
「それに私は跡継ぎを生む道具じゃない!」
そう言ったらフィル様に「そんなに俺と一緒になるのが嫌なの?」
と、とても悲しい顔をされてしまった。
そらあ、フィル様と結婚するのは前世からの夢だけど、流石に16では嫌だ。
そう言っていたら、跡継ぎが出来ずに崩壊した国がいかにたくさんあったかという講義をイェルド様から受けることになったんだけど。
延々2時間の講義の後、この国を内乱で滅ぼすつもりですかとまで言われて、流石に考えた。
結局、周りからの圧力で1年後に結婚することになった。
うーん。前世で言うところの高校二年生の終わりに結婚するってことになるんだけど・・・・。これって淫行罪の適用になるんじゃないの? まあ、この世界では問題ないと思うけど。
イェルド様としてはオースティンの王太子のフィル様と私が結婚することによってサウザン帝国にオースティン王国を併合する気満々なんだけど。
新王都にも王宮の反対側は更地のまま放置しているけれど、絶対にオースティンの貴族の屋敷にするためのものだ。
フィル様がオースティン王国の王位につくと同時に共同統治者にして併合するのだとか。
まあ、オースティンの将来の宰相のイェルド様が言うのだから誰も反対しないのかもしれないけれど。
オースティンの未来の騎士団長のクリスティーン様もこの帝国にいるし、魔術師団長はこちらに来てしまったし、大魔術師のガーブリエル様は早速、魔術の出来る生徒を集めて魔術学園の先生を始めてもらっているし。
とりあえず、大量の学生をオースティンの王立学園に派遣する計画も進んでいる。
新たな帝国学園もこの4月から新王都でスタートするはずだ。
そして、今日この日サウザンド帝国の建国されたのだ。
臨時で作られた張りぼての王宮を背に・・・・何故か天まで届きそうな塔まで見えているんだけど・・・・私は晴天の空の下壇上に立った。
眼下には3000人近い貴族や、近隣の王族や代理がいる。オースティンからも多くの貴族が参列していた。
みんな私を注目していた。
私はこの一週間必死に皆に言う言葉を考えて、何度も推敲して、練習してきたのだ。
しかしだ。しかし・・・・それを一読したイェルド様が、一言。
「陛下も長い文章を読まれるのはまだ不得意でしょう。多くの貴族が集まりますので、あまり長いと倒れるものが続出するやもしれません。こちらでお願いします」
と一枚の紙が渡されたのだ。
ええええ! これだけ?。 私が何枚もの文章作ったのに・・・・。それならそうと最初から言えよ! 思わず恨みがましい目でイェルド様を見ると、
「何事も練習ですから」
とあっさり言われてしまったんだけど。なんでだ。
そして、私は大きな声で宣言したのだ。
「ここに、初代皇帝アンネローゼ・スカンディーナがサウザン帝国の建国を宣言する」
おしまい
ここまで読んで頂いてありがとうございました。
これで終わり?
そう、一応帝国を建国したので・・・・
この後アンとフィル様の結婚式の話等を閑話で上げていく予定です。
お楽しみにお待ち下さい。
ここまでお忙しい中、誤字脱字報告、感想、いいねして頂いてありがとうございました。
感想にはネタバレになる等あるのでほとんどちゃんとお返事できていなくていません。お許し下さい。
ブックマーク、評価いただいた方々にはもう感謝の言葉もございません。まだの方は是非。
今後も続き等書ければなあとは思います。少なくとも結婚式は上げますので。
また、初めてレビュー頂きとても感謝しています。ここでお礼させて頂きます。本当にありがとうございました!
この後は『悪役令嬢に転生してしまいましたが、前世で出来なかった学園生活を満喫することに忙しいので何もしません』
https://book1.adouzi.eu.org/n3651hp/
下にリンク張ってあります。
の第三部を年明けくらいから書いていく予定です。
次の第三部はご期待下さい。学園編で考えています。
今後とも宜しくお願いします。




