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女王戴冠式にむけて全貴族の招集がかかりました

ムホスの街に急遽、臨時王宮が作られた。


城壁の多くは私が壊してしまったから、その横に遠くから見れば豪勢な、実際はいつもの如くハリボテのプレハブ作りの王宮が魔術部隊の手によって作られたのだ。


また、イェルド様のもとに急遽集められた、貴族の2男や3男及び金勘定の出来る令嬢、文字の読める文官を大量に集めて、イェルド様の悪巧みが更に大規模に始まったみたいだった。


どのみち、碌でもないことだ・・・・。そんな事言ったら怒られるけれど・・・・


彼は元々オースティン王国の公爵家の嫡男で、公爵を継ぐことは確定していたし、未来の宰相候補と在学中から言われている秀才なのだ。


本来ならば私の様な不安定な国の文官になんかなってくれるはずもないのだけれど。


今はその持てる能力の全てを悪巧みに使ってもらっている。


そして、今まで配っていた記事をスカンディーナ新聞として大大的に発行して売り出したのだ。その中身は三流ゴシップ記事そのものだったけれど。


そして、彼が下した決断が、戴冠式だった。



「たいかんしきって、なんですか?」

私は最初に言われた時に全く理解が出来なかったのだ。


そんな私を見てイェルド様は頭を抱えているんだけど。


「アン、戴冠式よ」

「だから、大寒式って何?」

エルダが言うこともわからないし、今は寒くない。


「そんな難しい名前で言うからでしょ。イェルド様も、もっと簡単な言葉で言わないと」

「何よそれ」

イングリッドの言葉に私がむっとすると


「要するに国王になる式典ね」

「えっ、誰が王様になるの?」

「あんたしかいないでしょ」

「何言っているのよ」

二人に呆れられたんだけど、


「ええええ! このタイミングで私が女王になるの?」

「このタイミングだからでしょ。エスカールのあばずれ側妃に、どちらが偉いか判らせてやるのよ」

イングリッドまでが言うんだけど。


「そうです。あの淫乱側妃、ドロテーアは息子をスカンデイーナの国王に据えようとしているのです。あの淫婦は、国王に相手にされないからと言ってブルーノを誑し込んで、殿下のご両親を弑逆させた張本人です。今もベッドにとっかえひっかえ男を連れ込んでいるそうです」

イェルド様はそう言うんだけど、そんなの誰が調べたんだろう。イェルド様の書く記事は最近淫婦ドロテーア一色なんだけど。


この前の記事なんて兄である現エスカール国王とも近親相姦しているとデカデカと書かれていたけれど・・・・流石にそれはないんじゃないかと思うんだけど・・・・。


「なんか、エスカール王国にまで喧嘩売っていない? 敵はエスカール王国がついているから、弟のオットーに国王の座は譲っても」

「アン、あなた、ドロテーアに殺されたいの」

「本当に何考えているのよ」

エルダとイングリッドに言われるんだけど。


「いや、いくら側妃と言えども、王位を譲った私まで殺さないわよ」


「そんなわけないでしょ。あの側妃が、許してくれるわけ無いでしょ」

「あなた、マティルダ女王の最後知っているでしょ。串刺しよ。串刺し。それもあの女、公開処刑して笑っていたそうよ。本当に最低よね。あなたもそうなりたいの?」


「いや、それはそうなりたくないけど」

「あの側妃は、アンネ王妃には恨みつらみが山のようにあるのよ」

「そうよ。あんたが捕まったら、生きたまま生皮剥がれるかもしれないわよ」

「えっ、そうなの」

さすがの私もそれは嫌だ。


「アン、大丈夫。そうならないように俺らも全力で君を守るから」

フィル様が横ではっきりと言ってくれるんだけど。


どうやら、女王にならない選択肢は無いみたいだ。


「フンッ、エスカールが何か文句を言って、攻めてきたらこっちから逆侵攻してやる。なあに、エスカール王国など、鎧袖一触、我が宝剣の元、エスカール王国もこのアンネローゼ王国の傘下に従えてみせるわ」

クリスティーン様は胸を張って言われた。


クリステイーン様の軍勢はここ最近急膨張して1万を越えていた。今もザックザックと増えているのだ。本当にエスカール王国を併合するのも出来るのではと思えるほどの勢いだった。




「判りました。女王になります」

私は諦めて皆を見回した。


「でも、絶対に見捨てないでね。私、女王なんてやったこと無いんだから。1人では絶対に出来ないんだから」

前世でも引きこもりだったし、今世も平民だった。基本的に1人で女王なんて出来ないんだから。


「当たり前でしょ。何のために私達が付いていると思っているのよ」

「任せなさい!」

エルダとイングリッドは大きく頷いてくれた。


「そうよ。アン。あなたのおかげで私の商会は万々歳よ。絶対に見捨てないから」

メリーの実利100%の瞳が怖いんだけど。どれだけ儲けたんだろう?


「それにあなたはスカンディーな王国の正統な王位継承者よ。オットーなんて本当に前国王陛下の血を引いているかも定かでないわよ。ブルーノの子種だという噂まであるんだから」

「いや、恐らくそれは事実だと思われますな」

イェルド様は黒い笑みを浮かべて言うんだけど、その噂ばら撒いているのはそう言う本人だと思うんだけど。私もいらない噂ばら撒かれて純潔なくしたって噂になったし・・・・育ての母からコンコンとお説教の手紙が来たんだけど・・・・。本当にどうしてくれるのよ!



戴冠式は2週間後にやることが決まって、招待状が近隣諸国にばら撒かれた。果たしてどれだけ来てくれるんだろう?


そして、それにともなって全貴族にムホスの街への招集がかけられたのだった。


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ここまで読んで頂いてありがとうございます。
私の

この前のお話は

はこちら

『モブですら無いと落胆したら悪役令嬢だった~前世コミュ障引きこもりだった私は今世は素敵な恋がしたい~』

https://book1.adouzi.eu.org/n8311hq/

アンがこの地にアンネローゼ王国を建てる前の物語です。ぜひともお読みください。

私の

一番の

の人気小説はこちら

『悪役令嬢に転生してしまいましたが、前世で出来なかった学園生活を満喫することに忙しいので何もしません』

https://book1.adouzi.eu.org/n3651hp/

第2部

終了しました。

第一部の紹介は
「えっ、ゲームの世界の悪役令嬢に生まれ変わった?」
頭をぶつけた拍子に前世の記憶が戻ってきたフラン、
でも、ケームの中身をほとんど覚えていない!
公爵令嬢で第一王子の婚約者であるフランはゲームの中で聖女を虐めて、サマーパーティーで王子から婚約破棄されるらしい。
しかし、フランはそもそも前世は病弱で、学校にはほとんど通えていなかったので、女たらしの王子の事は諦めて青春を思いっきりエンジョイすることにしたのだった。

しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
王子にまとわりつく聖女、
更にもともとアプローチしているが全く無視されている第二王子とシスコンの弟が絡んできて・・・・。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。

この次のお話は

はこちら

『推しの悪役令嬢を応援していたら自分がヒロインでした』

https://book1.adouzi.eu.org/n2714ht/

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