決戦4 絶体絶命のピンチに覚醒してブルーノを倒しました
さすがのブルーノも距離ゼロでの私の火の玉攻撃は避けようが無かったみたいだった。
私に直接触れるなんて、それも蹴とばすなんて本当に馬鹿だ。
私がもう抵抗する力が残っていないと思ったのだろう。
私は最後の力を振り絞って火の玉を作ったのだ。
でもここで、火の玉なんて爆発させたら私もただでは済まない。
さよなら、皆! さよなら、フィル様!
前世は引きこもりで何もできなかったけど、今世では学園生活も楽しめたし、憧れのゲームの中に悪役令嬢として転生できて、その中でも一推しの王太子のフィル様と彼氏になれた。前世で転生したいと思ったゲームの中で憧れのフィル様と一緒にこの一年間やってこれたのだ。フィル様と食べさせ合いも出来たし、本当に楽しかった。
私の頭の中で楽しかったことが走馬灯のように想い出されたのだ。
私は火の玉をブルーノに押し付けて
「グウェッ」
お腹をブルーノに蹴り上げられて私は吹っ飛んでいた。
ブルーノから離れていく。
私の火の玉はやはり遅くて、出現してから爆発するまでに少し時間がかかったのだ。本当にどうしようもない火の玉なのだが、今回は私が少しでも離れる時間が取れて良かった。
だけど、流石に、火の玉があるのに驚いたブルーノが逃げる時間は、無かった。
ピカッ
ズドーーーーーン
ブルーノが私の火球に飲み込まれるのがはっきりと見えた。
その爆発がどんどん大きくなって爆発する。
その爆風で私は木の葉のように舞い飛んでいた。
地面にたたきつけられ、地面の上を転がった。
もう私は血まみれ傷だらけだった。立ち上がる気力もない。
腹をブルーノに思いっきり蹴られて内臓も損傷しているみたいだった。
もう死ぬのかもしれない。
でも、ブルーノを倒したのならば本望だった。父や母の仇を取れて、祖国をブルーノの圧政から解放したのだ。あとはフィル様達がちゃんとやってくれるだろう。
やけに世界が静かだ。
死ぬ前ってこんな感じなんだろうか。
コツコツコツコツ
そう思った私の耳にはっきりとした足音が聞こえてきた。
そして、その足音が止まる。
少し目を上げた私の前に血まみれの白い靴が目に入った。
ブ、ブルーノの靴だ。ちゃんと足がその上についている。
生きているんだ。
私の火球の中を生き残ったのだ。
私には今度こそ、もう何も力は残っていなかった。
終わりだ。
「小娘。良くも俺様にここまでやってくれたな」
思いっきり蹴り飛ばされていた。
もう内臓は痛みも感じなかった。
私は地面に顔から叩きつけられていた。
もう終わりだ。何も残っていない。
私は何故か顔が笑っていたようだ。
私の視界の中にブルーノが私に止めを刺そうと手を掲げるのが見えた。でも、私にはもう力が残っていなかった。
私は殺されるのを待つしか無かったのだ。
「アン!」
そのブルーノに思いっきりきりつける金髪の男の姿が見えた。
フィル様だ!
でも、ブルーノの障壁で跳ね返される。
「貴様、よくもアンを」
フィル様は何度も斬りつけるが全て障壁で防がれる。
ブルーノはまだまだ元気みたいだった。
フィル様逃げて!
私はこころの中で叫んでいた。
が、届かない。次の瞬間、フィル様はブルーノの爆裂魔術で弾き飛ばされていた。ボロ布のように。
私にはそれがスローモーションのように見えたのだ。
「フィル様!」
私は大声で叫んでいた。
ピキッ
私の体の中の何かが切れたのが判った。
「よ、よくも、私のフィル様を!」
どこにそんな力があったのだろうか。
私は立ち上がっていたのだ。
「あ、アンネ!」
こちらを驚いて見たブルーノの顔があった。
もう私は知ったことではなかった。完全に怒りが体中を支配していた。
私のフィル様がやられたのだ。
私の体から光の奔流が迸り出て私を包む。
フィル様に止めを刺そうと構えていたブルーノめがけて私の体から光の奔流が襲いかかった。
慌ててブルーノはミラーを張ったようだが、
パリンッ
一瞬でそのミラーを壊す。
「ギャーーーーー」
一瞬でミラーを破壊したその奔流はブルーノを包み込むと次の瞬間にはブルーノの体はこの世から消滅していたのだ。
ここまで読んで頂いてありがとうございます。
この話もあと少しです。
評価まだの方は是非とも評価して頂けたら幸いです。




