ブルーノの息子に殺されそうになった時に、帰ってきたミニアンちゃんに助けられました
私は転移してきた淫婦の息子、確か名前はオットーだったか、が現れるや即座にフィル様に爆裂魔術をかけるのを防げなかった。オットーは爆裂魔術を放つ時ににやりと私の方を笑って見てくれたのだ。
「フィル様!」
私は慌ててフィル様に駆け寄った。
その時にはオットーは転移で消えていた。
血まみれのフィル様に直ちにヒールをかける。
フィル様の傷は塞がり、一命はとりとめる。
私はホッとすると同時に怒りがわいてきた。
「もう許さない」
私は必至に淫婦の息子を探した。
ドカーン
少し遠くで爆発が起こった。伯爵の1人が爆裂魔術でやられる。
しかし、次の瞬間には淫婦の息子はいなくなっていた。
ドカーン
今度はアルフが丸焦げになった。
ドカーン
別の所で爆発が起こる。
オットーは次々に転移して攻撃しているのだ。そんなことが可能なのか。私でも、すぐに転移するのは難しい。たとえ短距離といえども。それを平気でやってくれるのだ。それも出現と同時に爆裂魔術を放つなど到底無理だ。これは確実に父の子ではなく、ブルーノの息子なのだろう。
私は攻撃しようとしたが、私の攻撃魔術は火の玉にしろ水鉄砲にしろ、どうしても遅いのだ。
現れて攻撃するや一瞬で消えるオットーを攻撃するのは無理なのだ。唯一先ほどは使えた爆裂魔術ですら、オットーは転移で避けたのだ。これでは攻撃できる手段がない。
どうしよう?
私は焦った。
しかし、私の焦りを笑うように、また別のところで爆発が起こる。
次々に味方が攻撃される。
そして、それと同時に城門から抜剣した敵兵の大軍が飛び出してきたのだ。
「皆の者、迎撃だ」
クリスティーン様は直ちに迎撃に入った。
もう大乱戦になった。
目の前のエスカール軍に対処しようとした時にオットーがいきなり現れて攻撃してくるのだ。
その無差別攻撃に気を取られてエスカール軍に斬られる味方が続出してた。
「卑怯よ。オットー」
私が叫ぶがオットーは全く無視した。
「私と勝負しなさい」
そう叫んだときはアルフを見ていたルーカスが攻撃されていた。
慌てて二人にヒールをかける。
「ふんっ、我が母に酷い目に合わせた事、後悔すればよい。自分の大切なものが殺されていくのをそこで見ていろ」
次の瞬間、オットーがフィル様に再度攻撃してくるのが、何故か判った。
私はこれ以上フィル様を傷つけさせる訳にはいかないと思ってフィル様の上に覆いかぶさったのだ。
「死ねええええ」
しかし、私の上に転移して現れたオットーは爆裂魔術を破裂させたのだった。
ドカーーーーーン
凄まじい爆発が起こる。
その爆裂魔術はガーブリエル様が作ってくれた防御用の魔道具を一瞬で破壊、私の体に襲いかかったのだ。
私はフィル様の上でボロ布のようにぼろぼろになってしまった。
もう傷だらけだし、血まみれだ。もう内臓にも損傷を受けたはずだった。
こんな、馬鹿な。スカンディーナの統一目前で予想もしない相手、ブルーノの息子のために、私達の目標を阻まれようとしているのだ。
まさか、ブルーノの息子がここまで強いとは思ってもいなかった。
完全に油断だった。ブルーノの血を引いているのならば強い魔術師なのは当然なのに、私の腹違いの兄弟で無いのならばどうでもいいなんて、どうしようもないことを考えていた私が馬鹿だったのだ。
でも、ここで無様にやられるわけにもいかない。私はなんとか、立ち上がろうとした。
「ギャッ」
しかし、ブルーノの息子にお腹を思いっきり蹴飛ばされて悲鳴しか上げられなかった。
「死ね! アンネローゼの小娘」
オットーはそう叫ぶと私に向けて爆裂魔術を放ったのだった。
私は終わったと思った。
せめてフィル様を助けようと手を広げて庇った。
ドカーーーーン
凄まじい爆発が起こったが、いくら待っても私に火の粉はかからなかった。
私が目を開けると目の前に赤毛の人形が立っているのを見た。
それは白と赤のコスチュームを身にまとい、何故か顔には虫のお面をつけていた。
そして、白いマントをしているんだけど、いったい何の変装しているんだ?
「わっはっはっはっ。諸君またせたな。真打ちは最後に登場するのだよ」
その偉そうな口ぶり、両手を腰に当てて人を馬鹿にしたような姿は、そう、それは見間違えようがない、私が作った使い魔、ミニあんちゃんだったのだ。
ついに真打ち登場です。
帰ってきたらウルトラマンのつもりが何故か仮面ライダーと月光仮面の格好もしているミニあんちゃん。
ブルーノの魔力と淫婦ドロテーアの悪巧みを受け継いだオットーに果たして勝てるのか?
今夜更新予定です。




